今日は九月二日、朝には秋の気配が濃い。涼しいと思っても二十分歩くと汗ばんでしまう。来院患者数と同じでよくわからないのが電車の込み具合で、今朝は混んでおらず余裕で座れた。女子高生に負けずと車内たかだか十五分だが勉強した。兎に角、知らないことよりも知っていることの方が多いので早く読める。これ知らないなというところに赤線をひいてゆけばよい、あっという間に読めてしまう。唯、肝心な記憶力が低下しているので、忘れるのも早くこれが玉に瑕だらけだ。うまくゆけば一週間で医学雑誌が一冊読めるのだが、そうは問屋が卸さない。座れるのは二回に一回くらいなのだ。稀に草臥れた顔をしていると若い人が席を譲ってくれたりするのだが、有難いような嬉しくないような複雑な気持ちになってしまう、感謝しなければいけないと反省している。見た目は五歳ほど若く七十過ぎにみられることは少ないので、実年齢も若いような錯覚をしているのだ。
よく親父が笑い話に艱難汝を玉にすと言っていた。小学校の同級生がかんなんなんじ おたまにすと読んで大笑いになったことがあったらしく、それを母にまねて聞かせて二人で笑っていた。果たしてどうか、玉になれなくても良い、艱難を乗り越えたいと思う。