駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

三密に絡む三謎

2020年06月09日 | 小考

             

 

 人は昔から三つ揃いが好きで最近は三密を避けようと呼びかけられている。今はどの程度教えられているか知らないが、五十年前の臨床講義ではトリアスと言って特定の疾患を絞り込む三つの症状や所見の組み合わせを数多く教わった。なぜ三つか、三つだと憶えやすくかなりの精度で物事を捉えたり絞り込んだり出来るからだろう。寿限無寿限無と十数個の所見や検査結果を組み合わせるのでは精度は高くなるかも知れないが憶えきれないし煩雑で費用対効果も落ちてしまう。

 そういうわけで今問題と思われる謎を三つあげてみた。なぜ株価が上がるのか?なぜ日本は新型コロナの感染者数が少ないのか?なぜ日本では大規模なデモが起きないのか?。こうした問題意識をどの程度の人が持っているか知らないが、不思議な現象だと思う。

 経済には精密で複雑な理論があるようだが、面白いことに専門家によって言う事が随分違う。真逆のことを言う人までいる。株価は実体経済とは乖離しやすく、これから回復するだろうという見込みに金で金を儲けようとする圧力が掛かっているから上がっているのだと思う。経済は素人だが、人間のことは多少わかるので当たらずとも遠からずだろう。

 なぜ日本では新型コロナの感染者が少ないのか諸説があるが未だはっきりとは分からない。検査数が少ないためで実際には発表の数より一桁多いと言う専門家もいる。厚労省が実態の解明に積極的でない理由もよく分からない。日本の十倍近い検査をしている国が日本製の自動検査装置を使っているというからなぜ日本でも使わないか不思議だ。

 なぜ日本では大規模なデモがないのだろうか?。私は六十年代の記憶があるから、嘗ては少なくとも学生はデモをするエネルギーを持っていたのを知っているが、今は学生運動など考えられない。いろいろな理由があると思うが、前の二つの謎ほどには解こうとする専門家は居ないようだ。

 いづれも簡単な問題ではなく単純な答えは出ないだろう。だから色々情報を集めて考えてみる必要がありそうだ。賛成反対、○×では道は開けないのは確かだ。

コメント
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