患者さんには色々な人が居る。会うだけで楽しい人が日に五、六人、顔を見るだけで疲れる人が日に二、三人、有り難いことに楽しい患者さんの方が多い。相性ということもあるだろうが、歓迎しにくい患者さんは実はあちこちで歓迎されず流れ着いた人が多い。なぜか当院に定着しやすいようだが、中には当院にも不満で暫く通ってからどこかへ変わってゆかれる人も居る。
楽しい患者さんはどこがどうとは言いにくいのだが、声を聞いただけでほっと感じ、まして笑顔を見れば疲れも取れる。同年配からやや年上が多く、他愛のない話を一寸して帰って行かれる。まあ楽しみで医者に来ておられるわけではないと思うが、忌憚なく機嫌良く会話が出来、冗談が通じるのが嬉しい。
診療内容では全く差別しないようにしているつもりだが、不満、不安、攻撃、優柔不断の患者さんを診るのは正直しんどい。老医でそうした患者さんには慣れているから過剰に反応はせず、ああそうですか、それは・・ではないですかと対応している。話しを聞いて欲しい人が多いのでそれで少しは楽になるらしい。
楽しい人疲れる人、患者さん様々だが医者には話しやすいのか、思いがけぬ事を告白されることもある。守秘義務が身に染み込んでいるから黙っているのは苦にならないが、知りたくないこともある。
時には自分が患者になることもある、感じの良い患者でありたいと願っている。