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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

声を聴き分ける

2020年10月30日 | 世の中

         

 

 インターネットで飛び交う情報は玉石混交と言われるが、石以下の塵もかなり混じっている。玉石塵混交と言うべきかもしれない。

 どういうものか騒がしい塵が数多くあり、大声で論陣を張っているから聞いていると何が何だか分からなくなる人も多いと思う。画像は区別がつきやすいが音は混在しやすい。特に自己主張の塊のような人は声が大きく騒がしいので、おとなしくまともな人の声はかき消されやすい。

 しかしそれでも、人間の耳は多くの話声の中から澄んだ声や落ち着いた声を聞き分けることができる。騒がしいデパ地下の売り場でも母や妻の声は小さくても聞き取ることができる。オーケストラの指揮者などは数多い楽器の音の中から例えば第二バイオリンの音を聞き取り、間違いや不備を指摘することができるらしい。トスカニーニなどは正確な演奏を求めリハーサルが厳しく、しばしば間違いを指摘したので有名なのだが、ある時誰だ鼻歌を歌っているのはと怒り出した。まさか鼻歌を歌う演奏者が居るわけはない。興に乗って自分が声を出していたのだ。

 人間には重なる声の中から親しい人の声を聴き分ける能力がある。声には顔とまた違ったその人らしさがあり、思い出の人の声は懐かしい。だから謦咳に接するという表現があるのだと思う。

コメント (2)
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