武士道とはどんなものか、昔は少し分かっていたような気がするが、今はよくわからなくなった。侍が町で浪人と刃を交え、まげを切り落とされ面目ないと切腹する話を読むと、なぜそんなことで腹を切るのだろうかという疑問がわいてくる。子供の時は素直に武士とはそういうもので大変で厳しいと受け取っていたように記憶する。
今の世の中、エリートの矜持などというものは霧散してしまい、身から出た錆の責任を取ろうとする人は絶滅危惧種になっている。日本的なものの考え方身過ぎ世過ぎは千数百年の昔から連綿と続いている感じがあるのだが、武士道となると今や時代遅れで廃れたように感じる。一体どういうことなのだろう、武士道は日本史の異端児だったのだろうか。武士道の変遷の研究でそうした指摘はあるのだろうか。
士農工商と中学校で習った記憶があるが、どうも年を取り世の中の仕組みを多少知ってくるとこうした身分制度に為政者の知恵というか戦略を感じる。武士は遅れてきた人達で、古来日本的なものを担ってきたのは農であり商のような印象を持っている。歴史学者や社会学者がいろいろこうしたことに関して研究をしていると思うが人文系の学術書は読まないのでよく知らない。果たして武士道はなぜ生まれ、どのような意味合いを持っていたのか、今は薄れると言うか廃れてしまったがその理由原因と結果はどんなものか、読みやすい研究書があれば読んでみたい。ひょっとして武士道は塩のようなもので、社会が腐るのを防いでいた気もしている。