1975年に第72回直木賞を受賞した、短編集「雨やどり」の巻頭作品です。
設定ばかり大げさで、ストーリーも文章も荒っぽい、最近のエンターテインメントばかり読んでいると、たまには小説にも職人技がいきていた時代のこのような作品を無性に読みたくなります。
新宿のバーのマネージャーの眼を通して、客、ママ、ホステス(懐かしい言葉ですね)、バーテンダー、パトロンなどを活写した人情話です。
細かい個所にまで、下積みの長かった苦労人の作者ならではの確かな観察眼が行き届いていますし、文章も滋味深いです。
ただ、今度四十年ぶりに読んでみて驚いたのは、登場人物の年齢の若さです。
主人公は36歳で独身(今では普通ですが、当時は珍しかったと思います)ですが、とてもその年齢には思えないほど老成しています。
新しい店のパトロンである成功した建築士は41歳で、その母親でどんなにまじめな客でも口説かせてしまう伝説のホステス(戦争中の事故の影響で30歳から年を取らなくなっているという設定になっています)が60歳です。
今の感覚で言うと、どの登場人物も5歳から10歳は年長に思えます。
私自身も含めて、現代の人間は寿命が延びた分だけ成長が遅れているようです。
もっとも、この本をリアルタイムに読んだ時は私は20歳を過ぎたばかりでしたから、年齢設定に違和感を抱かなかったのはそのせいもあるかもしれませんが。
設定ばかり大げさで、ストーリーも文章も荒っぽい、最近のエンターテインメントばかり読んでいると、たまには小説にも職人技がいきていた時代のこのような作品を無性に読みたくなります。
新宿のバーのマネージャーの眼を通して、客、ママ、ホステス(懐かしい言葉ですね)、バーテンダー、パトロンなどを活写した人情話です。
細かい個所にまで、下積みの長かった苦労人の作者ならではの確かな観察眼が行き届いていますし、文章も滋味深いです。
ただ、今度四十年ぶりに読んでみて驚いたのは、登場人物の年齢の若さです。
主人公は36歳で独身(今では普通ですが、当時は珍しかったと思います)ですが、とてもその年齢には思えないほど老成しています。
新しい店のパトロンである成功した建築士は41歳で、その母親でどんなにまじめな客でも口説かせてしまう伝説のホステス(戦争中の事故の影響で30歳から年を取らなくなっているという設定になっています)が60歳です。
今の感覚で言うと、どの登場人物も5歳から10歳は年長に思えます。
私自身も含めて、現代の人間は寿命が延びた分だけ成長が遅れているようです。
もっとも、この本をリアルタイムに読んだ時は私は20歳を過ぎたばかりでしたから、年齢設定に違和感を抱かなかったのはそのせいもあるかもしれませんが。
雨やどり (集英社文庫) | |
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