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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

オオニシキソウ - こまい花16

2020-08-23 19:38:57 | みんなの花図鑑

オオニシキソウはとても小さいです。でも コニシキソウという仲間がいて、それはもっと小さいです。
どれくらい小さいかというと、ヒメリンゴみたいな青い果実が付いていますが、これで 2mm くらいです。




少し引いてみてみると、あ~ この雑草のことかと思い出してもらえるかな? 今田んぼの畔などに、こんな風にいっぱい伸びてきている雑草です。
トウダイグサ科トウダイグサ属(Euphorbia)の一年草。以前は近縁種と共にニシキソウ属(Chamaesyce)に分類されることも あったが、最近のDNA配列研究によってトウダイグサ属に移された。(ウィキペディア)





トウダイグサ属の花は「杯状花序」といってとても特徴のある花序でできています。「杯状」とは「コップ状」ということで、苞葉の変化したコップから 花が咲きます。
画像には 5つほど杯状花序が写っています。コップの中から 魔法の玉手箱のように 色々な花の器官を生産します。




コップの中から生まれてくるのは、雌性先熟といって、まず雌花です。雌花といってもめしべだけです。つまり 果実のような子房とその頭に授粉用の器官=柱頭をつけてこれだけで雌花です。子房は生まれるとぐんぐん大きくなり コップ(杯)のなかに収まらなくなります。それで 自らの重みで コップの横に ぶら下がります。




上の画像の左の花序は 奥のほう 2つが 雌花を生んだところです。子房はまだ小さいので上を向いています。
問題なのは 右の褐色の子房(果実)です。
こんなに大きくなってるのに、カップの横に垂れ下がっていません。どうしてでしょう?





通常、雌花の子房は成長すると自らの重みで 果柄を折り曲げ カップの横にぶら下がります。横にぶら下がらないのは、受精してないので 中身が充実してなく軽いからです (いわゆる「シイナ」の状態です)。それで 上を向いたままなのです。




その部分だけ トリミングして見ました。右(ピントの合ってるほう)が受精して果実になった子房。左上(ピントの合ってないほう)が 受粉してなく「シイナ」状態の子房。右に比べ左は はるかに軽いと思います。
シイナの果実はその後どうなるのでしょうか?




一番左の花序のようになります。ヒメリンゴの軸だけが残ったような姿をしています。




めったに見られないのですが、果実に 蜜のようなものが垂れています。
この蜜は すぐ上の別の花の腺体から垂れてきたものと思われます。




説明が後先になりましたが、花序を上から見ると白い花びらのようなものが4つあります。
これは 「付属体」といってそれらの中央寄りに飴状の粒がついていますが これが「腺体」で蜜を出す器官です。
雌花(子房と柱頭)がカップの横に移動したあと、腺体とその付属体が花開き、そのあと 雄花(おしべ)が生産されます。いくつかの花序では 黄色い花粉が見えています。




2 コメント

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Re: なつみかんさん^^ (アブリル)
2020-08-23 20:56:51
こちらこそ、いつもありがとうございます。
宿題のひとつ「リンゴの軸」問題が、ようやく解けました (^^♪
でも、一年過ぎると全部忘れちゃって、なかなか先へ進めませんが、貧しい進行形で行きますので、これからも応援よろしく \(^o^)/
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ありがとうございます!! (なつみかん)
2020-08-23 20:42:10
アブリルさん、こんばんは。
オオニシキソウの花の説明、ものすご~く分かりやすかったです!!
言葉だけでは分かりにくいところ、適切な写真を添えていただいているので、ちゃんと理解できました。
しかも、「カップからよこにぶら下がる子房」だけではなく、受精しないまま膨らんだ子房の説明まで!
雌花のあとで成熟する雄花についても、きちんと。
アブリルさんの解説シリーズ、やっぱり本にしていただきたいです~
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