駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

安全保障は如何に

2012年10月06日 | 町医者診言

         

 静岡で原発投票条例案が否決された。つい先日経団連の米倉会長が浜岡原発を視察したのに符合するようだ。高額な防潮堤を作った元を取らずして廃炉は敵わんという圧力があると推察する。

 原発を原理的に安全運転できる新しい科学的な発明発見がない限り、原発は耐用年数の切れたものから廃炉にして行くのが妥当だと思う。民主党の原発ゼロ政策がどこまで本気か見守りたい。選挙向けの方針ではないだろうな。

 安倍自民党総裁は国民の反発を避けようと口をつぐんでいるだけで、本心では靖国参拝自衛隊軍隊化原発推進を目指しているようだ。マスコミは気付いているならどんどん報道するといい。

 昨日、一部公開された福島原発事故の現場と官邸東電の遣り取りを聞いていると、安全で居住性の良い司令部というものは現場を混乱させるだけで、どうしようもないのがよくわかる。少数の例外を除いて前線を離れた司令部は役に立たず、しばしば前線の犠牲を生んできた。それが再現されている。

 安全宣言というのがしばしば出されるが内実は張りぼてが多い。言葉を盾に不都合を覆い隠そうとしている。原発安全神話は嘘だったのがばれたのではなかったか。どれくらい安全かを言わない安全宣言は見かけ倒しだ。譬えばファイブナインイアー、0.99999/年などと表現してほしい。安全宣言に痺れて思考停止に陥るのは避けたい。

 昔の人は賢いと言うか悪賢いと言うか、人間を見抜いていた。つまり人質を取った。原発安全と推進しようとする政界経済界の重鎮の家族は原発から20キロ以内に住んでいただくことだ。そうすれば安全度が格段に高まるだろう。

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努力は裏切られる

2012年10月05日 | 医療

      

 社会は目に見えにくいけれども薄い層状のバウムクーヘン構造になっており、人は意外に狭い世界に生きている。広い付き合いがあると思っても実は横の繋がりで、層を越えた付き合いは少ないのではないか。あったとしても仕事や事務的なことに限られている場合が多いだろう。

 前線の臨床医は例外的にあらゆる層と関わりを持つというか持たざるを得ない。開業医の場合は地域の特性があるから、救急外来ほど多彩では無いが、常識不足の人達との出会いは多い。

 脳梗塞で寝たきりのTさん(75才)宅から「熱を出した、往診して頂戴」。と奥さんから依頼があり、定期往診の追加でM町まで足を延ばす。Tさんは赤い顔をして努力性の頻回呼吸をしている。、聴診器を当てなくてもゼイゼイという肺雑音が聞こえる。酸素の飽和度が85%しかない。経管栄養といっても僅かな逆流があるので、肺炎を起こしやすい。心不全も合併していそうだ。これは入院しないといけませんね、S病院でよろしいですか。はいはい、お願いしますと言うので、医院に帰って病院と連絡を取ってみます。OKが出たら、直ぐ救急車で行って下さい、と告げて帰る。

 電話して依頼状をFaxしてくれた事務のNさん、

 「先生、S病院受けてくれます。直ぐ来て下さいと返事がありました」。

 「じゃあ、Tさんに電話して直ぐ行って貰って」。

 暫くして「何回電話しても出ません」。

 「あれ、おかしいなあ、ケアマネージャーに連絡してみて」。

 病院からまだかと電話が来てNさん申し訳ありませんと謝りながら困り果てる。三十分ほどして電話が繋がる。

 「あら、私髪を洗っていたのよ。もうちょっと待って、直ぐにはいけないわ」。なによそれ、とNさん眼を三角にして怒っている。

 入院というのはいつでもはいはいと受けて貰えるわけでは無いのだ。病院だってどうぞと返事をしてから一時間以上待たされ五時過ぎに来られては、ちっとも嬉しくないのだ。

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羽生定跡

2012年10月04日 | 人物、男

    

  碁や将棋には定石(定跡)というものがある。それは碁であれば隅や布石でのほぼ五分に分かれる打ち方を言い、将棋ではほぼ五分にわかれる序盤の駒組みを言う。

 ところが羽生の場合にはもうひとつ、取られたタイトルは直ぐ取り返すという定跡がある。定跡通り、去年奪われた王将位を直ちに奪い返してしまった。

 タイトル戦で挑戦者になるにはリーグ戦やトーナメント戦を勝ち抜かねばならず、並の棋士には不可能、一流棋士では僥倖、超一流棋士でも運よくとか何とかといわれるくらい難しいことなのだが、それをきっちり勝ち上がり、更には驚くべき高率でリターンマッチを制して奪い返すのだから、あの空前絶後の勝負師大山十五世名人より強いと言っても異論が出ないだろう。

 羽生に勝ち越していた図太い渡辺を緊張させ、独りで晩飯を食わせてしまうオーラには恐れ入る。一見華奢で学者風に見えるが、将棋盤の前では獰猛な虎を感じさせる。

 こんなに強い人は他には女子レスリングで人類を越えたと言われる吉田沙保里くらいのものだろう。

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賛否両論と書いてはあるが

2012年10月03日 | 町医者診言

        

 「田中文科相に賛否両論」との表題が目に付いた。賛成だけ反対だけの人事はない。特に政治家の重要な役職しかも大臣となれば、賛否両論は当たり前、賛否がなければどうでもよい仕事のたいしたことのない人物ということだ。

 これは賛否の否を強調せんがための表現で、就任早々否だけではまずいかなと、賛否としたに過ぎまい。暗に賛成派をも牽制している。勿論、記者の案に相違して良い仕事をすれば、手の平を返して持ち上げるだろう。

 こうした報道の仕方には疑問を覚える。勿論、それが受けるのでそうした書き方が出てくるわけで、受け手にも問題はあろう。「どうせ変わらないすよ」あるいは、「期待できないねえ」と街頭インタビューに答える人が多い。よく考えた上であるいは調べた上での発言とは思えない。マスコミの作り出した口やかましいお騒がせの真紀子というイメージから短絡して出てくる言葉だと思える。

 外相更迭の顛末を、きちんと検証すれば、彼女の一方的な落ち度ではないことがわかるだろう。皮相の一見奇矯な振る舞いだけを取り上げて、真相を深く掘り下げず、おもしろおかしくちょっと偉そうな人物を虚仮にして幕を引いてしまっては、本当の問題点が見えなくなってしまう。

 何度も書いてきたが記者は初心を忘れず、先輩を反面教師として、既得権に抗い、庶民の眼を覚まさせる叡智のペンを奮って欲しいと診察室からお願いする。

 

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暗黙のルール

2012年10月02日 | 世の中

         

 注意されなくても自然にする心遣いや守るべき規則というものがある。万国共通とは限らないが、日本ならまあ常識で考えて分かるものが殆どと思う。

 医院の中待ちには、待つのに痺れが切れた患者さんに後三四人ですよと知らせてイライラを緩和させる効果と、呼ばれたら診察室に直ぐ入れる時間短縮効果がある。今は昔と違いカーテン一枚ではなくきちんとしたドアがあるから、前の患者さんと医師の会話が漏れる心配はない。

 看護師が呼ばれたらお入りくださいと説明したはずなのだが、聞こえなかったのか忘れたのか、診察を終わった患者さんが出てゆくと、呼ばれてもいないのに、閉まりそうなドアに手を掛けて間髪を容れず猪突猛進してくる患者さんが居る。看護師が居ればちょっとお持ちくださいと押し返して呉れるのだが、席をはずしていると「悪いけど、ちょっと待って」と私が立ち上がらねばならない。

 スムースな流れの時は良いが大抵は診察終了後もカルテを少し書くことが多いし、冷えたコーヒーを一口飲んで一息入れることもある。中待ちまで来たから、次は自分だと突進されても困る。そういう患者さんの中には次の次だったりする人も多い。中高年の女性が多く時にお爺さんのこともある。若い患者さんはいない。遠い昔並んでものを買った記憶があるせいか、忘れられてはならんという不安があるのか、失礼ながら紳士淑女ではないようだ。

 問題発言かもしれないが、これには地方色もあるかなと思う。他の地で開業したことはないので、類推に過ぎないがN市辺りの人はあまりきちんと順番を守らないようだ。電車を待っているとそれを感じる。当地はN市からかなり離れてはいるが、そうした影響があるのだろうか。もっとも国際的には順番などというものはなく、窓から入って席を取る国もあると聞く。そうした国の隣の国は大変だろうな。

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