教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ルナティックドーンと悪党家業 (下巻)

2009-07-26 00:16:05 | オタネタ全般
(・・・前回からのつづき)



実はルナティックドーンにはもう1つ興味深い設定がなされている。

ルナティックドーンではモンスターを倒してもお金が入らない。
モンスターを倒しても経験値が入らない。
お金を支払って訓練所で鍛錬しなければ強くなれない。

お金はどうやって調達するか?

退治や救出のイベントをこなせばそれなりにお金が手にはいる。
しかし、そういったダンジョンへ潜る必要のあるイベントは、ダンジョンにいる強力な敵の前に阻まれる。
かなりゲームに精通した後でもないと、いきなりダンジョンへ潜っても全滅するだけだ。

宅配や護衛のイベントならばダンジョンへ潜らなくてもお金が手にはいる。
しかしフィールドは移動しなければならない。
フィールド上で敵に遭遇したら、はじめのうちは命にかかわる。

だったら、強い仲間を何人か集めて宅配や護衛のイベントをこなせばいい。
それならフィールドを移動するだけならわりと安全だ。
しかし何人も仲間がいて宅配をこなすだけでは、パーティーのランニングコストだけで儲けたお金のほとんどを食いつぶす。

ではどうするか?

宅配物を勝手に換金すればカンタンに大金が手に入る。
暗殺の依頼をこなせばカンタンに大金が手に入る。
誘拐をくわだてるという手もある。
それをもって訓練所で鍛錬すれば、すぐにでもそこそこ強くなれる。
しかしお尋ね者になる。

ルナティックドーンの世界には、生活に困ったものが悪事に手を染めていき、そうやって悪党が量産されていくのだ。

さらにおもしろいことがある。
ルナティックドーンの世界には悪党がことかかない。
誘拐もおきるし殺人もおきるし宅配物や旅行者だって狙われる。
だから誘拐された人を救出するイベントもおきるし、旅行者が無事にたどり着けるよう護衛のイベントだっておきるし、悪党の巣窟になったダンジョンの退治のイベントだっておきる。

ルナティックドーンの世界は悪党がいなかったら世界が回らない。
悪党がいなかったら冒険者のほとんどは食べていけないのだ。

これを見たある人はこう言った。
「このゲームは、世の中は悪人がいないと回らないことを端的に表現した、実によく考えられたシステムだ」
と。

この意見には一概には賛成しかねる。
しかし言いたいことは解らんでもない。

正義の味方を標榜する主人公と、世界征服を目論む悪の帝王の君臨する世界の、いわゆる豪華2点セットで構成されていた従来型RPG。
それに反旗をひるがえしたルナティックドーン。
善や悪をも超越し、プレーヤーがただ世界にありつづけるということを始めて表現できたルナティックドーン、当時これを遊べたことは大きな幸運だったと思う。



追伸:

ロマンシング・サガにしてもそうらしいが、とにかくルナティックドーンIIにはバグが多かった。
誕生日に宿屋か訓練所にいると一気に2歳増えるとか、退治の依頼を受けるまえに敵を倒すと全部退治しても退治したことにならないとか、80歳で天寿を迎えるのにその瞬間に宿屋にいると死なないとか、とにかくバグが多かった。
何でもできるという性質上、イベントなどのフラグの管理を正しくバグなしにやろうとしても、けっこうプログラミングが入り組んでしまい難しいのかもしれない。

しかし、何度もゲームをやりこんでバグを体で覚えて無意識に回避しながらそれでもゲームを遊び、そういったバグの多さにもかかわらず心の底からゲームを楽しんだ。
死ぬほど遊んだあとにも、セーブデータのバイナリーコードを手動で書き換えてまでさらに遊びつくした。

いまでは良い思い出である。