金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【2021 日本ダービー展望】 「競馬の神様の気分」で占ってみると?

2021-05-28 07:17:12 | 競馬

 今週は、ダービーの歴史を振り返って、絶対勝つと言われていたハイセイコートウショウボーイの敗戦や、天才武豊騎手が苦しみながら、やっと10回目のダービーで栄光を掴むお話を致しました。一方、専門誌のダービー展望は、悉く、エフフォーリア絶対説ばかり。先週、単勝1倍台のソダシが沈んだばかりなのに。競馬に「絶対」などありません。今日は、少しひねくれて、そうした風潮にケチをつけてみたいと。

 

 さて、馬の能力や状態はともかく、「競馬の神様の気分」に想像力を膨らませて、競馬の神様からの視点、すなわち「この馬だったらダービー馬に相応しい!」とか、「この騎手は、まだダービージョッキーに相応しくない!」「このオーナーにはダービーを絶対勝たせたくない!」という視点から、レースを占ってみたいと。

 

 まず、不動の大本命が予想されるエフフォーリアですが、問題は鞍上の横山武騎手。関東の若手有望株の彼が、この最初のチャンスをモノに出来るのか? あの天才武豊でさえ、苦労に苦労を重ねて10回目のダービーまで勝利は掴めませんでした。競馬の神様が、あの天然で天狗になりやすい彼のキャラを見て、そう易々と「ダービージョッキー」の称号を与えるでしょうか? 全くイメージが湧きません。むしろ、残念ながら3着とか、4着に沈む候補にしか思えません。

 それでは、2番人気が予想される牝馬サトノレイナスはどうか。国枝栄調教師と里見オーナーの宿願である日本ダービー制覇。それを実現するために、Cルメールがダービー挑戦を提案したとも伝えられています。先週のオークスに出ていれば、かなりの確度で勝っていたと思われますが、それを捨ててチャレンジしてきたことに、競馬の神様は「よくぞ来た」と褒めていると思います。しかし、問題は里見オーナー。JRAにとっては最大のスポンサーとも言える大オーナーではありますが、北島三郎オーナーのように万人に好かれるタイプではありません。ダービーでの勝負運にも乏しく、サトノダイヤモンドをもってしても落鉄でハナ差2着。今回も惜しい2着あたりが似合う気がいたします。

 実は気になっているのが川田騎手。盟友ダノンザキッドの騎乗に拘って、京都新聞杯を勝った有力馬レッドジェネシスを横山典騎手に譲ったところ、ダノンザキッドがまさかの骨折。ダービー騎乗馬がない!と諦めたところに、友道厩舎からヨーホーレイクの騎乗依頼舞い込みました。ダノンザキッドの無念と、それに誠実に向き合っていた川田騎手の行動対して、競馬の神様が高い評価を与えたのだと思います。マカヒキの時の再現か、という感じにも思えます。

 また、ステラヴェローチェの吉田隼人騎手も気になります。皐月賞3着馬ですから、ダービーでも有力馬の1頭なのですが、この馬の主戦だった横山典騎手がレッドジェネシスを選びましたので、なんとなく地味な存在に追いやられた感があります。騎乗する吉田隼人騎手は、ご存知のとおり、先週は大本命ソダシに騎乗、多くの厳しいマークにもあって、残念な結果になりました。今週は、ソダシと同じ須貝厩舎のステラヴェローチェと組んで、捲土重来、もっと大きな勲章で無念を晴らそうと。これも、競馬の神様は見逃すはずはなく、応援の風を送ってくれるはずです。

 そして最後に、バスラットレオンと藤岡佑介騎手。そうです、NHKマイルCで人気になりながら、スタート直後に落馬、競走中止となった、あのコンビです。普通ならば、調教師も馬主も、騎手を降ろして、馬は秋に備えて放牧、という判断。しかし、矢作芳人調教師は違った。なんと、このコンビのままで、日本ダービー参戦を宣言したのです。けして自棄(ヤケ)を起こした訳ではなく、矢作調教師の冷静な判断があって、ちゃんとした逃げ馬不在の今年のダービーならば、スピードの持続力が持ち味のバスラットレオンにチャンス有りと。しかも、失意の藤岡佑介がこれで燃えない訳がありません。このような熱い雪辱戦を、競馬の神様が無視するはずはありません

 

 こんな風に、「競馬の神様」の視点で見てみると、大本命の横山武騎手エフフォーリアには冷たい視線、一方で川田騎手吉田隼人騎手藤岡佑介騎手には温かい眼差しが注がれている、そんな全く異なった風景が見えてきます。

 さぁてと、何を本命に指名致しましょうかね?!


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【ダービー特集③】 1998年 武豊とスペシャルウィークが翔んだ日!

2021-05-27 07:10:14 | 競馬

 本日は1998年のダービーサンデーサイレンス初期の傑作スペシャルウィークに跨って、武豊騎手が初めてダービーを勝った日であります。

 

 天才武豊をもってしても、この時が10回目の日本ダービーで、それまでの9回はダービーの壁に打ち返されていました。皐月賞馬で臨むこと2回、1番人気で臨むことも2回ありましたが、ダンスインザダークの2着が最高成績で、なかなか勝つことができません。

 それでも、この年の武豊騎手は、デビュー前のスペシャルウィークに跨った時から、翌年のダービーを意識したと語っています。今まで経験したことがないほど、背中の筋肉が柔らかな感触だったそうです。クラシック一冠目の皐月賞は3着に敗れましたが、これもダービーを意識したように、大外をロングスパートして脚を余すような乗り方。

 

 そして本番のダービーでは、狙い通りの大外の追込みを決めて、5馬身差の圧勝ここから武豊のダービーでの快進撃が始まります。翌年にはアドマイヤベガ、2002年タニノギムレット、2005年ディープインパクト、2013年キズナと、ダービー史上最高の5勝を記録することになります。

 これを考えると、今年22才の横山武騎手、大本命エフフォーリアで簡単に勝つイメージが湧いてきません。しかも、彼のキャラクターは「明るく天然」ときていますから、なおさら、競馬の神様が、そんな甘い事象を起こすとは到底考えられないのです。皆さんはどう感じています?

 

 ところで、ダービーを5馬身差で圧勝したスペシャルウィークですが、同期には、3歳時にジャパンカップを勝ち、4歳秋に凱旋門賞2着のエルコンドルパサーと、宝塚記念を勝ち、有馬記念を連覇したグラスワンダーがいます。この頃のダービーは、まだ外国産馬の出走が許されておらず、この2頭がいない中でのダービー勝利でした。

 この世代は、一時、史上最強世代とも言われ、早世したエルコンドルパサーを除いて、スペシャルウィークは、名牝シーザリオを通じて、エピファネイアやサートゥルナーリアなどの母父として、またグラスワンダーは、直子スクリーンヒーローおよび孫子モーリスへと血脈を伸ばし続けています。


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【ダービー特集②】 1976年 天馬トウショウボーイ『出抜け』に敗れる!

2021-05-26 07:20:33 | 競馬

 本日は、1976年の日本ダービー

 

 この年の3歳牡馬クラシック戦線は、関西に「流星の貴公子テンポイント」が現れて、皐月賞でも1番人気に押されていましたが、結果は、年明けにデビューした新星のトウショウボーイが5馬身差で圧勝したため、この年のダービーは、「天馬トウショウボーイ」の1強ムードとなっておりました。

 この大本命馬にとって心配な点は一つだけ。鞍上が当時まだ若手の池上昌弘騎手だったこと。それでも、皐月賞は池上騎手の完璧な騎乗によって5馬身差の圧勝だったことから、これを降ろす理由はなく、「とにかく馬にしっかり掴まってコースを周ってこい」などと、口の悪いファンはヤジを飛ばしていたものです。

 

 レースは想定とは異なり、このトウショウボーイが果敢に逃げる展開となりました。当初逃げるだろうと想定されていた馬が出遅れて、卓越したスピードを持つトウショウボーイにとっては、無理に位置を下げるよりも、自らペースを作って、そのまま直線での差し脚勝負に持ち込む方が安全確実という、騎手の冷静な判断があった上での逃げでした。この馬は、けして引っかかるようなクセはありませんでしたので、池上騎手の判断は正しかった。

 想定どおり、淡々とした流れのまま、そのままトウショウボーイは直線の坂を落ち着いて登り、これから仕掛けようとした瞬間でした。外から、加賀武見騎手のクライムカイザーが、トウショウボーイの進路を遮るように前に出て『出抜け』を食らわせたのです。ビックリしたトウショウボーイのスピードはいったん減速、その後、気を取り直して前を差し返そうとしましたが、1馬身1/2まで詰めたところがゴールでした。

 ちなみに、今のルールであれば、明らかに進路妨害で「降着」となる走り。しかし、当時の慣習として、クラシックレースで失格とか、降着判定は出し得なかったのです。本来ならば、天馬トウショウボーイはダービー馬になるはずだったのに、老獪な騎手会長 加賀武見騎手の乱暴とも言える騎乗のために、この生涯の名誉を失うこととなります。ちなみに、トウショウボーイに騎乗した池上昌弘騎手も、この敗戦をきっかけにトウショウボーイから降ろされることに。このあとは、西の天才騎手 福永洋一騎手が主戦に指名されることになります。

 まだ高校生だった私は、酷い進路妨害を受けて、負けてしまったトウショウボーイと、主戦を降ろされた池上昌弘騎手を想って、こんな理不尽がまかり通るのか! と憤然としたのを覚えております。

 以上のように、大人の世界、理不尽な世界を、ジックリと教えてくれたのが、この年の日本ダービーでありました。


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【ダービー特集①】 1973年 怪物ハイセイコーの神話が崩壊した時

2021-05-25 13:01:40 | 競馬

 今週は日本ダービー。今までに、自分が観た日本ダービーの思い出を語ってみたいと思います。

 

 私が初めて競馬場に行ったのが、1973年の日本ダービー。中学1年の時です。父が農林水産省の役人だったので、オークスとダービーだけは、JRAから招待されて指定席での観戦ができたのです。

 この年は、地方の大井競馬から中央競馬へ転入してきた「怪物ハイセイコー」が旋風を吹き起こしていて、1冠目の皐月賞は完勝。父と一緒にダービー観戦にきていたお仲間は皆、「ハイセイコーが強い勝ち方をするから、よく見ておくのだよ」「これは歴史的なダービーになる」と私に『ご教授』してきたものです。

 

 結果はご案内のとおり。怪物ハイセイコーは、直線早めに先頭に立つものの、外から差してきたタケホープとイチフジイサミに抜かれて、勝負はこの2頭の叩き合いとなりましたが、タケホープが抜け出して優勝ハイセイコーは着差のついた3着に沈みました。

 私は、中学1年生にして、「世の中に『絶対』という存在はない」ことを勉強させて頂きました。

 ちなみに、ハイセイコーはその後も、長距離の大レースではタケホープに負け続けましたが、中距離の中山記念や宝塚記念(当時はGⅠ級ではなかった)では圧倒的な強さを見せつけ、競馬界初のアイドルホースとして歴史に名を刻むことになります。

 また私が、競馬に熱中するきっかけを作ってくれた最初のヒーローでもありました。


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【将棋】 今週は各棋戦が山場を迎えます!

2021-05-25 07:09:11 | 将棋

 本日は将棋。今週は、各棋戦が山場を迎える週となります。

 

 まずは王位戦。昨日行われたのが、王位戦挑戦者決定リーグの紅組の優勝者 豊島竜王と白組の優勝者 羽生永世七冠との挑戦者決定戦一番勝負。勝ったのは、豊島竜王。羽生永世七冠は残念ながら、念願だった藤井聡太王位への挑戦は成りませんでした。ところで、藤井聡太王位に対して、現在最も勝率が高いのが豊島竜王。天才棋士に対して、「タイトル防衛」の大きな壁として立ち塞がることができるか。あるいは、豊島竜王対策を練った藤井王位が防衛を成し遂げるのか。6月末から始まる真夏のタイトル戦らしい、熱戦になること間違いなし。楽しみにいたしましょう!

 

 そして秋の竜王戦挑戦者決定トーナメントの出場者がすべて決まります。すでに、1組3位の山崎八段、4位の羽生永世七冠、2組1位の藤井聡太二冠、2位の八代七段、3組1位の三枚堂七段、4組1位の梶浦六段、5組1位の青嶋六段の出場が決まっておりますが、昨夜は1組5位の佐藤天彦九段が決まりました。本日、火曜日には6組1位として折田四段or長谷部四段のいずれか、そして木曜日には1組のランキング決勝戦、すなわち1組1位2位が決まります。注目は1組決勝の永瀬王座久保九段で、勝った方が1位となり、羽生永世七冠のいる山に、負けて2位になると、藤井聡太二冠がいる山へ入ることになります。

 

 最後は何と言っても、名人戦第5局金曜日・土曜日に神奈川県箱根町「ホテル花月園」で開催されますが、渡辺明名人が一気に防衛を決めるのか、斎藤慎太郎八段が意地を見せるのか。激戦を期待いたしましょう!


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