アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ミソハギ ‐ シベの3タイプ

2022-07-22 06:00:03 | みんなの花図鑑
1. 安城デンパークにて

前回サルスベリがミソハギ科に属すと聞いて、ミソハギとサルスベリの共通性は何だろうと考えました。
そして「花弁がくしゃくしゃなまま咲いていること」と勝手にひとつの答えを出してみました。
「くしゃくしゃ」じゃ明らかにデメリットと予断が入ってるので、あるサイトの記述を借りると・・・




「ミソハギとは、お墓やご仏壇に供える盆花として知られている植物です。すっと長く伸びた茎の先に、サルスベリを思わせる紅紫色のフリルがきいた可憐な花を咲かせます。」(HORTI by GreenSnap「ミソハギ(禊萩)とは?お盆に飾る意味や育て方は?」)
ただ・・・
ミソハギの花弁はサルスベリほど縮れていなくて、早くもたったひとつの答えが揺らぎだしています(´・ω・)




しょせん外観から共通性を求めることは無理なのでしょう。




さてここからは 本題です。
ミソハギのシベには 3タイプある、という話です。
安城デンパークのお堀の縁に生えていたこのミソハギを見ると、2種類の雄しべがあることが分かります。
長いおしべと短いおしべ。
長い雄しべの葯は何とも不思議な色をしています。
銅が錆びると緑青(ろくしょう)になりますが、あれをさらに暗くしたような色。
岩石でいうとアルカリ性地質の変成帯などにできる蛇紋岩の色にも似ています。




2. 北山崎町にて

今度は その対極になるシベのタイプです。
いちばん先に突き出ているのは一本の雌しべです。
先ほどの安城デンパークのミソハギの花では 2種類のおしべがあることを観察しましたが、めしべは見えませんでした。




先ほどの花では めしべは花冠の付け根に近いところにあって見えなかったのです。




このように、おしべが突き出している花で花粉を受け取ったハチが、今度は雌しべが突き出ている花に止まると、めしべに花粉がつきやすくなります。




ミソハギは株ごとに シベの配置順を変え、同じタイプの花とでは受粉しにくいようにしているのです。




でも・・・
雄しべが突き出している花で花粉を受け取り、めしべが突き出た花で花粉を与えるシーンは想像できるのですが、
この逆、めしべが突き出た花(おしべは引っ込んでいる花)で花粉を受け取り、雄しべが突き出している花(めしべは奥のほうにある花)に花粉を渡すシーンは 図体の大きいハチでは成立しにくいですよね




ここで、一度整理してみます。
ミソハギの 雄しべは全部で 12本もあるのですが、そのうち 6本が長く、残りの6本は短いこと。
それで、長い雄しべ、短い雄しべ、めしべ の位置関係が3種類あることを知りました。

 a. 長い雄しべ > 短い雄しべ > めしべ
 b. 長い雄しべ > めしべ > 短い雄しべ
 c. めしべ > 長い雄しべ > 短い雄しべ

この3タイプです。

いちばん最初の安城デンパークのミソハギは aタイプでした。
2番目の 北山崎町のミソハギは cタイプでした。



3. 大岡町にて

この日は色んなタイプのミソハギを求めてあちこち探し回りました。
大岡町のさるお宅の庭にもミソハギがあったのですが、これもどうやら aタイプのようです。




一体全体 おしべになぜ2種類あるのか?分かりません。
そういえば、サルスベリも2種類でした。サルスベリのばあい、黄色い短いほうは訪花昆虫の餌用ということで、本来のおしべは長くカールしているほうでした。
ミソハギの短いほうの雄しべも黄色い葯なので、サルスベリと同じように 虫の食用 なのでしょうか?
でも、だとしたら、めしべが一番奥の aタイプ は 花粉の奥に雌しべがあるわけだから、虫がそこまで行く可能性は他のタイプに比べずっと低いですよね?!




4.安城町にて

最後に、安城町で見たミソハギですが、残念ながら bタイプではありませんでした。




前に突き出てるのは 蛇紋岩色をした葯を持ったおしべ、つぎは 黄色い葯の雄しべです。つまり、aのタイプです。
前述のように、aタイプは めしべが一番奥の花筒の中に隠れているので、よっぽどのことがない限りこのタイプのめしべは花粉を受け取れないと思います。
仮説ですが、もし花筒のいちばん奥に蜜が出ているとするなら、花粉を食べにくる(ハチではなく)小型のアリなどが潜り込んできて b または cタイプのシベで花粉を受け取ったあと、このaタイプの花に移動してきて雌しべに花粉を擦り付けることは十分考えられます。
ただし、アリはハチのように遠くまで運べないので、異なるシベ配置タイプの花(株)が至近距離にあることが条件ですが。




同じ株の別の花です。
一瞬、たくさんの雌しべ?!と思いきや、これは葯の落ちたおしべですね !(^^)!
なかなかすべてのタイプをお見せできないです。




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サルスベリ - 樹に咲く花51

2022-07-21 06:00:06 | みんなの花図鑑

梅雨明けに咲くサルスベリの花は 同じ頃咲く草本ミソハギと同じ科の木本です。




ミソハギ科の見かけの特徴は何でしょう?




「花弁は薄く、蕾の時には不規則に折り畳まれている。」(wiki 「ミソハギ科」)
どうやら花弁は開花してもしわくちゃのままなのが見かけ上の特徴なようです。




さて、サルスベリの花で花弁の次に目立つのが黄色い葯を持った雄しべです。
ところが、実は花の中心の黄色い葯の雄しべは不稔性で訪花昆虫たちの餌用だというのです。
おしべはこの黄色い葯の他にもあって、黄色い葯の雄しべを上から取り巻くように下を向いている6~7本の目立たないおしべがそれです。




ハチがこのよく目立つ黄色い葯めがけて食いつこうとすると、周囲の背の高いおしべの花粉がハチの背中に付くという仕掛けになっているのだそうです。




このクマバチ、ひっきりなしに花を渡り歩いていますから、周囲の花の雌しべが受粉するのは時間の問題でしょう。






蕾のときは この長いおしべもまた花弁や餌用おしべと一緒にこの小さい萼の袋の中にくちゃくちゃになって押し込まれているように見えます。




写真を撮ってきて気が付いたのですが、その長いおしべの2つが葯をくっつけ合って花糸をアーチにしています。
まるで ノウゼンカズラの雄しべのようです。
あるいはトレニアの雄しべも2つがひっついてアーチを作りましたね(^_-)-☆



明日は 今度は草本のミソハギ科ミソハギを取り上げます。
ミソハギのシベもまた面白いですよ (^_-)-☆




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アカメガシワ - 樹に咲く花50

2022-07-20 06:00:06 | みんなの花図鑑
予告通り、<樹に咲く花>第50回は トウダイグサ科のアカメガシワです。
アカメガシワは雌雄異株(しゆう・いしゅ)です。


雄花

まず、雄株に咲く雄花から。




花といっても花弁はありません。おしべだけです。




たくさんの雄しべが球状になって ぼんぼり のようです。




何というハエでしょうか? ツマグロキンバエ? 口先が長いです。




ちょっとピンボケですが、真正面から。















雌花

次は雌株に咲く雌花です。花弁はありません。雌しべだけです。
始めのころは子房はまだ未成熟なので3つに分かれたクリーム色の柱頭が目立ちます。




しばらくすると子房がどんどん膨らんできます。
柱頭の色には個体差があって、もっと赤くなるものがあります。




子房からは棘状の突起がたくさん生えています。
子房の表面の白い点は腺点と呼ばれています。



参考(去年撮った 雌花)






















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ナンキンハゼ - 樹に咲く花49

2022-07-19 06:00:05 | みんなの花図鑑
久しぶりの<樹に咲く花>、今回は トウダイグサ科のナンキンハゼの花です。

ナンキンハゼ ’メトロ・キャンドル’

最初は、安城デンパークの園芸品種のナンキンハゼです。
斑入りの葉が美しい ’メトロ・キャンドル’ という名の園芸品種です。




葉の間から伸びているのがナンキンハゼの雄花です。




雄花は長い房状に咲くので、良く目につきます。




雄花ばかり目に付きますが、では雌花はどこにあるのでしょう?
それとも この木は雄株で 雌花は雌株についているのでしょうか?




いえ、ナンキンハゼは 雌雄同株で 雌花は 雄花の穂の基部にいくつかあります。





ナンキンハゼ ’サマー・フリンジ’

安城デンパークには 他にも ナンキンハゼの園芸品種があります。




この ’サマー・フリンジ’ という名の園芸品種は 雌花の付き具合が多い品種のようです。




それにしても 雌花の柱頭の大きいこと(やや細長い球の上に伸びているのが花柱と柱頭です)!





ナンキンハゼ 自生種?

これは デンパークではなく用水路の土手に生えていたナンキンハゼです。
ナンキンハゼは中国原産の外来植物ですから、園芸種でないからと言って自生とは言えないかもしれませんが、鳥がこの実を好んで食べ、種子が散布されやすいことから、どんどん野生化しています。




黄色い雄花の穂の基部に すでに果実になりかけた子房があります。




雄花は樹に咲く花の常として花弁は無く 一つの小花におしべが2つ伸びています。




この果実が秋には白い蝋の殻(仮種皮)をつけた実になります。




明日は 同じくトウダイグサ科のアカメガシワを取り上げる予定です。
アカメガシワは今度は 雌雄異株です。


ヤブガラシ - 虫のレストラン

2022-07-18 06:00:02 | みんなの花図鑑

いきなり番いのハナムグリが前面に出てきて、主題のヤブガラシが霞んでますが・・・




はい! ヤブガラシはブドウ科のつる性植物で、
学名は Cayratia japonica




種小名が japonica ですが、広く熱帯アジア~東アジアにかけて分布するつる性植物です。




開花したときは 花弁4枚、おしべも4個。




オレンジ色の花盤の上にあふれるほどの蜜を出します。




やがて 花弁が落ち、おしべも1個、2個と・・・




落ちるころ、花盤の色はピンクに変わります。




受粉して花盤がピンクになった後もこのように蜜があふれている花もあります。





~~~~ コラム ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人の目というのはいい加減なもので、平行線が補助線を入れるだけで交差しそうなほど方向を変えたり、同じ長さの線分2つの片方に <> を こう片方に ><をつけると同じ長さに見えなくなるなどよく心理学のクラスでやりましたが・・・

つぎの画像の2人は 同じツートンカラーのドレスを着ているというのです。
((注)左の明るい方形と 右の暗い方形の中だけの比較です



どう目をしばたいても、
 左は黒と青
 右は 金と白色
にしか見えませんが ・・・

試しに、左のドレスからある部分を切り取って そのまま右の同じ位置に移動してみると・・・



あ~ら、不思議! 色が変わる。
ということは 右と左は同じツートンカラー?!?!




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八重のムクゲとタイタンビカス - アオイ科

2022-07-17 06:00:02 | みんなの花図鑑
ムクゲ

ムクゲの学名は Hibiscus syriacus
属名 Hibiscus ヒビスクスは 古代ギリシャでフヨウを意味する「ハイビスカスの」に由来し、
種小名 syriacus シリアクスは「シリアの」という意味ですが、原産は中国。
では なぜ「シリアの」なのか?




ムクゲの古い学名は Althaea frutex で 「低木のタチアオイ」とされていました。
タチアオイは 12世紀ごろに十字軍によってシリアから運ばれてきたと伝えられています。
当時シリアの一地域だったエルサレムから持ち帰ったのが タチアオイのヨーロッパでの始まりで、この逸話がムクゲの新学名のほうに引き継がれて Hibiscus syriacus となったということらしいです。
あるいはもっと単純に、シリアで採取された標本を基にリンネが名前を付けたため、「シリアの」が種小名に使われたとも説明されてるようです。



ところでこのムクゲですが、本来花弁は5枚なのに、花弁が重なってもっとたくさんあります。




5枚を超える内側の花弁は 雄しべが花弁化したものです。




ムクゲの雄しべ(というか、アオイ科の雄しべ)はみな合着して中空の筒になっています。
雄しべ筒の中から突き出て4つに分かれてアンテナのような柱頭を展開しているのがめしべです。




八重化が進むとこの雌しべまでも花弁に変わってしまうそうです。
この花は雄しべ筒も雌しべもまだ残っていますから、半八重といった状態でしょうか?





ムクゲ

別の場所で出会った紫のムクゲです。
やはり雄しべが花弁化しています。




でも、雌しべまでも花弁化はしていないようです。




他の花から虫が花粉を運んだら受粉するのでしょうか?




上の白のムクゲと同じで、雄しべの先の葯もまだいくらか残っています。
私は 完全に雄しべ筒と雌しべの無くなったムクゲの花をまだ見たことがありません。






タイタンビカス

安城デンパークのタイタンビカスです。
タイタンビカスは三重県津市の赤塚植物園がモミジアオイとアメリカフヨウを交配して作った品種です。
なので 花はアメリカフヨウにそっくりなのに、葉はモミジアオイのように切れ込みがあります。




シベは 雄しべ筒とその中を貫通してきた雌しべのセットです。








アメリカフヨウやタイタンビカスの雄しべや雌しべはみな 上を向いているのが特徴です。




さらに寄って、雄しべ筒の中から雌しべの花柱が出て来る境目を観察(図の矢印)しています。全部白色なので分かりにくかったですね。


〔参考〕
アメリカフヨウ









モミジアオイ












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ヒマワリ - キク科集合花

2022-07-16 06:00:08 | みんなの花図鑑

ヒマワリ(向日葵)とか英語名のサン・フラーワーは太陽の方向を向いて咲くという意味だと思いますが・・・




実際は花が咲いた後はほとんど東に向きを固定し動かないのだそうです。




では花のときはなぜ東を向くのか?
西を向いて咲くと日が当たらないため花が暖かくならず、訪花昆虫の訪れる回数がぐっと減るからなのだそうです。





さて、1個の花に見えるヒマワリは、外側が黄色い大きな花弁をもつ舌状花、内側には小さい筒状花がびっしり並んだ花の集合体です。こういう小花の集合体を頭状花序といいますが、私は組織的に集合していることを強調して「集合花」と呼びたいと思います。




一個一個の花を「小花(しょうか)」といいます。花弁の舌状花も一枚一枚が独立した小花です。
独立していますが、どこからか指令が来るのでしょうか?舌状花は花弁の一枚だけを肥大化させ、
筒状花は外側から内側へ順番に開花していきます。




上の画像で右上が筒状花の中心でまだツボミの状態です。
その周囲の黒い筒が「雄しべ筒」で雄しべの合着したものです。筒の内側に花粉が出ます。
左側に雄しべ筒の中からでて2つに分かれてひつじの角のような形をした雌しべの柱頭が見えます。




トリミングしてみました。
雄しべ筒の上の黄色いものが花粉です。(雄性期)




雌しべが花粉を押し上げた後、雌しべが柱頭を展開しているところです。(雌性期)





雌しべの花柱は雄しべ筒の中を貫通して花粉を筒の外に押し出す役目をしています。
めしべの棒の外側には花粉が付いていることが多いです。
やがて花柱の先が2つに割れ、内側に柱頭を展開します。




いちばん外側の筒状花は 雌しべ期も終了し、星形をした花冠が目立っています。




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シオデと分かるまで (^^♪ ‐ Google Lens

2022-07-15 06:00:06 | みんなの花図鑑

ちょっと前のことになりますが・・・(6月29日)
柳川瀬公園(豊田市)のマレットゴルフコースの木の下に、こんなつる性植物がありました。




以前に、見たことあるような・・・




無いような。。。



そこで例によって Google Lensで検索してみます。

最初は Smilax lasioneura を第一候補に挙げてきました。
いきなり学名で答えられても何のことか分かりません。
あとで分かったことですが、属名 Smilax とは シオデ属(サルトリイバラ属)のことだったのです。




つぎに、候補に挙げてきたのは Smooth carrionflower でした。
確かに、その下の画像と感じがよく似ています。
検索すると
Smooth Carrion Flower (Smilax herbacea) となっています。
《Smooth Carrionflower(Smilax herbacea )は、長さ2.5mまで成長できる草本の多年生のつる植物です。滑らかなカリオンフラワーは春の終わりと初夏に咲きます。それは香りのよい、緑がかった黄色の花のクラスターを生成します。花は腐肉のような香りがします。》




蕾の状態をGoogle Lens に尋ねたら、サルサパリラと言ってきました。
「サルサパリラ (Sarsaparilla) とはサルトリイバラ科シオデ属(サルトリイバラ属)の植物である。」(wiki)
こんな赤い実がなるかどうかは別にして、どうやらサルトリイバラの仲間のようです。





それで、何回目かのGoogle Lens検索で 「シオデ」が候補に出てきました。






シオデ (サルトリイバラ科サルトリイバラ属)
Smilax riparia
「サルトリイバラ」の仲間で、よく似た感じの雌雄異株のつる草です。(山川草木図譜「シオデ」)




「新芽や若葉は山菜として親しまれ、また根は生薬として使われてきました。」(同上)




「サルトリイバラより小さめの葉で、夏には葉脇から球状の花序が出ます。」(同上)




「同属の「タチシオデ」とよく似ていますが、雄花は花被片がうんと反り返り、雄しべの葯が鉤型に曲がるのが特徴的です。

秋には黒い実が生ります。」(同上)





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メキシカン・ライオンズイヤー - キツネノマゴ科

2022-07-14 06:00:02 | みんなの花図鑑

何ということはない、夏になるとよく見る花ですが・・・
非常に誤解されることの多い花です。




第一に、名前が誤解されやすい。
「メキシカン・ライオンズイヤー」は流通名、いわば芸名で、本名は 以下です。

ただ、「デクリプテラ・スベレクタ」は学名の Dicliptera suberecta をカタカナにしただけのもので、私たち日本人には単なる記号としか見えません。




第2に、「ライオンズイヤー」という別の花もあることです。
ライオンズイヤーというのはこのような花のことです↓
(クリックで拡大)
ライオンズイヤー(ライオンの耳)は「カエンキセワタ」のことです。
上の画像検索は「ライオンズイヤー -メキシカン 花」という検索ワードで、(ライオンズイヤーの前に)「メキシカン」と付く名前を除外して検索しています。

もし「-メキシカン」という条件を付けないで、「ライオンズイヤー 花」で検索するとどうなるか?
下がその答えです↓
(クリックで拡大)
検索画像には ライオンズイヤー(レオノティス、カエンキセワタ)の他に 今日の話題の「メキシカン・ライオンズイヤー」が含まれてしまいます。
ただ、レオノティス(カエンキセワタ、ライオンズイヤー)は冬に咲く花なので、実物を見て間違えることはなさそうです。
ちなみに レオノティスは木本で、今日の話題のメキシカン・ライオンズイヤーのほうは草本です。




第3に、一見シソ科の植物に見えて実はそうではなくキツネノマゴ科の花だということ。
そう見えるのは 花が「唇形花」の形をしているからです。
「唇形花」とは合弁花のひとつで、筒状の花びらの先が上下の二片に分かれ、それが唇のような形をしているからです。多くのシソ科の花が唇形花です。ゴマノハグサ科にも唇形花が多いらしいですが、このメキシカンライオンズイヤーはそのどちらでもなくキツネノマゴ科なのです。
(そういえば キツネノマゴってちっちゃいけれど唇形花ですね)
(クリックで拡大)




第4に、実物でなく写真ですと大きさが分からなく別のものと間違われやすいです。
私が6年前「みん花」掲示板にこの花を質問したとき、当然?花しか提示しなかったのでそのときは
ヒメノウゼンカズラ (←クリックで拡大)
にされちゃいました(´・ω・)




とまれ、上の画像にあるように、受粉すると長~いめしべを残して 赤い花冠とおしべはすっぽり落ちてしまいます。
あまりにも長いので、右のように抜けきれなくてとどまっている花冠もあります。




長い糸のようなめしべだけが残っているさまは ノウゼンカズラが同じようにあの長い花冠と2対のおしべをそっくり落として雌しべだけを残してぶら下がっている姿のそっくりなんです。




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ノアザミ - キク科アザミ亜科

2022-07-13 06:00:07 | みんなの花図鑑

矢作川堤防のノアザミです。
ミツバチが訪れています。
(ミツバチと頭花の大きさが不釣り合いですが、合成写真ではありません、念のため





キク科の花序は小さな花(小花)がたくさん集まり、さらにそれが全体としてひとつの花に見えるようになっています。このような花の形状を頭状花序といいます。
キク科の中でもキク亜科の花は、中心の筒状花(管状花)の集合と外縁の花弁の役割をする舌状花の集合でできています。
キク科の中でもアザミ亜科の花は、中心の筒状花(管状花)の集合だけでできています。つまり周囲の花弁に相当する舌状花が無いのです。




キク亜科でもアザミ亜科でも、小花の集合を纏めて(総じて)包む普通の花でいう萼(がく)の役割をする「総苞片(そうほうへん)」が付いています。
タンポポではこの総苞片がカールしているとセイヨウタンポポ、していないと在来のタンポポと区別できます。
ノアザミはこの総苞片がネバネバします。



以下、筒状花(管状花)の構造を少し写真観察してみます。

先程ミツバチの口(歯)があった部分、筒状花の(一本の棒のように見える)シベのいちばん高いところは雌しべ(の柱頭)です。




めしべの柱頭が2つに割れてカールして受粉体制に入っています。
一帯ののアザミは花の後期(雌しべ活動期、雌性期)に入っています。




頭状花序はたくさんの小花の集合だということを観察します。
一つ一つの小花(筒状花)は 5つに割れた花弁をもっています。




花弁の中から 一本の棒が伸びています。
この棒は一本のように見えますけど、刀と鞘(さや)の関係に似た構造をしていて、鞘の部分が雄しべ、刀の部分が雌しべになります。




その部分を 横から見て見ます。




「一つの筒状花は中心に細長く伸びるめしべとそれを筒状にすっぽり包むおしべを備える。」(wiki「アザミ属」)



雄性期

この頭状花序はほとんどの小花がまだつぼみで、わずかに3個だけが花を咲かせています。
刀の鞘に当たる雄しべ筒の先から花粉が出ています。この花粉は筒の内側にあったものを雌しべの棒が押し出したものと考えられます。


矢作川のノアザミはすでにこの雄性期(花粉の時代)を過ぎていますので、別の場所の雄性期の画像を参考までに掲載します。

これは於大公園(東浦町)の薬草薬木園のアザミで、シベの途中についている白い粉のようなものが花粉です。




花粉の位置より下が雄しべ筒、上が雌しべ棒(まだ柱頭を開かず未成熟なのでこういう呼び方をしておきます)です。




おしべ筒の上は すべてめしべ棒の部分(明るいピンク)なのですが、よく見ると棒の途中まで白いめしべ棒があります。
先ほど 雄しべ筒の内壁の花粉をめしべ棒が上昇するときこすりつけて上昇するといいましたが、花粉の出方はもう一つあります。それは「虫が花に止まるとおしべがひっこんでめしべと擦れ、花粉が外にかき出される」(wiki)という方法です。
ここからは素人の推測ですが、雌しべ棒の途中まで白いのは 虫が止まって雄しべ筒が収縮して雌しべ棒の外に出てなくて未変色の部分があらわになったのではないかと思えます。

このように 開花の初期はめしべは未成熟で、雄しべ筒の中の花粉を押し出す、あるいは、虫が止まって雄しべが縮むときに花粉の擦りつき棒の役目をしているだけです。




雌性期

おしべ活動期が終わると、雌しべ棒(花柱)はさらに伸び、やがて花柱の先に柱頭を展開します。




同じような画像が続きますが、以下、矢作川堤防のノアザミの雌性期のシベの様子をご覧ください。







この画像にも、おしべ筒から出た雌しべ棒(花柱)が2段に分かれているように見える部分があります。





途中に花粉をつけている花柱もあります。



























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