或る暑い日の昼下がり、中途半端な時間があったので、前から少し気になっていた小さな渓に竿を出してみることにしました。
よく行く川の支流ですが、水量などから察するに、あまり期待はできません。
橋から渓に下りようとしたのですが、上から見るよりも傾斜がきつく、途中で断念して、引き返しました。
叢を掻き分けながら、やっとのおもいで、道まで戻ったのですが、ウェーディングシューズに何かが引っかかっていました。
それは、錆びて針先が折れた黒い毛ばりでした。3号くらいの太いテグスが結ばれていて、その先には、3メートルほどの振り出し竿が付いていました。
何年も風雨にさらされた様子のその竿は、傷だらけでした。
この竿がどういった経緯で放置されたのか、知る由もありません。
ただ、私の足に絡み付いてきたということは、もしかして、この竿、また釣りがしたいのかも…
今日はこの竿で釣ってみるかと考え、調子を確認するため、振ってみました。
軽く振っただけなのですが、その竿は、中程が、簡単に折れてしまいました。
後味の悪い厭な寂しさが、私の心に残りました。
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