駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

穴埋め問題を解かされる院長

2019年04月22日 | 町医者診言

      

 

 恐らく冷静さを欠いて勢いで決まった十連休、公立病院には厚労省から謎かけ問題集が送られてきて、院長は何だ今頃とぶつぶつ言いながら連休穴埋めを問題を解かされたようだ。病気と天の運行は人間の都合には合わせてくれない。勢いで決めると後始末と付けが回ってくる。

 と言いながら、Iさんは一か月殆ど飲まず食わずで、か細い声で「ありがと」と呟きながら頑張ったのだが日曜日の未明天寿を全うされた。三か月付きっ切りで面倒を看られた娘さんの第一声は連休になったらどうしようと思っていましただった。内心不届きながら私も、予想外の心肺の強さに秘かに困ったなあと思っていたのだった。時々姉を手伝って介護していた妹さんは「母は先生のことが好きだった。最後まで診ていただいてよかった」。と有難いことを言ってくだすった。Iさんはなんだか十連休が来るのを知っていて、其れではこの辺でとお暇されたような気がした。偶然なのだろうが人間は天の配剤などと感じてしまう。

 首相は如何に支持を取り付けて選挙を上手く戦うことしか頭にない人から目薬を指してもらっているようだが、上手く目玉に命中しただろうか。ただでさえ五メートルも離れていては難しいのに八十歳では手が震えて、額や頬を濡らすことになるだろう。

 見てくれや勢いではなく、沈思黙考中身でものごとは決めたいと説いても耳に入らない人が多く、衆参同日も噂され始めた参院選には魑魅魍魎が出番が来たぞと活躍しそうだ。

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心配する人に助けられる

2019年04月20日 | 小験

     

 

 十連休の前なのにさほど混んでいない、待つ覚悟できたのにと拍子抜けの患者さんも多い。土地柄もあるのだろうか、ちゃっかりよりもうっかりの人が多いようで、切羽詰まらないと腰を上げない人が多いようだ。試験勉強と似ているかもしれない。

 医学部にはたくさん試験があり、点数が足りないと再試、最悪だと留年してしまう。うっかりで切羽詰まらないと勉強しない私が無事すんなりと卒業できたのは出席番号がすぐ後ろだった通称Mのお陰だ。Mは苦い落第経験があるせいか、試験が迫ってくるとそれ準備しなくちゃと大騒ぎをする。騒いであれこれ資料を揃える割には勉強しているようには見えないのだが、周りはああそうかとそれなりに準備をしたものだ。私はぼんやりしているように見えるらしく、おい大丈夫かとよく心配して貰ったものだ。

 そのせっかちMは五年前心筋梗塞で命拾いをした。幸い今は元気で、同窓会で会ったら今度は血圧はどうだなど身体の心配をしてくれる。両親が共に高血圧だったので二十年前からきちんと薬を飲んでいるよと話したことだ。

 Mは一寸大袈裟でそんなことで騒ぐなと思ったものだが、考えてみれば色々助けられたような気がする。世の中にはそうした一群の人達が居るように思う。騒がしくても大切な存在かもしれない。

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用心棒が越権の観測気球?

2019年04月19日 | 小考

                

 

 萩生田幹事長代行が消費税増税延期の可能性を披歴した。何じゃこれはと奇妙に感じた。荻生田氏は安倍首相を支える鼎の一人で仁王さながら睨みを効かす強面の役回りのはず、こうした謀は鼎のもう一人、目端の利いた西村康利福官房長官の役回りと見ていたのだが、どうしたことか?。まさか面従腹背と言うことはないはず、鼎の要だが小回り機転の利かない菅官房長官を飛び越え勇み足で、観測気球を上げたのだろうか。独断とは思えない、機密度最高の跡を残さない忖度通信があったのだろう。

 荻生田氏は強面の重量級だが実は総身に知恵がよく回っていて、単なる力業の用心棒以上の才能があると診ている。どのような思惑があるのか解読が難しいが、波紋は確実に広がり、冷静を保ち挑発乗らないように努めている福山幹事長や孤軍奮闘血気盛んな玉木代表は揺れているようだ。

 いづれにしても加速度的に軽くなっているのは政治家の言葉だ。安倍首相が今回の消費税率アップに何と言っていたか、耳に胼胝ができるほど国民は聞いているはずだ。その言葉に照らせば転進の荻生田発言にはお咎めがあるはずで、そうでなければ以心伝心の観測気球となる。綸言汗の如しなど昭和の遺物と令和では三か月過ぎれば国民は忘れていると開き直って済ます用意があるのだろう。

 口では何とでも言える、言葉巧みの令言に幾多の善男善女が騙されてきたことだろう。神ならぬ人間の政治家には中々先のことは分からないのです、ここにきて不透明な米中対立、不安定な極東情勢、これはリーマン級の不安材料なのですと言う首相の声が聞こえてきそうだ。嘘つきと非難すれば鳩山管はもっと嘘つきだったと泥仕合嗜好の走狗が手ぐすねを引いて待っている。

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間違い、その後

2019年04月18日 | 小験

           

 

 十年ほど前、奈良の有名ホテルでパンケーキを食べたら重曹?が掛かってきた。一口食べておかしな味がする。「なんだこれは」とウエイターに言うと知らないのかねという顔で「粉砂糖ですよ」と言う。ならおまえ食べて見ろと突っ返したら暫くして「申し訳ありませんでした。間違えました」と作りなおしたのを持ってきた。料理長が謝りに来るかと思いきや、フロア主任が平謝りなだけだった。   

 数年前、医師勉強会の納涼会で茶そばが出た、一口食べたら酸っぱい。なんだこれはと仲居を呼んで怒ったら、蕎麦つゆとポン酢を間違えたそうですとしれっとしている。板前を呼べと言いかけたが、何だか酸っぱいねと全部食べてしまったK先生を見ていたら怒る気が失せた。帰り際に見習い?板前が暖簾から首を出して「すいませんでした」と謝っていた。

 人間は間違える。間違いには意外に大小は少なく似ているのだが、その結果は笑って済ませられるものから大惨事まで大きな差が出てくる。医療界ではヒヤリハットと間違い寸前の事例を集めて報告反省対策をとるシステムがあり、随分間違いは減ってきている。医師看護師育成の肝はヒットやホームランを打つことではなくエラーを減らすことにある。そして医師看護師に欠かせない資質は謙虚に反省し精進できる向上心があることのように思う。そしてきちんと注意しながら仕事ができるようになれば一人前だ。

 果たしてドジを踏んだコックと板前は一人前になれただろうか?。

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始めと終わりには神経を使う

2019年04月17日 | 診療

      

 

 私の医院は診察開始一時間前から受付を開けている。早く診て欲しい患者さんは本人や家族が順番を取りに来る。このコンピュータネットの時代にと言われるかもしれないが、患者さんには高齢者が多くネットで予約何それと言われてしまう。

 そのため来た順番に受け付けている。そのせいか日によって患者数が随分違う。天候の影響もあるが、同じような雨や快晴でも、50%くらい違うことはざらだ。患者さんは勝手だから混んでいれば待ち時間が長いと怒るし、空いていれば今日は休みかと思ったと感じの悪いことを平気で言われる。

 予約制を導入しようにも高齢者が多いので、予約を忘れた俺の私の予約はいつだっけと問い合わせが殺到しそうだし、予約を間違えて受診し後回しになったのを怒る人も居そうだしで、諦めている。

 余程混んでいても待たせる時間は一時間くらいで、総合病院の二時間三時間に比べれば可愛いものだと思うのだが、患者さんは医院で三十分以上待たされるとご不満のようだ。逆に待ち時間がなく着たらすぐ診察だと、来たばかりで一息ついてないと文句を言われる方も居る。医院はサービス業だから接遇が大切と言われるが、公平を原則としているので、無理な要求は笑顔でお断りしている。

 おそらくどこの医院も似たようなものと思うが、最初の三人くらい終わりがけの三人くらいは大体決まった患者さんだ。早い順番の人は前期高齢者の男性が多い。中には一番札病とでもいう患者さんも居て、今日は一番でなかったと機嫌が悪かったりする。最後の方は中年の女性が多い。早い方の患者さんは少々せっかち?くらいで気持ちよく診察出来ることが多いのだが、終わりがけの方は要注意だ。わざわざ終わりがけに来るのは、後ろに待っている患者さんが居ないので、時間を掛けて色々訴えようという魂胆があるからだ。訴えたいというのはとりもなおさず聞いて欲しいわけで、なかなか簡単に切り上げさせてくれない。

 こうした患者さんの他に最初と最後は重症患者さんが混じっていることも多く、飛行機と同じ離陸と着陸は要注意なのだ。

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