トヨタ自動車過労死遺族の 内野さんから寄せていただきました。
「対外的な視野をもつ貴重な労働組合」
10周年おめでとうございます。
もう10年経つのですね。壮大な目標に向かってATUが設立された10年前の2006年を思い出すと、それは私にとって最悪な年でした。
夫が2002年にトヨタ自動車の堤工場で過労死で亡くなったのにも関わらず、その過重労働やカイゼン活動が認められず、労災認定を求めて名古屋地裁に行政訴訟を起こしていた最中でした。しかも、2005年秋から2006年春にかけて祖父母と母が亡くなり、悲しみの中で混乱した親戚の支援も受けられない中、暗いトンネルを手探りで進んでいました。そんな中、健康センター、家族会、支援の会、うたごえのみなさんに続いて応援して下さったのがATUの皆様でした。
トヨタ関連の組合が2つありましたが、労働環境を中から変えようとする組合と、外から変えようとする組合で、前者は取り合ってもらえなかったので、ATUは後者と理解して支援をいただき、おかげさまで2007年に勝訴しました。
署名や傍聴応援はもちろん助かりましたが、私の裁判の場合は「トヨタ自動車」という会社の名前が大きいので、様々な取材や依頼が舞い込んできました。私は遺族としての意見は言えますが、会社の状況や労働環境などは分かりません。そんな時は、ATUのように外に門戸を解放している組合がとてもありがたく、いつも委員長さんに繋ぐことができ、とても助かりました。
特に、外国特派員協会の記者会見は判決直後で大混乱の中、その意義も分からず準備もできない精神状態で行う事になり、思い返したくないほど恥ずかしい状況でしたが、労働組合として一緒に行動して下さり、とても心強かったことが思い出されます。
ATUは会社の内外や日本に留まらず、世界に発信できるパイプを持つ意義ある労働組合でとても貴重だと思います。トヨタの研究者の方々も在籍しています。今後も、個人加盟の労働者など支援のない方にとっても強い味方ですので、その意義ある活動を継続していただきたいと思います。本当にありがとうございました。