駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

足下まで来た

2020年04月11日 | 医療

     

 

 三月半ばまでは、不安げな患者さんにここらは大丈夫ですよと言いながら診療していたのだが、四月に入り俄に緊張感が増した。市内で新型コロナの感染者が複数出たのだ。東京から帰省したお子さんのとんでもない置き土産があったのだ。幸い重症ではないようだが、いよいよ自分たちの医院にもいつ何時感染者が来るか分からなくなった。

 小さな医院では発熱患者を待たせる別室はなく、院長はどうしたものか悩んでいる。一つの案として時間帯を分ける方法があるが、未だ実行はしていない。初診の発熱患者さんはあまり歓迎したくない心境だ。同業者はみな恐る恐る診療してるらしい。コロナの感染と同じくらい、二週間の医院閉鎖に追い込まれるのが恐いのだ。

 しかし万一否やがて新型コロナが蔓延すれば、医療機関の閉鎖も簡単にはできなくなる。一般疾患の患者さんが溢れてしまうからだ。医師会も色々対策を考えていると思うが、もう役職を引退したので情報が入ってこない。

 PCR検査のボトルネックになっている保健所もなぜか検査を増やす名案がないようなので、一般外来でのPCR検査を始めなければならないが、これまたどこでどのようにが中々決まらない様子だ。船頭多くして船山に登るなどと解説している暇はない。もう足下まで来ている。津波と違って逃げるという手段がない。知恵を絞って協力して戦うしかない。

 それにしても日本は異常というか異様に判断が遅い。

コメント
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