名古屋市の国際センターにて、11月23日勤労感謝の日に午後1時から「過労死等防止対策推進シンポジウム」が開催されました。昨年国の法律として成立した「過労死等防止対策推進法」にもとづいて、厚生労働省が愛知会場として開催したものです。
事前申し込みが必要でしたが会場は満席で関心の高さをうかがうことができました。増加することはあっても減ることがないこの問題は、社会的損失があまりにも大きすぎます。過労死した遺族の皆さんが長年にわたって運動を続け、昨年の法律制定となりました。本当に敬意を表したいと思います。
肉体労働から神経労働へと移行していく過程で精神疾患となって苦しみ続けなければならない現代病(職業病)は、24時間働けますか、区切りの無い、リセットできない働き者、休息時間や睡眠時間を削ってでも働かなければ成績評価が上がらない。こうした人間の生理性を無視して尊厳を傷つけている経営体質にこそメスを入れないと過労死等防止対策はしり抜けになります。
トヨタ自動車では、2016年6月から生産現場労働者に、新たに毎月仕事ぶりを評価して、最大で25000円の賃金格差をつけるという「技能発揮給」なるものを導入しょうとしています。現場作業はラインで結ばれており、個人プレイでなくチームワークで車を造り上げるものです。
こうした個人責任制を強く打ち出すことによって、働く者はストレスを増加させて心身ともにダメージを受けるでしょう。こうした仕組みこそ問題があるのです。企業内労働組合は会社に同調しているそうですが、労働組合たるものが、法律に背く行為をしていることに社会的責任を感じるべきです。
過労死等防止対策を実効性のあるものにするためにも働き方、評価の仕方、社会の仕組みを人間らしさに変えていくことです。
トヨタ自動車の自己責任発揮事例です。参考までに
「技能発揮給」の新設……「職能資格」に関係なく、その時々の「働きぶり」を評価して加点、減点する制度。プラス1万5千円からマイナス1万円まで6段階。(’16年6月実施)
「老齢化などによって技能を発揮していない人に奮起を促す」。要するに、体力低下と賃金上昇が望めなくて「労働意欲」が低下した高年齢層、再雇用者を目先の金でこき使おうということ。
【評価する項目】 【考課点】
(1) 規律性(ルール遵守) 期待を大幅に上回り、職場の規範となる働きぶり(+3点)
(2) 協調性(チームワーク) 期待を大幅に上回る働きぶり(+2点)
(3) 積極性(チャレンジ) 期待を上回る働きぶり(+1点)
(4) 責任性(当事者意識) 期待どおりの働きぶり(0点)
期待を下回る働きぶり(-1点)
期待を大幅に下回る働きぶり(-2点)
効果対象者10人当たり1点を原資に加点する、加点原資は半年分合計した点をまとめて配分。