アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

梅花藻ではありませんでした

2020-05-30 18:21:46 | みんなの花図鑑
同じ町内に住む先輩からケータイ・ショートメールがありました。

「 K保育園の傍の川に 梅花藻? の花が咲いてるよ。」

まさか!? とは思いましたが、先輩の言うことなので すぐ行ってみてきました、。
先輩には 「えっ、ホントだったら すごいです(^^)/」
と返事しておいて ...


この川は 以前カルガモの親子の写真を撮った用水路で、 梅花藻が育つような環境ではないことはうすうす分かっていたのですが、 行ってみると、下流に堰があって 川の水には流れがありません。
水面近くに降りていけなかったので、コンデジで堤防からとったものを思いっきりトリミングして見ています。




同じような写真ですが、 これは バイカモの花 ではありません。

「バイカモ(梅花藻) 日本固有種。冷水を好むため、北日本では水路や河川などに広く分布するが、西日本などでは上流や湧き水のある地域に分布域が限られる。」(wiki 「バイカモ」)
「花は葉腋から伸びた長さ3-5cmの花茎の先につき、白色の花弁を5枚つけた花が水上で開花する。」(同上)
問題の花は 3弁花なので、そこからしても バイカモ ではありません。



では、これは 何かというと、 、 おそらくですが、 外来種の オオカナダモ ではないかと思います。




花は小さいので、土手の上から見てたのでは よく分かりませんけど、 このように 葉を見れば 一目瞭然です。
梅花藻の葉は もっと細く、 イメージ的には スギナを水草にしたような感じです。
ところが、この水槽の葉は 太く ごわごわした感じですよね

参考

大阪府立環境農林水産研究所「オオカナダモ、コカナダモ、クロモの鑑別」




詳しくは ウィキペディア「オオカナダモ」 などをご覧ください。


私は シリアで調査をしているとき、 同僚が アワジ川の源流で 梅花藻を発見し 「この国も捨てたものじゃない」と感心していたのを覚えています。
日本でも 梅花藻が生育できる環境は 限られてきているようです。

ザクロ(ポムグラニット)‐ 思い出

2020-05-30 11:03:43 | みんなの花図鑑

ちょっと前にはあんなに赤かったザクロ の葉も 新緑色(?)に移り、 いまザクロには花が咲いています。




褐色の葉もわずかに残っていますけど、燃えるようなあの赤ではありません。




初夏に鮮紅色の花をつける。(wiki 「ザクロ」)




花は子房下位で、蕚と花弁は6枚、雄蕊は多数ある。 (同上)




[果実]は花托の発達したもので、球状を呈し、秋に熟すと赤く硬い外皮が不規則に裂け、赤く透明な多汁性の果肉(仮種皮)の粒が無数に現れる。果肉1粒ずつの中心に種子が存在する。(同上)


英語で ザクロのことを Pomegranate ポムグラニット といいます。
これは 古いフランス語の PommeGrenade から来ています。 Pommeは今ではリンゴですが、古くは 「果実」一般の意味だったらしいです。それはOKなのですが...
では 「Grenade」のほうはどういう意味かということですが、 こういう説があります。 「Grenade」はスペインのグラナダ地方のことで、スペインのグラナダ地方特産の果物ということで PommeGrenadeになり、それが英語で Pomegranate になったのだと。。。
。。。
これには少々異論があります。
ザクロの原産は、イランやインド北部、サウジアラビアなど。 グラナダの特産かもしれませんが、原産ではありません。

1492年、イベリア半島最後のイスラーム圈だった 「ガルナータ王国」 は、カスティーリャ・アラゴン連合王国に敗北し、半島からイスラーム勢力は消滅します。
キリスト教圈で、「ガルナータ王国」 を、いつから、Granada [ グラ ' ナーダ ] と呼んだものかハッキリしません。11世紀から、そのように呼んでいたものでしょうか。
mixi 「「グラナダ」 は 「ザクロ」 の意味か?」 より)

そこに書いてありますが、 もともとラテン語で granatum [ グラー ' ナートゥム ] は 「ザクロの実」のことでした。
これは granatus 「粒状の種の多い」 という形容詞の “中性形” です。
なので 英語のPomegranate、 古フランス語の PommeGrenade の意味は 「粒状の種の多い果実」 ということだったのです。



ずっとまえ シリアの首都ダマスカス郊外で撮影した ザクロ。
私ははじめてダマスカスを訪れたとき オールドダマスカスの市場(スーク)で 片手で持つのがやっとの大きなザクロの実をみつけ、感激したことがあります。 5シリアンポンドだったか、とにかく売り子にむかって 5本指を出したら、このでかい果実を5つもくれ、 一つ食べるだけで腹いっぱいになり、翌日オフィスにもっていっても誰も食べてくれなくて 往生したことがあります。
懐かしい思い出です。



クワ (スウィート・マルベリー)‐ 思い出

2020-05-30 00:46:47 | みんなの花図鑑
見出し画像は だいぶ黒くなったマルベリーです。(5月26日撮影)


クワには ヤマグワ(学名:Morus australis) と マグワ(Morus alba) 他にも ログワ(Morus latifolia Poir) がありますが、英語では どれも マルベリー(mulberry) です。 なので、 識別のために、 食せるマグワのことを スウィート・マルベリーと呼ぶようになったのではないかと推測しています(← 個人の感想です (^^))
ヤマグワを食べないのは、 毒があるからとかではなく、 ヤマグワの果実は そのツブツブに雌しべの残骸がツンツン残っているんです。なので 食べるとそれが しゃもしゃも? しておいしくないんです (´・ω・)
上の画像は 「鈴成りクワ」という名前で憩いの農園で販売されていた鉢植えのクワですが、花柱がいっぱい出ています。 マグワといったって、果実に成り始めは こうなのです。



これは別のところで 4月25日撮影した (スィート?)マルベリーですが、 こんなふうに取手がにょきにょき出ています。




同じ日同じ個体を撮影したものですが、 これなど、めしべの花柱どころか 白っぽい毛の生えた雌しべの柱頭(ここで受粉します)がついています。



それより前の状態は こんな風です。 受粉前なのか、 子房は白い毛の柱頭でおおわれています。


そして、 ヤマグワのばあいは この状態が果実になっても続くのですけど...

マグワ(≒ スィート・マルベリー)のばあいは このように だんだん剥がれ落ちて 表面がつるつるの果実になっていくのです^^




色も 赤から 黒になるころが食べ時です ^^



(追記) クワというと必ず思い出すことがあります。 失敗談ですが。
私はかつて 一年の1/3~半分をシリアで生活していたことがあります。 1か月くらいですと ホテル暮らしで済ませちゃうのですが、3か月以上のときは 必ず 部屋を借ります。
ある年のことです、 やはり数か月滞在するために 宿泊する家を探していましたが、 ある候補の家を下見していて そこがマンションの2階でベランダがあり、そのフェンスに 地上から伸びた一本のクワの葉が伸びているのを見つけ(それだけが理由ではなかったのですが) この部屋をその年のレジデンスに決めました。 数か月先には 桑の実が生るシーズンになる、 そうしたら 桑の実が食べられる (^^♪
そう思ってのことでした。
ところが 桑の実のなる季節になっても いっこうに 赤や黒の実が生りません。 チームのドライバーにそのことを話したところ、かれが 私の考えてもみなかったことを言うのです。「アブリルさん(←仮名です)、そりゃ 実のならない桑の木だよ。桑の木には 実のなる桑の木と 実のならない桑の木があるんだよ」と !
クワが雌雄異株というのを この時初めて知りました (T△T)


これはダマスカス郊外の農業保護区 アブー・ジャラッシュ・ガーデンのスナップです。
ダマスカスに駐在しているときは 安息日のたびに ここを散歩しました。
あるとき、いつものようにここを散歩していると、 ポプラのように背の高い桑の並木があって、一家総出で 桑の実を採取していました。
収穫方法は原始的で、シートを下に敷いておいて 長い竹ざおで たたき落とすのです。(オリーブの実の採取も同様でした (´∀`))
面白かったのでず~っと見ていたら、 小学校3年生くらいの女の子が手のひらに 桑の実を乗せて 私のところへもってきてくれました(^_-)-☆ あれはおいしかったです。
シリアでは 桑の実をジュースにします。街頭で コーラの瓶などに詰めた自家製マルベリージュースを売ってるのですが、これが甘いのです。 アラブの人はアルコールを嗜(たしな)まないので、甘いものに目がないのかもしれませんが、 私は 生で食べたほうがずっとおいしいと今でも思っています。