現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

きたやまようこ「くまざわくんのたからもの」

2018-04-15 10:24:53 | 作品論
 人気絵本シリーズの4作目です。
 くまざわくんは、たからものにしていた石をいつの間にか落としてしまいました。
 石はいぬうえくんにひろわれて、ひもがつけられました。
 くまざわくんは石を返してほしいのですがうまくいえないうちに、いぬうえくんに「しばらく」貸すことになってしまいました。
 くまざわくんが「しばらく」を待ちきれなくて、何とか返してもらおうとしますがうまくいきません。
 逆に、いぬうえくんに「いぬうえくんのなまえ」を貸してもらい、ますます困惑します。
 最後は、いぬうえくんに無事に石を返してもらえますが、それまでのやりとりは気のいいくまざわくんらしく、読者はやきもきさせられます。
 この作品でも、おっとりしていて気のいいくまざわくんと、しっかり者で少しずうずうしいいぬうえくんの個性の違いが、すれ違いを生み、お話をおもしろくさせています。
 大事な物を共有すること、目に見えない宝物もあることなど、幼い読者にいろいろな大事なことがらを教えてくれます。
 やはり教訓臭さが拭えないのですが、どうやらそれは、いぬうえくんの上から目線のしゃべり方や態度にあるようです。
 この作品の場合、主人公はくまざわくんなので、読者はくまざわくんの気持ちに寄り添って本を読みます。
 その場合、いぬうえくんは先生や親のようというよりは、ちょっと生意気な優等生の友達という趣です。
 そういう友達がありがた迷惑なことが多いのは、現実と変わりません。

くまざわくんのたからもの (きたやまようこの幼年どうわシリーズ)
クリエーター情報なし
あかね書房
コメント
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