12日(日)、2021年シーズン最終戦となるアブダビGP決勝レースが開催され、スタート直後にリードを奪ったメルセデスのハミルトンが好走を見せるも、終盤に発生した波乱の展開により、レッドブルのフェルスタッペンが優勝を果たすと同時にドライバーズチャンピオンに輝いた。
激戦となった予選ではフェルスタッペンのポールポジションを狙って抜群のチームワークを発揮し、僚友のスリップストリームを得たフェルスタッペンが思惑以上のラップをまとめ上げて今年最後のポールシッターに輝いている。2番手にはドライバーズ選手権を争うライバルのハミルトンが入り、同点で迎えた最後の一戦でランキング上位2人のドライバーがフロントローからの一騎打ちに臨んだ。スタートタイヤが決まるQ2ではミディアムタイヤにフラットスポットを作ってしまったフェルスタッペンがソフトタイヤで走り直しを強いられ、ミディアムで第1スティントを走ったハミルトンとは異なる戦略で決戦に挑んでいる。
なお、ハースF1のマゼピンは新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応を示したことから、決勝レースへの出走を断念している。ハースF1はシューマッハの1人体制で今年最後のレースを戦った。
全長5.281kmのヤス・マリーナ・サーキットは今年、一部のレイアウトが変更され、コーナー数は昨年までの21から16に減ってより高速化したコースにリニューアル。公式タイヤサプライヤーのピレリは計算上、第2スティントにハードタイヤを使用した1ストップが最速の戦略になると見立てていた。
58周で争われた決勝レースは気温24.7℃、路面温度29.1℃、湿度57.3%のドライコンディションでフォーメーションラップが始まり、予選トップ10に入ったドライバーの中では6番手スタートのボッタス(メルセデス)と8番グリッドに並んだ角田(アルファタウリ)がハードタイヤ、それ以外がソフトタイヤを履いている。タイヤ選択が自由な11番手以降では6列目のアロンソ(アルピーヌ)とガスリー(アルファタウリ)がハードタイヤながらアロンソがユーズドなのに対してガスリーは新品のタイヤセットだ。ほとんどが新しいミディアムタイヤを選び、19番手スタートのシューマッハがソフトタイヤで第1スティントに臨んでいる。
注目の蹴り出しはハミルトンの方が良く、ターン1までにフェルスタッペンをかわして先頭に躍り出る。3番手スタートのノリス(マクラーレン)がワイドにふくらんでしまい、ペレスが3番手に浮上、フェラーリのサインツを挟んでノリスは5番手に後退した。
フェルスタッペンが距離を詰めたターン6でアウト側にいたハミルトンがコースを飛び出してしまい、そこから先頭の位置でコース復帰を果たしたことから、フェルスタッペンとレッドブル陣営はポジションの明け渡しを要求するも、ハミルトンはフェルスタッペンに押し出されたと主張、レーススチュワードは審議の必要なしと判断した。
ハミルトンがリードを保ったまま5周目に入った時点でフェルスタッペンは1.9秒差の2番手、ペレスが3番手に控え、サインツ、ノリス、ルクレール(フェラーリ)、角田が7番手に上がり、メルセデスドライバーとして最後のレースに挑んだボッタスが8番手、オコン(アルピーヌ)、リカルド(マクラーレン)がポイント圏内につけていた。
ミディアムタイヤを履くハミルトンが徐々にリズムに乗ってペースアップする中、フェルスタッペンとのギャップも少しずつ開いていくが、フェルスタッペンも自己ベストを刻んで食らいつく。ペレスはチームメイトよりも若干ペースが遅かったが、それでも3秒後方の位置をキープして上位2台に遅れまいとプッシュしている。4番手以下のドライバーはトップ3ほどのラップタイムを刻めておらず、サインツは10周目に入ってペレスに10秒遅れ、そこから後ろは2秒から1秒前後のギャップで隊列が作られていた。
ファステストを連発するハミルトンについていけなくなっていたフェルスタッペンは14周目に入るタイミングでピットに向かい、ハードタイヤに履き替えて隊列復帰。戻った位置はルクレールの目前だったが、ルクレールは縁石に足を取られる格好でコースオフを喫してしまい、そのスキに角田がポジションを上げている。フェルスタッペンがノリスをオーバーテイクした後ろでは、角田とルクレールが激しい攻防戦を繰り広げ、一度はルクレールがポジションを取り戻すも、タイヤの状態からして優位だった角田が抜き返して6番手をキープした。
フェルスタッペンの次のラップにはハミルトンもピットストップを完了し、ラップリーダーとなったペレスから10秒ほど後方の2番手でコース復帰する。ペレス同様に第1スティントを継続するサインツに引っかかっていたフェルスタッペンは、前方にマシンがいる影響でダーティエアにつかまってコースオフを喫するシーンも見られ、フレッシュタイヤの利点を生かしたいところだったが、サインツ攻略に時間を要してしまい、その間にもハミルトンとのギャップは開く一方だ。なんとかフェラーリマシンを追い抜いたフェルスタッペンだが、19周目をスタートさせた時点でハミルトンとの差は8秒以上に拡大していた。
サインツは20周目にピットインしてハードタイヤに交換し、スタートにハードを選んだガスリーの後方8番手で第2スティントを開始している。
その頃、ペレスに追いついたハミルトンがサイド・バイ・サイドに持ち込んでレッドブルマシンの前に出ようとしたが、チームメイトをアシストしようと踏ん張るペレスが見事な走りで反撃。ペレスがハミルトンの頭を抑えている間に、フェルスタッペンが2台に追いつき、最終的にはハミルトンに追い抜かれたものの、任務完了となったペレスはフェルスタッペンに道を譲った後、ピットに呼ばれてタイヤをハードに履き替えた。
「チェコは最高だ!」とチームメイトを称えたフェルスタッペンだったが、前が開けたハミルトンは一気にペースアップしており、一時はコンマ数秒まで縮まっていた2人の差は2.5秒に広がる。もう1台のメルセデスを駆るボッタスを巧みに抑え込み、3番手につけていた角田は24周目にミディアムからハードに履き替えて第2スティントを開始。残念ながら、ルクレールに対するオーバーカットはかなわず、1.7秒差の10番手の位置で戻っている。
上位勢の争いに注目が集まる中、今回がF1最後のレースとなるキミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)にブレーキトラブルが発生。スピンを強いられたライコネンはスライドしながらコースを横断することになり、フロントウイングをバリアにぶつけてしまった。走行を再開してピットにたどり着き、ノーズを交換したものの、レースを継続できる状態ではなかったようで、マシンをガレージに入れてコックピットを離れた。ラストレースは無念のリタイアとなったライコネンだが、史上最多出場を誇るF1キャリアを通して、独特のキャラクターと素晴らしいドライビングスキルでファンを魅了してきたことは多くの人々の記憶に残ることだろう。
ライコネンが最後のレースを終えた頃、ウィリアムズのジョージ・ラッセルもトラブルに見舞われて戦線離脱を余儀なくされており、ピットインした後、そのままマシンを止めて今シーズンの戦いを終えている。
31周というロングスティントを走ったボッタスは接近戦を続けるルクレールと角田の間に割って入る形で第2スティントをスタート。ハミルトンがラップリーダーとはいえ、ライバルのレッドブルが2-3態勢を築いているとあって、ひとつでも上を目指す必要のあるボッタスは履き替えたばかりのタイヤを生かして猛チャージをかけ、懸命に防御したルクレールを4周かけて追い抜き、3秒前を行くノリスにターゲットを切り替えた。
ライコネンを欠くアルファロメオ・レーシングをさらなるトラブルが襲ったのは36周目。ジョビナッツィがスローダウンを強いられ、ピットにもたどり着けずにレースを終えた。
ジョビナッツィがコース脇にマシンを止めたことから、バーチャルセーフティカーが発令され、その間にルクレールがピットに飛び込んでタイヤをミディアムに戻す。そして、レッドブルも動きを見せ、フェルスタッペンを呼び入れると新しいハードタイヤを装着してコースに送り出し、続けてペレスにも2セット目のハードタイヤを履かせている。
約2周でバーチャルセーフティカーが解除された時点でハミルトンとフェルスタッペンのギャップは16.4秒あったが、新しいタイヤを手にしたフェルスタッペンがファステストラップを刻んで差を詰めていく。すでに27周を走ったタイヤのハミルトンも自己ベストを更新して対抗するが、やはりタイヤの利点を有するフェルスタッペンの方がペースは良く、ジリジリと近づいていった。
それでも、ハミルトンは周回遅れのマシンに対応しながらもペースを緩めず、残り10周を迎えて2人のギャップはまだ12秒あった。ハミルトンの無線ではターン15とターン16の縁石に注意するよう指示が飛んでおり、その直前に当該箇所でノリスがフロントタイヤにパンクチャーを抱えたことを受けて出されたようだ。ノリスは緊急ピットインを強いられたものの、ミディアムタイヤに履き替えて9番手でコース復帰を果たしており、アロンソを追い抜いて8番手に上がっている。
残り5周を迎えてハミルトンのリードが確実になってきたところ、ウィリアムズのラティフィがシューマッハとの攻防戦のさなか、タイヤにダストを拾ってしまったらしく、ターン14のウオールに激突するクラッシュに見舞われる。幸い、ラティフィにケガはない様子だが、マシンのダメージがひどく、撤去作業のためセーフティカーに出陣の要請が入った。
これで確定しつつあったオーダーに変化の可能性が急浮上し、メルセデスがハミルトンをステイアウトさせた一方、当然ながら失うもののないレッドブルはフェルスタッペンとペレスを呼び入れてソフトタイヤに交換。他にも続々とドライバーがピットに飛び込んでソフトタイヤに履き替えていくが、先に動くことができなかったメルセデスとしてはハミルトンをコースにとどめる他なかったと言えよう。ただ、レッドブルもタダで済んだわけでなく、ペレスがトラブルによってリタイアを強いられており、ダブル表彰台のチャンスはここで潰えた。
残り周回数が少なくなっていたこともあり、再開のタイミングが最大の焦点だったが、ようやくセーフティカーが解除されたのは57周目の終わり。ドラマティックにも、ファイナルラップの1周がすべてを決める勝負の瞬間となる・・・!
リスタートに向けてハミルトンも懸命にタイヤを温めていくが、ソフトタイヤを生かすフェルスタッペンが一気に加速して横並びに持ち込み、ハミルトンの抵抗を退けてオーバーテイクを成功させると、反撃に出るハミルトンの攻撃をもかわしきり、ラスト1周にしてラップリーダーの座を奪い返した。
ハミルトンは最後まであきらめずにチャンスを狙っていったものの、先にチェッカーフラッグを受けたのはフェルスタッペンとなり、同時にドライバーズタイトルを手中に収めている。ハミルトンは2位でゴール、サインツが3位表彰台に上った。
ペレスの戦線離脱を喫したレッドブルだが、アルファタウリの角田とガスリーが4位と5位でフィニッシュしており、角田はベストリザルトを記録してルーキーイヤーを締めくくっている。
6位にボッタスが入り、ノリス、アロンソ、オコン、ルクレールがポイントを獲得した。
11位以下、完走はベッテル(アストンマーティン)、リカルド(マクラーレン)、ストロール(アストンマーティン)、シューマッハ、ペレスは15位完走扱いとなった。
ホンダPU勢、フェルスタッペンが優勝によって、チャンピオンシップはドライバーズ選手権をフェルスタッペン、ペレスが残念ながらリタイヤ、角田が4番手、ガスリーが5番手とアルファタウリとしてはこれ以上はないだろうという結果を残しました。
コンスタラーズ選手権はメルセデスが8連覇を達成した。
劇的な幕切れの余韻が残りつつも、F1一行はすぐさま2022年シーズンに向けた準備が待っている。最終戦の舞台と同じくヤス・マリーナ・サーキットでテストセッションが実施されることになっており、オフシーズンに入ってもF1界の話題は尽きなさそうです。
激戦となった予選ではフェルスタッペンのポールポジションを狙って抜群のチームワークを発揮し、僚友のスリップストリームを得たフェルスタッペンが思惑以上のラップをまとめ上げて今年最後のポールシッターに輝いている。2番手にはドライバーズ選手権を争うライバルのハミルトンが入り、同点で迎えた最後の一戦でランキング上位2人のドライバーがフロントローからの一騎打ちに臨んだ。スタートタイヤが決まるQ2ではミディアムタイヤにフラットスポットを作ってしまったフェルスタッペンがソフトタイヤで走り直しを強いられ、ミディアムで第1スティントを走ったハミルトンとは異なる戦略で決戦に挑んでいる。
なお、ハースF1のマゼピンは新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応を示したことから、決勝レースへの出走を断念している。ハースF1はシューマッハの1人体制で今年最後のレースを戦った。
全長5.281kmのヤス・マリーナ・サーキットは今年、一部のレイアウトが変更され、コーナー数は昨年までの21から16に減ってより高速化したコースにリニューアル。公式タイヤサプライヤーのピレリは計算上、第2スティントにハードタイヤを使用した1ストップが最速の戦略になると見立てていた。
58周で争われた決勝レースは気温24.7℃、路面温度29.1℃、湿度57.3%のドライコンディションでフォーメーションラップが始まり、予選トップ10に入ったドライバーの中では6番手スタートのボッタス(メルセデス)と8番グリッドに並んだ角田(アルファタウリ)がハードタイヤ、それ以外がソフトタイヤを履いている。タイヤ選択が自由な11番手以降では6列目のアロンソ(アルピーヌ)とガスリー(アルファタウリ)がハードタイヤながらアロンソがユーズドなのに対してガスリーは新品のタイヤセットだ。ほとんどが新しいミディアムタイヤを選び、19番手スタートのシューマッハがソフトタイヤで第1スティントに臨んでいる。
注目の蹴り出しはハミルトンの方が良く、ターン1までにフェルスタッペンをかわして先頭に躍り出る。3番手スタートのノリス(マクラーレン)がワイドにふくらんでしまい、ペレスが3番手に浮上、フェラーリのサインツを挟んでノリスは5番手に後退した。
フェルスタッペンが距離を詰めたターン6でアウト側にいたハミルトンがコースを飛び出してしまい、そこから先頭の位置でコース復帰を果たしたことから、フェルスタッペンとレッドブル陣営はポジションの明け渡しを要求するも、ハミルトンはフェルスタッペンに押し出されたと主張、レーススチュワードは審議の必要なしと判断した。
ハミルトンがリードを保ったまま5周目に入った時点でフェルスタッペンは1.9秒差の2番手、ペレスが3番手に控え、サインツ、ノリス、ルクレール(フェラーリ)、角田が7番手に上がり、メルセデスドライバーとして最後のレースに挑んだボッタスが8番手、オコン(アルピーヌ)、リカルド(マクラーレン)がポイント圏内につけていた。
ミディアムタイヤを履くハミルトンが徐々にリズムに乗ってペースアップする中、フェルスタッペンとのギャップも少しずつ開いていくが、フェルスタッペンも自己ベストを刻んで食らいつく。ペレスはチームメイトよりも若干ペースが遅かったが、それでも3秒後方の位置をキープして上位2台に遅れまいとプッシュしている。4番手以下のドライバーはトップ3ほどのラップタイムを刻めておらず、サインツは10周目に入ってペレスに10秒遅れ、そこから後ろは2秒から1秒前後のギャップで隊列が作られていた。
ファステストを連発するハミルトンについていけなくなっていたフェルスタッペンは14周目に入るタイミングでピットに向かい、ハードタイヤに履き替えて隊列復帰。戻った位置はルクレールの目前だったが、ルクレールは縁石に足を取られる格好でコースオフを喫してしまい、そのスキに角田がポジションを上げている。フェルスタッペンがノリスをオーバーテイクした後ろでは、角田とルクレールが激しい攻防戦を繰り広げ、一度はルクレールがポジションを取り戻すも、タイヤの状態からして優位だった角田が抜き返して6番手をキープした。
フェルスタッペンの次のラップにはハミルトンもピットストップを完了し、ラップリーダーとなったペレスから10秒ほど後方の2番手でコース復帰する。ペレス同様に第1スティントを継続するサインツに引っかかっていたフェルスタッペンは、前方にマシンがいる影響でダーティエアにつかまってコースオフを喫するシーンも見られ、フレッシュタイヤの利点を生かしたいところだったが、サインツ攻略に時間を要してしまい、その間にもハミルトンとのギャップは開く一方だ。なんとかフェラーリマシンを追い抜いたフェルスタッペンだが、19周目をスタートさせた時点でハミルトンとの差は8秒以上に拡大していた。
サインツは20周目にピットインしてハードタイヤに交換し、スタートにハードを選んだガスリーの後方8番手で第2スティントを開始している。
その頃、ペレスに追いついたハミルトンがサイド・バイ・サイドに持ち込んでレッドブルマシンの前に出ようとしたが、チームメイトをアシストしようと踏ん張るペレスが見事な走りで反撃。ペレスがハミルトンの頭を抑えている間に、フェルスタッペンが2台に追いつき、最終的にはハミルトンに追い抜かれたものの、任務完了となったペレスはフェルスタッペンに道を譲った後、ピットに呼ばれてタイヤをハードに履き替えた。
「チェコは最高だ!」とチームメイトを称えたフェルスタッペンだったが、前が開けたハミルトンは一気にペースアップしており、一時はコンマ数秒まで縮まっていた2人の差は2.5秒に広がる。もう1台のメルセデスを駆るボッタスを巧みに抑え込み、3番手につけていた角田は24周目にミディアムからハードに履き替えて第2スティントを開始。残念ながら、ルクレールに対するオーバーカットはかなわず、1.7秒差の10番手の位置で戻っている。
上位勢の争いに注目が集まる中、今回がF1最後のレースとなるキミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)にブレーキトラブルが発生。スピンを強いられたライコネンはスライドしながらコースを横断することになり、フロントウイングをバリアにぶつけてしまった。走行を再開してピットにたどり着き、ノーズを交換したものの、レースを継続できる状態ではなかったようで、マシンをガレージに入れてコックピットを離れた。ラストレースは無念のリタイアとなったライコネンだが、史上最多出場を誇るF1キャリアを通して、独特のキャラクターと素晴らしいドライビングスキルでファンを魅了してきたことは多くの人々の記憶に残ることだろう。
ライコネンが最後のレースを終えた頃、ウィリアムズのジョージ・ラッセルもトラブルに見舞われて戦線離脱を余儀なくされており、ピットインした後、そのままマシンを止めて今シーズンの戦いを終えている。
31周というロングスティントを走ったボッタスは接近戦を続けるルクレールと角田の間に割って入る形で第2スティントをスタート。ハミルトンがラップリーダーとはいえ、ライバルのレッドブルが2-3態勢を築いているとあって、ひとつでも上を目指す必要のあるボッタスは履き替えたばかりのタイヤを生かして猛チャージをかけ、懸命に防御したルクレールを4周かけて追い抜き、3秒前を行くノリスにターゲットを切り替えた。
ライコネンを欠くアルファロメオ・レーシングをさらなるトラブルが襲ったのは36周目。ジョビナッツィがスローダウンを強いられ、ピットにもたどり着けずにレースを終えた。
ジョビナッツィがコース脇にマシンを止めたことから、バーチャルセーフティカーが発令され、その間にルクレールがピットに飛び込んでタイヤをミディアムに戻す。そして、レッドブルも動きを見せ、フェルスタッペンを呼び入れると新しいハードタイヤを装着してコースに送り出し、続けてペレスにも2セット目のハードタイヤを履かせている。
約2周でバーチャルセーフティカーが解除された時点でハミルトンとフェルスタッペンのギャップは16.4秒あったが、新しいタイヤを手にしたフェルスタッペンがファステストラップを刻んで差を詰めていく。すでに27周を走ったタイヤのハミルトンも自己ベストを更新して対抗するが、やはりタイヤの利点を有するフェルスタッペンの方がペースは良く、ジリジリと近づいていった。
それでも、ハミルトンは周回遅れのマシンに対応しながらもペースを緩めず、残り10周を迎えて2人のギャップはまだ12秒あった。ハミルトンの無線ではターン15とターン16の縁石に注意するよう指示が飛んでおり、その直前に当該箇所でノリスがフロントタイヤにパンクチャーを抱えたことを受けて出されたようだ。ノリスは緊急ピットインを強いられたものの、ミディアムタイヤに履き替えて9番手でコース復帰を果たしており、アロンソを追い抜いて8番手に上がっている。
残り5周を迎えてハミルトンのリードが確実になってきたところ、ウィリアムズのラティフィがシューマッハとの攻防戦のさなか、タイヤにダストを拾ってしまったらしく、ターン14のウオールに激突するクラッシュに見舞われる。幸い、ラティフィにケガはない様子だが、マシンのダメージがひどく、撤去作業のためセーフティカーに出陣の要請が入った。
これで確定しつつあったオーダーに変化の可能性が急浮上し、メルセデスがハミルトンをステイアウトさせた一方、当然ながら失うもののないレッドブルはフェルスタッペンとペレスを呼び入れてソフトタイヤに交換。他にも続々とドライバーがピットに飛び込んでソフトタイヤに履き替えていくが、先に動くことができなかったメルセデスとしてはハミルトンをコースにとどめる他なかったと言えよう。ただ、レッドブルもタダで済んだわけでなく、ペレスがトラブルによってリタイアを強いられており、ダブル表彰台のチャンスはここで潰えた。
残り周回数が少なくなっていたこともあり、再開のタイミングが最大の焦点だったが、ようやくセーフティカーが解除されたのは57周目の終わり。ドラマティックにも、ファイナルラップの1周がすべてを決める勝負の瞬間となる・・・!
リスタートに向けてハミルトンも懸命にタイヤを温めていくが、ソフトタイヤを生かすフェルスタッペンが一気に加速して横並びに持ち込み、ハミルトンの抵抗を退けてオーバーテイクを成功させると、反撃に出るハミルトンの攻撃をもかわしきり、ラスト1周にしてラップリーダーの座を奪い返した。
ハミルトンは最後まであきらめずにチャンスを狙っていったものの、先にチェッカーフラッグを受けたのはフェルスタッペンとなり、同時にドライバーズタイトルを手中に収めている。ハミルトンは2位でゴール、サインツが3位表彰台に上った。
ペレスの戦線離脱を喫したレッドブルだが、アルファタウリの角田とガスリーが4位と5位でフィニッシュしており、角田はベストリザルトを記録してルーキーイヤーを締めくくっている。
6位にボッタスが入り、ノリス、アロンソ、オコン、ルクレールがポイントを獲得した。
11位以下、完走はベッテル(アストンマーティン)、リカルド(マクラーレン)、ストロール(アストンマーティン)、シューマッハ、ペレスは15位完走扱いとなった。
ホンダPU勢、フェルスタッペンが優勝によって、チャンピオンシップはドライバーズ選手権をフェルスタッペン、ペレスが残念ながらリタイヤ、角田が4番手、ガスリーが5番手とアルファタウリとしてはこれ以上はないだろうという結果を残しました。
コンスタラーズ選手権はメルセデスが8連覇を達成した。
劇的な幕切れの余韻が残りつつも、F1一行はすぐさま2022年シーズンに向けた準備が待っている。最終戦の舞台と同じくヤス・マリーナ・サーキットでテストセッションが実施されることになっており、オフシーズンに入ってもF1界の話題は尽きなさそうです。