現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

舞城王太郎「四点リレー」短編集五芒星所収 群像2012年3月号 

2018-04-04 11:20:37 | 参考文献
 非・連作短編集の第三作です。
 四角い部屋の四隅に四人の人が立ちます。
 それを仮にABCDとすると、AがまずBのいる角に向って走っていってタッチします。
 タッチされたBはCのいる角に向って走っていってタッチします。
 タッチされたCはDのいる角に向って走っていってタッチします。
 タッチされたDはAが元いた角まで走りますが、Aはすでに次の角に行っているので、直角に曲がって二辺分を走って、Aにタッチします。
 これを続けると、DCBAの順に二辺を走らなければなりません。
 この四点リレーを真っ暗闇の中でやると、いつの間にか一人増えて二辺を走らなくなるという怪談です。
 この作品では、なぜ二辺を走らなくなるかについて、いろいろと仮説を持ち出します。
 そして、「グルグルと回って混乱している中からポン、と在り得ないはずの、しかし必要とされているものが出現する、というような……物語は、時にこういう力を持つんだよな」と、最後に作者は語ります。
 この作品には、作者の物語観が示されているのですが、登場人物が多くごちゃごちゃしていて、正直言ってあまり楽しめませんでした。
 ファンタジーなどの非現実を扱う児童文学の世界観を構築するときにも、本来はこの作品のような周到な考察が必要なのですが、大半の作品は考えるまでもないたわいのない世界観にすぎません。

群像 2012年 03月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
講談社
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