現地時間27日(日)、2019年FIA F1世界選手権第18戦メキシコGP決勝レースが開催され、メルセデスのハミルトンが優勝した。相棒のボッタスが3位表彰台に上ったため、チャンピオンシップの優勝争いは次戦に持ち越されている。
前日に実施された予選ではレッドブルのフェルスタッペンが圧倒的な速さで最速タイムを刻んだものの、その直前に最終コーナーでボッタスがクラッシュを喫しており、周辺には黄旗が振られていたが、フェルスタッペンは当該区間で減速しておらず、後に3グリッド降格処分を受けている。結果、予選2番手だったフェラーリのルクレールがポールポジションに並び、相棒のベッテルと共にフロントローから決戦に挑んだ。
ドライバーズ選手権を争うメルセデス勢はハミルトンが3番グリッドに繰り上がり、ボッタスはクラッシュでマシンのダメージが懸念されていたが、メルセデスはペナルティを受けることなくマシン修復を完了させ、6番グリッドからスタートしている。メルセデス勢の間にはレッドブルのアルボンがいた。
海抜2,250mの高地にある全長4.304kmのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われた決勝レースは71周で争われ、雲が多いながら青空も見える中、気温22.7℃、路面温度38.4℃、湿度47%のドライコンディションでスタート時刻を迎える。フェラーリ、メルセデス、レッドブルの6台は予選Q2をミディアムタイヤで突破しており、いずれも同じコンパウンドを履いてスタートに臨んだ。ピレリはメキシコにC2からC4のドライタイヤを持ち込んでおり、レース用タイヤとしてミディアムもしくはハードを1セットずつ確保することが義務付けられた。
シグナル消灯を受けてルクレールが好発進を決め、ベッテルがハミルトンのカバーに向かって混雑する中、フェルスタッペンがターン1にかけて逆サイドからハミルトンをオーバーテイクしたが、ポジションを奪い返そうとするハミルトンとサイド・バイ・サイドで突入したターン1で2人とも目前のベッテルに引っかかってしまい、接触を避けるためにコース外に飛び出した。
その間にアルボンとマクラーレンのサインツがポジションを上げ、ハミルトンはなんとか5番手の位置をキープするも、フェルスタッペンは8番手に後退している。後方ではアルファロメオ・レーシングのライコネンがサンドイッチされるインシデントも発生しており、バーチャルセーフティカーが発令されて全車が一定の速度での走行を余儀なくされた。幸い、ライコネンは走行に影響がなかったようでレースを続けている。
3周目にはバーチャルセーフティカー解除を受けてレースが再開され、ボッタスと7番手を争っていたフェルスタッペンがオーバーテイクを仕掛けた際に接触があったらしく、右リアタイヤにパンクチャーを抱えた。必死にマシンをコントロールしたフェルスタッペンだが、ほどなくして右リアタイヤのラバーが脱落してしまい、コース外からコース上に流れ飛んでしまったものの、後続車は無事にデブリを回避している。フェルスタッペンはフロアをこすりながらもピットへの帰還を果たし、ハードタイヤに履き替えて最後尾についている。
スタート後に後退を強いられたボッタスはユーズドのソフトタイヤでスタートしたマクラーレン勢を料理して5番手に上がり、10周目を終えてトップ5のオーダーはルクレール、ベッテル、アルボン、ハミルトン、ボッタスとなった。トロ・ロッソのクビアトは8番手につけていたが、新しいミディアムタイヤで第1スティントを走るペレス(レーシング・ポイント)にオーバーテイクを許してポジションを落とす。僚友ガスリーもフレッシュタイヤでスタートした後続勢に抜かれて11番手に下がっており、早めのピットストップに切り替えて第2スティントはハードタイヤを選んでいる。トロ・ロッソは次のラップにクビアトもピットに呼び入れ、同じく今週末の最も硬いコンパウンドを履かせてコースに送り出した。
5番手のボッタスは上位4台から6秒ほど遅れていたが、トップ4は1秒前後のギャップしかない接近戦を繰り広げ、中でもベッテルのDRSゾーンをキープするアルボンは後方のハミルトンを警戒しつつフェラーリ勢にプレッシャーをかけていく。ただ、環境の特殊性からクーリングが課題となるメキシコシティでは前のマシンに近づきすぎるとパフォーマンスを失ってしまうため、アルボンは何度か追い抜きを仕掛けた後、1.5秒ほどの距離に下がってチャンスを待つことにしたようだ。
13周目の終わりにはマクラーレンがノリスをピットインさせるも、左フロントタイヤの装着が終わっていない状態でピットアウトしてしまう。ピットレーン出口のライン手前で停車することができたノリスのもとにチームクルーが駆けつけ、ピットボックスまで押し戻してタイヤを装着し直した。大幅なタイムロスを余儀なくされたノリスはそれでも隊列に復帰してレースを継続しているが、19番手のフェルスタッペンからも95秒以上遅れた周回遅れの状態だった。
一方、上位勢で最初に動いたのはレッドブルだ。アルボンをピットに入れて新しいミディアムタイヤを履かせてコースへと送り出す。アルボンはペレスの真後ろについたが、すぐに追い抜いて5番手の位置で第2スティントに臨んでいる。アルボンに2周遅れてフェラーリがルクレールのピットストップを完了し、アルボンと同じく新しいミディアムタイヤを選んでピットアウトしたルクレールは4番手につけた。
第1スティントを長く取ることにしたベッテル対策として、ルクレールの無線では「重要なスティントになる。プッシュせよ」とのメッセージが伝えられている。19周目に入った時点でベッテルとルクレールの間には18秒ほどのギャップがあったが、1分20秒台のラップタイムを刻んで少しずつ差を縮めていった。
レーシング・ポイントを駆るペレスは20周を走ってピットに向かい、ハードタイヤに交換、クビアトとサインツの間10番手でコース復帰する。続いてアルファロメオ・レーシングのジョビナッツィが最初のピットストップに臨むも、右リアタイヤの装着に失敗してしまう。いったんは発進しようとしたジョビナッツィだが、すぐに気づいて停車し、タイヤをはめ直してピットアウトした。その間にペレスがクビアトに対するオーバーテイクを成功させて8番手に上がっている。
メルセデスのピットが慌ただしくなったのは23周目。ベッテルが24周目に入る一方で、ピットに向かったハミルトンはハードタイヤを選んでコースに復帰した。ルクレールからは7秒以上遅れていたが、アルボンの前に戻っており、スタートで失ったポジションを取り戻すことに成功している。ステイアウトを続けるベッテルとのギャップは20秒あり、ハミルトンはファステストラップを刻んで来るベッテルとのバトルに備えつつ、この時点で3番手にいたルクレールとのギャップも短縮していった。前後のルクレールとアルボンは第2スティントにミディアムを選んでおり、メルセデスとハミルトンとはタイヤ戦略が異なる。
1ストップ戦略を取ることにしたベッテルとボッタスは30周目に入ってもピットに向かう様子はなく、ラップリーダーのベッテルは1分21秒前半、2番手のボッタスは1分20秒後半のラップタイムをキープしていた。
レース序盤に大きく後退を強いられたフェルスタッペンは次々とオーバーテイクを披露して折り返し地点をすぎる前にポイント圏内に復帰。25周以上を走ったハードタイヤで1分21秒前半のペースを維持しており、ひとつ前の位置につけるクビアトよりも0.5秒前後速いラップタイムでチャージをかけている。
ベッテルとボッタス以外ではフレッシュタイヤでスタートしたリカルド(ルノー)とストロール(レーシング・ポイント)もピットに入っておらず、2人とも6番手と7番手の入賞圏内を走っていた。後方17番手にいたグロージャン(ハースF1)も第1スティントを長く取っている。
ポイント圏外ながらサインツとホイール・トゥ・ホイールのバトルを繰り広げたガスリーがマクラーレンを追い抜いた直後、2人を周回遅れにしようとしていたベッテルがマクラーレンのリアに突っ込みかけるシーンがあったが、マシンを振って接触を回避。数秒のロスにはなってしまったが、戦線離脱を余儀なくされるほど大きな損失に至らずにすんだ。
ガスリーに追い抜かれ、真後ろにはライコネンが迫っていたサインツはピットに戻ってタイヤを交換、ミディアムタイヤを選んでいる。同じく37周目にボッタスが最初で最後のピットストップを完了し、次のラップにはベッテルもタイヤ交換を終わらせた。2人ともハードタイヤをチョイスし、ベッテルが4番手、ボッタスが5番手につけ、2人の間には3.8秒のギャップがあった。
ストロールやグロージャンも第2スティントに突入する中、40周を走ってなお自己ベストタイムをマークしていたリカルドはトップ5とのギャップを縮めるほどではなかったものの、後方7番手にいるペレスよりも好ペースを発揮しており、ラップリーダーに返り咲いたルクレールが2度目のピットストップに向かってもコースにとどまり続けていた。
そのルクレールのピットストップでフェラーリがミスを犯す。タイヤ交換に手間取り、4秒をも失ってしまったのだ。右リアタイヤを担当したクルーのホイールガンは装着完了を示すグリーンライトが灯っていたが、スムーズな作業とはいかず、ルクレールはボッタスの後ろ4番手の位置で隊列に復帰している。これを受けてレッドブルが動き、45周目にアルボンのピットストップを完了した。ルクレールもアルボンも最終スティントに新しいハードタイヤを選んでいる。
ルノーがついにリカルドを呼び入れたのは51周目。新しいミディアムタイヤを履かせてコースに送り出し、8番手の位置でチェッカーを目指すことになった。4.7秒前方にペレス、6秒後方に相棒のヒュルケンベルグがいる状況だ。リカルドと同じくピットレーンに戻ってきたノリスはマシンをガレージに入れてレースを終えている。タイヤ交換の問題で2周の周回遅れとなっていたノリスはポジションを上げられぬままマシンを降りることになった。
レース序盤に緊急ピットインを強いられたフェルスタッペンはハードタイヤで超ロングスティントを走っており、残り20周を切って6番手まで浮上していた。フェルスタッペンは前を行くチームメイトに比べるとコンマ数秒遅いペースだったが、すでにギャップは35秒以上開いており、48周を走破したタイヤでもラップタイムは後続勢より速く、ギャップが縮まっていなかったことから、タイヤをケアしながら1ストップでゴールするチャンスにかけた。
ラップリーダーに躍り出たハミルトンもまた、第2スティントを長く取っており、ルクレールやアルボンが2回目のタイヤ交換を実行した一方でリカルドやフェルスタッペンの状況を踏まえて1ストップ戦略を敢行することにしたようだ。レース残り15周を迎えてハミルトンは2番手以下に2.5秒のリードを築き、2番手を走るベッテルはDRS圏内にボッタスを抱えた状態で、そこから1.7秒ほどの位置にはルクレールも控えていた。しかしながら、ルクレールは周回遅れの対応でワイドに膨らみ、ボッタスから3秒近く離れてしまっている。
ペレスと7番手を争うリカルドがフレッシュなタイヤを生かしてオーバーテイクを仕掛けるも、タイヤをロックアップしてコースを飛び出してしまう。芝生を抜けてコースに戻った際にペレスにポジションを戻し、終盤のバトルに備えていったんはタイヤのケアに集中した。
自己ベストタイムをマークしてラスト10周に突入したハミルトンはタイヤの状態が決して良いわけではない様子だったが、それでもリードはほとんど変わらず、ベッテルを近づけさせていなかった。リアタイヤにはブリスターが発生していたにもかかわらず、65周目にはセクター2のファステストをマークするパフォーマンスを見せている。
ペースとリードを維持したままファイナルラップに入ったハミルトンは48周のロングスティントを走り切ってトップチェッカーを受け、1.766秒差でベッテルが2位、ボッタスが3位でゴールした。ハミルトンは優勝を遂げたものの、タイトル決定にはボッタスが4位以下である必要があったため、ドライバーズ選手権争いは次の舞台へと持ち越される。
4位にルクレール、アルボンが5位、フェルスタッペンは実に66周の第2スティントを走破して6位入賞を果たし、ペレスは7位を死守、リカルドは8位でフィニッシュしている。ファイナルラップに入ってリカルドの後方には相棒のヒュルケンベルグがつけていたが、スタジアムセクションでオーバーテイクを仕掛けてきたクビアトと接触してしまい、スピンを喫してウオールにぶつかった。クビアトは走り続けて9番目にチェッカーフラッグを受けたが、インシデントを審議したスチュワードはクビアトに10秒のタイムペナルティを科しており、ガスリーが9位、ヒュルケンベルグが10位で1点を手に入れ、クビアトは11位完走となっている。
ホンダPU勢のトロ・ロッソ・ホンダは、レース結果ではクビアトが9位、ガスリー10位、レッドブル・ホンダのアルボンが5位、フェルスタッペンが6位とすべてポイント獲得かに見えましたが、クビアトに10秒のペナルティがあり、ガスリー9位、クビアト11位の結果となって残念でした。
フェルスタッペンもボッタスとのインシデントでパンクチャーに見舞われ、最後尾に落ちながら6位入賞と頑張りました。
次戦のUSGPではより良い結果を出して欲しいですね!
前日に実施された予選ではレッドブルのフェルスタッペンが圧倒的な速さで最速タイムを刻んだものの、その直前に最終コーナーでボッタスがクラッシュを喫しており、周辺には黄旗が振られていたが、フェルスタッペンは当該区間で減速しておらず、後に3グリッド降格処分を受けている。結果、予選2番手だったフェラーリのルクレールがポールポジションに並び、相棒のベッテルと共にフロントローから決戦に挑んだ。
ドライバーズ選手権を争うメルセデス勢はハミルトンが3番グリッドに繰り上がり、ボッタスはクラッシュでマシンのダメージが懸念されていたが、メルセデスはペナルティを受けることなくマシン修復を完了させ、6番グリッドからスタートしている。メルセデス勢の間にはレッドブルのアルボンがいた。
海抜2,250mの高地にある全長4.304kmのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われた決勝レースは71周で争われ、雲が多いながら青空も見える中、気温22.7℃、路面温度38.4℃、湿度47%のドライコンディションでスタート時刻を迎える。フェラーリ、メルセデス、レッドブルの6台は予選Q2をミディアムタイヤで突破しており、いずれも同じコンパウンドを履いてスタートに臨んだ。ピレリはメキシコにC2からC4のドライタイヤを持ち込んでおり、レース用タイヤとしてミディアムもしくはハードを1セットずつ確保することが義務付けられた。
シグナル消灯を受けてルクレールが好発進を決め、ベッテルがハミルトンのカバーに向かって混雑する中、フェルスタッペンがターン1にかけて逆サイドからハミルトンをオーバーテイクしたが、ポジションを奪い返そうとするハミルトンとサイド・バイ・サイドで突入したターン1で2人とも目前のベッテルに引っかかってしまい、接触を避けるためにコース外に飛び出した。
その間にアルボンとマクラーレンのサインツがポジションを上げ、ハミルトンはなんとか5番手の位置をキープするも、フェルスタッペンは8番手に後退している。後方ではアルファロメオ・レーシングのライコネンがサンドイッチされるインシデントも発生しており、バーチャルセーフティカーが発令されて全車が一定の速度での走行を余儀なくされた。幸い、ライコネンは走行に影響がなかったようでレースを続けている。
3周目にはバーチャルセーフティカー解除を受けてレースが再開され、ボッタスと7番手を争っていたフェルスタッペンがオーバーテイクを仕掛けた際に接触があったらしく、右リアタイヤにパンクチャーを抱えた。必死にマシンをコントロールしたフェルスタッペンだが、ほどなくして右リアタイヤのラバーが脱落してしまい、コース外からコース上に流れ飛んでしまったものの、後続車は無事にデブリを回避している。フェルスタッペンはフロアをこすりながらもピットへの帰還を果たし、ハードタイヤに履き替えて最後尾についている。
スタート後に後退を強いられたボッタスはユーズドのソフトタイヤでスタートしたマクラーレン勢を料理して5番手に上がり、10周目を終えてトップ5のオーダーはルクレール、ベッテル、アルボン、ハミルトン、ボッタスとなった。トロ・ロッソのクビアトは8番手につけていたが、新しいミディアムタイヤで第1スティントを走るペレス(レーシング・ポイント)にオーバーテイクを許してポジションを落とす。僚友ガスリーもフレッシュタイヤでスタートした後続勢に抜かれて11番手に下がっており、早めのピットストップに切り替えて第2スティントはハードタイヤを選んでいる。トロ・ロッソは次のラップにクビアトもピットに呼び入れ、同じく今週末の最も硬いコンパウンドを履かせてコースに送り出した。
5番手のボッタスは上位4台から6秒ほど遅れていたが、トップ4は1秒前後のギャップしかない接近戦を繰り広げ、中でもベッテルのDRSゾーンをキープするアルボンは後方のハミルトンを警戒しつつフェラーリ勢にプレッシャーをかけていく。ただ、環境の特殊性からクーリングが課題となるメキシコシティでは前のマシンに近づきすぎるとパフォーマンスを失ってしまうため、アルボンは何度か追い抜きを仕掛けた後、1.5秒ほどの距離に下がってチャンスを待つことにしたようだ。
13周目の終わりにはマクラーレンがノリスをピットインさせるも、左フロントタイヤの装着が終わっていない状態でピットアウトしてしまう。ピットレーン出口のライン手前で停車することができたノリスのもとにチームクルーが駆けつけ、ピットボックスまで押し戻してタイヤを装着し直した。大幅なタイムロスを余儀なくされたノリスはそれでも隊列に復帰してレースを継続しているが、19番手のフェルスタッペンからも95秒以上遅れた周回遅れの状態だった。
一方、上位勢で最初に動いたのはレッドブルだ。アルボンをピットに入れて新しいミディアムタイヤを履かせてコースへと送り出す。アルボンはペレスの真後ろについたが、すぐに追い抜いて5番手の位置で第2スティントに臨んでいる。アルボンに2周遅れてフェラーリがルクレールのピットストップを完了し、アルボンと同じく新しいミディアムタイヤを選んでピットアウトしたルクレールは4番手につけた。
第1スティントを長く取ることにしたベッテル対策として、ルクレールの無線では「重要なスティントになる。プッシュせよ」とのメッセージが伝えられている。19周目に入った時点でベッテルとルクレールの間には18秒ほどのギャップがあったが、1分20秒台のラップタイムを刻んで少しずつ差を縮めていった。
レーシング・ポイントを駆るペレスは20周を走ってピットに向かい、ハードタイヤに交換、クビアトとサインツの間10番手でコース復帰する。続いてアルファロメオ・レーシングのジョビナッツィが最初のピットストップに臨むも、右リアタイヤの装着に失敗してしまう。いったんは発進しようとしたジョビナッツィだが、すぐに気づいて停車し、タイヤをはめ直してピットアウトした。その間にペレスがクビアトに対するオーバーテイクを成功させて8番手に上がっている。
メルセデスのピットが慌ただしくなったのは23周目。ベッテルが24周目に入る一方で、ピットに向かったハミルトンはハードタイヤを選んでコースに復帰した。ルクレールからは7秒以上遅れていたが、アルボンの前に戻っており、スタートで失ったポジションを取り戻すことに成功している。ステイアウトを続けるベッテルとのギャップは20秒あり、ハミルトンはファステストラップを刻んで来るベッテルとのバトルに備えつつ、この時点で3番手にいたルクレールとのギャップも短縮していった。前後のルクレールとアルボンは第2スティントにミディアムを選んでおり、メルセデスとハミルトンとはタイヤ戦略が異なる。
1ストップ戦略を取ることにしたベッテルとボッタスは30周目に入ってもピットに向かう様子はなく、ラップリーダーのベッテルは1分21秒前半、2番手のボッタスは1分20秒後半のラップタイムをキープしていた。
レース序盤に大きく後退を強いられたフェルスタッペンは次々とオーバーテイクを披露して折り返し地点をすぎる前にポイント圏内に復帰。25周以上を走ったハードタイヤで1分21秒前半のペースを維持しており、ひとつ前の位置につけるクビアトよりも0.5秒前後速いラップタイムでチャージをかけている。
ベッテルとボッタス以外ではフレッシュタイヤでスタートしたリカルド(ルノー)とストロール(レーシング・ポイント)もピットに入っておらず、2人とも6番手と7番手の入賞圏内を走っていた。後方17番手にいたグロージャン(ハースF1)も第1スティントを長く取っている。
ポイント圏外ながらサインツとホイール・トゥ・ホイールのバトルを繰り広げたガスリーがマクラーレンを追い抜いた直後、2人を周回遅れにしようとしていたベッテルがマクラーレンのリアに突っ込みかけるシーンがあったが、マシンを振って接触を回避。数秒のロスにはなってしまったが、戦線離脱を余儀なくされるほど大きな損失に至らずにすんだ。
ガスリーに追い抜かれ、真後ろにはライコネンが迫っていたサインツはピットに戻ってタイヤを交換、ミディアムタイヤを選んでいる。同じく37周目にボッタスが最初で最後のピットストップを完了し、次のラップにはベッテルもタイヤ交換を終わらせた。2人ともハードタイヤをチョイスし、ベッテルが4番手、ボッタスが5番手につけ、2人の間には3.8秒のギャップがあった。
ストロールやグロージャンも第2スティントに突入する中、40周を走ってなお自己ベストタイムをマークしていたリカルドはトップ5とのギャップを縮めるほどではなかったものの、後方7番手にいるペレスよりも好ペースを発揮しており、ラップリーダーに返り咲いたルクレールが2度目のピットストップに向かってもコースにとどまり続けていた。
そのルクレールのピットストップでフェラーリがミスを犯す。タイヤ交換に手間取り、4秒をも失ってしまったのだ。右リアタイヤを担当したクルーのホイールガンは装着完了を示すグリーンライトが灯っていたが、スムーズな作業とはいかず、ルクレールはボッタスの後ろ4番手の位置で隊列に復帰している。これを受けてレッドブルが動き、45周目にアルボンのピットストップを完了した。ルクレールもアルボンも最終スティントに新しいハードタイヤを選んでいる。
ルノーがついにリカルドを呼び入れたのは51周目。新しいミディアムタイヤを履かせてコースに送り出し、8番手の位置でチェッカーを目指すことになった。4.7秒前方にペレス、6秒後方に相棒のヒュルケンベルグがいる状況だ。リカルドと同じくピットレーンに戻ってきたノリスはマシンをガレージに入れてレースを終えている。タイヤ交換の問題で2周の周回遅れとなっていたノリスはポジションを上げられぬままマシンを降りることになった。
レース序盤に緊急ピットインを強いられたフェルスタッペンはハードタイヤで超ロングスティントを走っており、残り20周を切って6番手まで浮上していた。フェルスタッペンは前を行くチームメイトに比べるとコンマ数秒遅いペースだったが、すでにギャップは35秒以上開いており、48周を走破したタイヤでもラップタイムは後続勢より速く、ギャップが縮まっていなかったことから、タイヤをケアしながら1ストップでゴールするチャンスにかけた。
ラップリーダーに躍り出たハミルトンもまた、第2スティントを長く取っており、ルクレールやアルボンが2回目のタイヤ交換を実行した一方でリカルドやフェルスタッペンの状況を踏まえて1ストップ戦略を敢行することにしたようだ。レース残り15周を迎えてハミルトンは2番手以下に2.5秒のリードを築き、2番手を走るベッテルはDRS圏内にボッタスを抱えた状態で、そこから1.7秒ほどの位置にはルクレールも控えていた。しかしながら、ルクレールは周回遅れの対応でワイドに膨らみ、ボッタスから3秒近く離れてしまっている。
ペレスと7番手を争うリカルドがフレッシュなタイヤを生かしてオーバーテイクを仕掛けるも、タイヤをロックアップしてコースを飛び出してしまう。芝生を抜けてコースに戻った際にペレスにポジションを戻し、終盤のバトルに備えていったんはタイヤのケアに集中した。
自己ベストタイムをマークしてラスト10周に突入したハミルトンはタイヤの状態が決して良いわけではない様子だったが、それでもリードはほとんど変わらず、ベッテルを近づけさせていなかった。リアタイヤにはブリスターが発生していたにもかかわらず、65周目にはセクター2のファステストをマークするパフォーマンスを見せている。
ペースとリードを維持したままファイナルラップに入ったハミルトンは48周のロングスティントを走り切ってトップチェッカーを受け、1.766秒差でベッテルが2位、ボッタスが3位でゴールした。ハミルトンは優勝を遂げたものの、タイトル決定にはボッタスが4位以下である必要があったため、ドライバーズ選手権争いは次の舞台へと持ち越される。
4位にルクレール、アルボンが5位、フェルスタッペンは実に66周の第2スティントを走破して6位入賞を果たし、ペレスは7位を死守、リカルドは8位でフィニッシュしている。ファイナルラップに入ってリカルドの後方には相棒のヒュルケンベルグがつけていたが、スタジアムセクションでオーバーテイクを仕掛けてきたクビアトと接触してしまい、スピンを喫してウオールにぶつかった。クビアトは走り続けて9番目にチェッカーフラッグを受けたが、インシデントを審議したスチュワードはクビアトに10秒のタイムペナルティを科しており、ガスリーが9位、ヒュルケンベルグが10位で1点を手に入れ、クビアトは11位完走となっている。
ホンダPU勢のトロ・ロッソ・ホンダは、レース結果ではクビアトが9位、ガスリー10位、レッドブル・ホンダのアルボンが5位、フェルスタッペンが6位とすべてポイント獲得かに見えましたが、クビアトに10秒のペナルティがあり、ガスリー9位、クビアト11位の結果となって残念でした。
フェルスタッペンもボッタスとのインシデントでパンクチャーに見舞われ、最後尾に落ちながら6位入賞と頑張りました。
次戦のUSGPではより良い結果を出して欲しいですね!