花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

論より証拠

2019年07月11日 | 研究
こちらは1年生の研究生が取り組んでいるワタの栽培。
先ほどのハンターズの先輩にならって塩害土壌で栽培されています。
ご覧ください。やはり何もしない左よりも
ちょっと処理した右の生育が良いことがわかります。
ハンターズの先輩は植物による除塩に取り組んでいますが
1年生は塩害地域での作物栽培。
つまり塩害を受けた地域でいかに収穫を確保するかを研究しています。
吸い取ってしまう除塩と食べるための栽培。
目的が違うため1年生は先輩とは別の処理で塩害土壌に挑んでいます。
ではなぜ寒さに弱いワタを選んだのでしょうか。
実は塩害は何も沿岸だけで発生しているわけではありません。
乾燥地域や半乾燥地域では水分の蒸発によって
土壌の塩類が表層にたまる塩類集積が起きているのです。
そんな南の国々で換金作物として栽培されているのがワタ。
そこで数ある作物の中からワタを選択したのです。
おそらく初めてみる綿の花の美しさに驚くのではないでしょうか。
乾燥地域やビニールハウス内での塩類集積は
農業の教科書にも載っている大きな問題ですが知識だけでは解決できません。
活字だけで理解せず実際に畑に戻って自分の目で確かめ
さらに対策を試してみる学習は、理解を深めるだけでなく
次なる課題に向かう意欲をぐっと高めてくれます。
「農学栄えて農業滅ぶ」という言葉がありますが
フローラが考案した研究実践を通した人材育成法は
今年も確かな手応えを感じています。
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ホウキグサで大掃除

2019年07月11日 | 研究
これは2年生のハンターズの男子一人が黙々と取り組んでいる研究。
数種類の植物を栽培していますが、これはそのひとつ「コキア」です。
日本ではホウキギ、ホウキグサと呼ばれています。
また秋になると真っ赤に紅葉することから
バーニングブッシュともいわれたりもする一年草です。
昔からこの地域では畑のキャビアと呼ばれる
トンブリを食べますが、このコキアはその仲間です。
さて彼はこのコキアで土壌の除塩に挑んでいます。
なぜならコキアは耐塩性の高い植物だからです。
また蒸散量の多い草花のサンパチェンス、
吸肥量の多いといわれるトウモロコシでも試しています。
しかしただ植えて比較するのでは面白くないので
ホルモン剤や微生物などを利用して
除塩効果が高まるかも観察しています。
3鉢並んでいますが、左が何もしていないコキア。
真ん中と右がある処理をしたコキア。
こちらの方がよく成長しているのがわかります。
面白いことにサンパチェンスでもトウモロコシでも同傾向。
期待が持てます。
現在は栽培管理をしながら観察していますが、
8月下旬には掘り上げ、ECなどの調査を行う計画を立てています。
このように植物を使った環境修復をファイトレメディエーション といいます。
東日本大震災による津波はもちろんですが、
大型台風が頻繁に発生するようになった今、
高潮や風雨などが原因で塩害が発生しやすくなっています。
それをなんとかしようというハンターズの試みではありますが
これも震災直後の2011年にフローラが一時期取り組んでいた研究の再開なのです。
ホウキグサといわれるように農地の塩類をきれいに掃き取れるのか。
結果が楽しみです。
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