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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

心配する人に助けられる

2019年04月20日 | 小験

     

 

 十連休の前なのにさほど混んでいない、待つ覚悟できたのにと拍子抜けの患者さんも多い。土地柄もあるのだろうか、ちゃっかりよりもうっかりの人が多いようで、切羽詰まらないと腰を上げない人が多いようだ。試験勉強と似ているかもしれない。

 医学部にはたくさん試験があり、点数が足りないと再試、最悪だと留年してしまう。うっかりで切羽詰まらないと勉強しない私が無事すんなりと卒業できたのは出席番号がすぐ後ろだった通称Mのお陰だ。Mは苦い落第経験があるせいか、試験が迫ってくるとそれ準備しなくちゃと大騒ぎをする。騒いであれこれ資料を揃える割には勉強しているようには見えないのだが、周りはああそうかとそれなりに準備をしたものだ。私はぼんやりしているように見えるらしく、おい大丈夫かとよく心配して貰ったものだ。

 そのせっかちMは五年前心筋梗塞で命拾いをした。幸い今は元気で、同窓会で会ったら今度は血圧はどうだなど身体の心配をしてくれる。両親が共に高血圧だったので二十年前からきちんと薬を飲んでいるよと話したことだ。

 Mは一寸大袈裟でそんなことで騒ぐなと思ったものだが、考えてみれば色々助けられたような気がする。世の中にはそうした一群の人達が居るように思う。騒がしくても大切な存在かもしれない。

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