駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

古くて新しい最近の問題

2020年10月09日 | 診療

           

 

 内科系の慢性疾患の治療には投薬の他に生活指導がある。生活習慣を変えさせることは投薬と同等、時にはそれ以上に重要な治療なのだが、実際に変えさせるのは中々難しい。

 総合病院の医師から時々開業医に紹介すると血圧や糖尿病のコントロールが悪くなると言われることがある。確かに時にはそういうこともあると思う。そこには患者と医師の関係性の問題がある。責任を転嫁するわけではないが患者側の要因も大きい。多くの患者さんは病院は大きく設備も整い優秀な医師が診てくれるし、病院は最後の砦なのでここで嫌われると困るという感覚を持っている。それにさほど長期に通院するわけではない。そのため自然医師の指示を守りやすい。それに比べると個人医は話しやすいし無理も聞いてくれるので、つい甘えというか自分の都合が優先される患者さんが出てくる。勿論、これは一部の患者さんで多くの患者さんは病院に通っていた時と同じように生活に注意してくれる。

 病院から送られた患者さんに限らず何度指導しても、頑張ります、頑張ってくださいの繰り返しで一キロも痩せられない一群の患者さんがいるのは確かで、最近そうした診療の仕方に批判が出てきている。確かに何度も注意し具体的に指導しても努力してますと言うだけで一年たってもちっとも痩せない患者さんをそのままにしてよいかと言われればよくない。病院の医師にそんな指導ではだめだと言われそうで反省しているが、あまり厳しく言うと怒り出したり来なくなったりするのでとても難しい。正直、時には匙を投げたくなる。

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