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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

深まる秋

2020年10月26日 | 身辺記

              

 

 室生犀星は故郷は遠きにありて思うものと詠った。秋になると思い出す。一体どれくらいの人が故郷を遠く離れて高齢者になっているのだろう。まあ同じ県内なら遠く離れてとは言わないだろう。しかし隣県でも百キロ以上離れて言葉のなまりや県民性が違えば故郷は離れている感じがする。そうした定義で、一体どれくらいの人が故郷を離れて老境を迎えているだろう。 

 半数まではいかない気がするがどんなもんだろう。三人に一人くらいだろうか?。都道府県によってかなり差がありそうだが、そうした統計は目にしたことはない。

 私もそうした一人で故郷を離れたので小中学校の友人は数人を除いて、音信不通になってしまっている。そのために四十過ぎてからの当地での友人は貴重で大切にしている。大人になってからの友人作りは難しいと言うが幸い馬が合う友人ができて有難いと思っている。中でも同年配は世の中の出来事の記憶がほぼ同じで、価値観が理解しやすいので秋の夜長にちょっとアルコールを入れて話すのが本当に楽しい。このくらいの年になるとお互いいつお迎えにあるかもしれないという気持ちがあるせいか忌憚のない話ができる。

 Y君は何だか私が有名な作家に似ている(本人は似ているとは思わない)とその作家の名前で呼ぶ、**はどう思うなどと聞かれ年甲斐もなく青臭い返事をしている。まあしかし作家はお茶を濁すようなことは言わないので、相応しい呼び名をつけてくれたのかもしれない。深まる秋に同い年三賢人??の宴席を設定したので、今から楽しみにしている。

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武士道はどこに

2020年10月25日 | 小考

           

 

 武士道とはどんなものか、昔は少し分かっていたような気がするが、今はよくわからなくなった。侍が町で浪人と刃を交え、まげを切り落とされ面目ないと切腹する話を読むと、なぜそんなことで腹を切るのだろうかという疑問がわいてくる。子供の時は素直に武士とはそういうもので大変で厳しいと受け取っていたように記憶する。

 今の世の中、エリートの矜持などというものは霧散してしまい、身から出た錆の責任を取ろうとする人は絶滅危惧種になっている。日本的なものの考え方身過ぎ世過ぎは千数百年の昔から連綿と続いている感じがあるのだが、武士道となると今や時代遅れで廃れたように感じる。一体どういうことなのだろう、武士道は日本史の異端児だったのだろうか。武士道の変遷の研究でそうした指摘はあるのだろうか。

 士農工商と中学校で習った記憶があるが、どうも年を取り世の中の仕組みを多少知ってくるとこうした身分制度に為政者の知恵というか戦略を感じる。武士は遅れてきた人達で、古来日本的なものを担ってきたのは農であり商のような印象を持っている。歴史学者や社会学者がいろいろこうしたことに関して研究をしていると思うが人文系の学術書は読まないのでよく知らない。果たして武士道はなぜ生まれ、どのような意味合いを持っていたのか、今は薄れると言うか廃れてしまったがその理由原因と結果はどんなものか、読みやすい研究書があれば読んでみたい。ひょっとして武士道は塩のようなもので、社会が腐るのを防いでいた気もしている。

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飛ばないMRJの病根はどこに

2020年10月24日 | 政治経済

                

 

 新型コロナで海外旅行に行く人が激減し、航空業界は苦境に陥っている。その大波をまともに受けてスペースジェット(旧MRJ)開発製造がついに凍結された。MRJ、名前を変えて分かりにくいので旧名で呼ぶ、の頓挫の原因を国を挙げて究明しなければならないと思う。ここに日本の科学技術と対外戦略の問題点が凝縮していると思うからだ。一体何度延期をしただろう。順調に行けばコロナの影も形もない六年前の2014年には世界の空を飛んでいたはずだ。

 おそらくここにも今や日本病と言っていい誤魔化しが混入しているのではないかと懸念する。方法と結果は不可分で、方法に誤魔化しがあると良さそうに見える結果は毀損され、結局うまくゆかない。これは最近の日本の政治手法に顕著で、MRJ開発経緯にこうしたことがあったかどうかは定かではないが、政治ほどではなくとも類似した問題があったのではないかと推測する。この病根にメスを入れないと、再起不能になる恐れがある。

 ジャーナリストは様々な圧力に抗してこうした問題を取材し国民に明らかにしてほしい。情報が公開されないと、知恵を集められない。日本の技術立国は看板倒れになり始めている。日本の科学技術を遅らせている病変は手遅れになりそうなくらい進行しているのではないかと心配する。

 小平先生が警告しておられた。計算機は便利だなどと頭を使って計算するのを忘れテンキ-を叩いてうつつを抜かしていると計算機を作れる人が居なくなってしまうと。

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考える考える

2020年10月23日 | 身辺記

              

 

 K氏と将棋を指している。週一回で三回目、お互いに久しぶりだったのだが、ようやく少し感覚が戻ってきた。どれくらい棋力の差があるかはっきりしないが、多分K氏は四五級ではないかと思う。誰でもそうだが駒落ちは嬉しくなさそうだが、飛車落ちで始めた。多分飛車香から二枚落ちでいい勝負ではないかと思うが、駒落ち将棋は指したことがないのでよくわからない。今のところ六勝一敗。負けた言い訳をすれば、あんまり考えるのでイライラしてぱっと指したら角筋でただで銀を取られてしまった。粘ったが負かされてしまった。

 普通へぼ将棋は三時間で五六局は指すと思うのだが、K氏は考える考える。一日二局しか指せない。待たされる私は新聞を読んだりしているのだが、どうも修行が足りずイライラしてしまう。毎回考えるのは本当は読めていないわけで、実は考えているよりは迷っているのだ。いやあ迷っちゃうんだよと言われるからわかっておられるようだが、たとえ半分は迷っているにしても一手に五分十分考えられるのは凄いというか伸びしろがあるんではないかと思う。そして五連敗しても楽しいと言われる。これも棋力が伸びる徴候のような気がする。七十になって棋力がどれくらい伸びるものかあるいは戻ってくるものか分からないが、しばらく週に一回でお手合わせをしたいと思う。多分、私も少しは棋力が戻るだろうから差が縮まるかどうかは分からない。

 麻雀と将棋がどれくらい関係あるか知らないが、K氏は四十くらいまで毎週麻雀をやって小遣いは全部それで賄ったという強豪だったらしい。どうしてそんなに強かったのと聞くと相手が何を考えているか分かるからというご返事だった。残念ながら将棋のせいか、私の考えていることはよくわからないようだ。

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本当に有難いこと

2020年10月22日 | 診療

        

 

 高血圧症や高コレステロールの治療は血管が詰まったり破れたりして重大な病気が起きる(時には命を落とす)のを防ぐために行っている。そして統計的には間違いなく有効な治療法で多くの人が脳梗塞や心筋梗塞になるのを防いでいる。しかし多くはないけれども中には運悪く治療をしていても脳梗塞や心筋梗塞になってしまわれる患者さんがおられる。有難いことにそうした患者さんの多くは多少の後遺症が残っても医院に戻ってこられる。何も恨みがましいことは言われない。折角通院していただいたのに申し訳ないという気持ちがあるのを見越しておられるのか、ここまで元気になりましたなどとにっこりされる。勿論、中には音沙汰なく戻ってこられない患者さんもいらっしゃるが、なんとなく気まずい気持ちあるいは力不足の医者と思われるのは当然というかやむを得ないと思うので諒としている。

 最悪の場合亡くなられる患者さんもおられる。そうした患者さんのご家族の中には長く父あるいは母がお世話になりましたと葬儀が終わった後、菓子折りを持って丁寧にお礼に来られる方もおられる。お悔やみの言葉もうまく言えずただ頭を下げるばかりだが、本当に有難いと思う。

 ご夫婦で通っておられ一方(多くはご主人)が先に亡くなられて残されたご主人や奥様が引き続き通って来られる症例も多い。連れ合いを診てくれていた医者そして家族ではないが連れ合いをよく知っている人物と思っておられるのが感じられることがあり、市井の医者の冥利を感じる。

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