これまで最も多くのF1グランプリを開催してきたモンツァ・
サーキットで4日(日)、2016年FIA F1世界選手権第14戦
イタリアGP決勝レースが開催され、メルセデスのロズベル
グがトップチェッカーを受けた。
今年のモンツァはメルセデスが初日から終始、優位を誇り
土曜日に行われた予選でもポールポジションを獲得したハ
ミルトンは3番手につけたフェラーリのベッテルに0.827秒差
をつけている。フロントろーは相棒のロズベルグが確保した
が、ハミルトンに0.478秒のリードを許した。4番手にもう一台
の跳ね馬を駆るライコネンが食い込み、通称”ティフォシ”と
呼ばれるフェラーリファンの前でベッテルとライコネンは2列
目から表彰台を目指す。
なお、土曜フリー走行中にスピンを喫してグラベルにはまっ
たハースF1のグロージャンはギアボックス交換を強いられ
て5グリッド降格処分を受けた。予選12番手だったグロージ
ャンは17番グリッドに後退し、予選13番手から17番手のドラ
イバーのスタート位置がひとつずつ繰り上がっている。
全長5.793kmを誇るモンツァ・サーキットの決勝レースは53
周で争われ、雲が多いものの、ティフォシの熱気に包まれる
中、気温29℃、路面温度37℃、湿度49%のドライコンディシ
ョンでスタート時刻を迎える。
シグナル消灯と同時に好発進を決めたのはベッテル。ハミ
ルトンが出遅れる中、大混雑のターン1はロズベルグが先
頭で通過し、ベッテルとライコネンのフェラーリコンビがそれ
に続いた。ハミルトンは6番手までポジションを落とすも、オ
ープニングラップの終わりにはレッドブルのリカルドをかわ
してひとつポジションを取り戻す。
スタート直後は至るところで接近戦が繰り広げられ、サイド・
バイ・サイドでターン1からターン2へとアプローチしたザウバ
ーのナッサーとルノーのパーマーが接触。2台のタイヤ同士
がからむインシデントとなり、ナッサーは右リアタイヤがパン
ク、パーマーはフロントウィングにダメージを負った。2台とも
ピットへの帰還を果たしてレースを続けたが、ナッサーは6
周目、パーマーは9周目にマシンを降りている。ただ、ナッサ
ーはその後、一度コースに戻って再び走り出したものの、結
局、長くは走行できずにレースを終えた。この一件でナッサ
ーの10秒のタイムペナルティが科せられている。
同じメルセデスエンジンを積むウィリアムズのボッタスを数周
に渡って攻め立てた後、ハミルトンは11周目に入るところで
オーバーテイクを成功させて4番手に浮上。それでも、すでに
先頭のロズベルグには13秒以上のリードを築かれており、目
前を走るライコネンとも3秒以上のギャップがあった。
トラブルを抱えたドライバー以外で最初にピットストップを行っ
たのはボッタス。ハミルトンに抜かれた後、さらにリカルドにも
プレッシャーをかけられていたボッタスは新しいソフトタイヤに
交換してる。同じタイミングでレッドブルのフェルスタッペンや
マクラーレンのアロンソらも1回目のピットストップを完了した。
フェラーリは16周目にライコネン、次の周回でベッテルのタイ
ヤを交換。多くがソフトを選ぶ中でスーパーソフトのタイヤ選
択で第2スティントをスタートさせている。一方、1ストップ戦略
を狙うメルセデスはロズベルグを25周目、ハミルトンを26周
目にピットに呼び入れて新しいミディアムタイヤのセットを履
かせた。両陣営が最初のタイヤ交換を終えた時点でロズベ
ルグ、ベッテル、ライコネン、ハミルトンのオーダーだ。
マノーのウェーレインがマシントラブルを抱えてコース脇にマ
シンを止めたのが28周目。それから6周を経てフェラーリが
2度目のタイヤ交換に動きだし、ベッテルが先にソフトタイヤ
に履き替え、翌周にライコネンが同様にしてピットストップが
完了した。その結果、ハミルトンがフェラーリ勢の前をキープ
して2番手の座を確実なものにしている。
レース終盤は上位勢に大きな動きはなく、ポイント圏外の位
置ではマクラーレン勢がチームメイト対決を披露。最終ステ
ィントにスーパーソフトを選んだバトンが前を走っていたアロ
ンソをとらえて12番手に上がった。マクラーレンは2人のタイ
ヤ戦略を分けて、アロンソはソフトタイヤを履いている。バト
ンはさらにプッシュして前方とのギャップ縮め、ラスト数周は
グロージャンを追いかける展開に。結局、追い抜けずに12
位完走となったが、バトンらしい巧みな走りを見せつけた。
アロンソは14位でチェッカーを受け、ポイント獲得とはいかな
かったものの、52周目に1分25秒340のファステストラップを
記録している。
最後はロズベルグが安定のパフォーマンスで優勝を飾り、
ハミルトンが2位、ベッテルガ3位表彰台に上った。他にモン
ツァでポイントを獲得したのは4位ライコネン以下、リカルド、
ボッタス、フェルスタッペン、ペレス、マッサ、ヒュルケンベル
グだ。
ドライバーズ選手権はロズベルグが首位ハミルトンとの差
を2ポイントに縮めている。
次回は、夜景がまばゆいマリーナベイが舞台のシーズン
第15戦シンガポールGP。
マクラーレン・ホンダにとって相性の良いシンガポールGP
が楽しみです。