みなさま、本日もありがとうございます。
れくす先生の歴史模擬授業シリーズです。
今回は、第3回 人類の進化その1 の話です。
※この授業のコンセプトは第1回の内容をご覧ください。
「人類の進化」は、私立中学入試ではあまり出ない分野で、中学になってから初めて習う内容のことが多いです。
(私立中学入試で絶対に出ない、とは言えないので、受験予定の学校の過去問の確認をオススメします。)
テスト勉強のために用語を覚える、という意味では、
最初から用語をしっかりバシバシ入れた方がわかりやすいと思います。
ただ、今回のシリーズは、
「はやく覚えないと誰かに人格否定される、という不安感でパニックになることを
防いで、落ち着いてテスト勉強し続ける」というのが目的の1つなので
「用語を受け入れる前に下地を作る→その後でテストで用語をバシバシ出す」
・・・という形にしています。
そのため、今回は人類の進化の導入部分(多くの用語を受け入れる下地部分)のみを扱い、
次回で「テストで出る用語」をメインに話を進めていきます。
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第3回 人類の進化と、旧石器時代・新石器時代その1(導入編)
この時代は、世界史の分野です。頭の中で世界地図を思い浮かべて(または地図帳を開いて)
歴史の流れをみていくことをオススメします。
1:2つの石器時代
(1)石器で分ける時代
現在の人類と他の動物たちの生活では、明らかに生活形態が違っています。
昔は、人類も他の動物たちと同様に、自然の中で暮らし、他の動物の食物連鎖の中で闘い、
自生している植物(果物など)を採って食べていました。
しかし今は人類の生活は他の動物たちと違っています。
人類と他の動物たちとその決定的な違いを生み出したのは何だと思いますか?
答えは、「道具を作ることができたか?」の違いだと私は思います。
そして、道具をつくることができたのは「直立二足歩行」という身体的変化がおこったことが大きいのです。
道具を使うことができる動物は人類以外もいますが
道具を作ることができるのは人類だけです。
最初に作られたと思われる道具の素材の1つが石です。
石なら自然に存在している素材で、砕けば、先のとがったナイフのようになります。
このように石で砕いた道具の種類を石器と言います。
先のとがった石器を使って、獲物を狩る凶器につかったり
獲った獲物の肉を切ったり、皮から剥がしたり、していました。
(肉は食べ物として、皮は服として。)
石器を木の太い枝の端っこにつけて、槍として使ったりも。
石の種類はいくつもありますが、その中で、主要な材料として使われた石が、黒曜石(こくようせき)です。
黒曜石はマグマの一部が急速に冷えて、固まった火山岩の1つで、ガラスのような鋭さがあります。
石器の作り方・加工の違いで、打製石器と磨製石器に分かれます。
石器には大きくわけると2種類あり、
石を砕いて先をとがらしたものを打製石器、
打製石器よりより精巧で研磨され滑らかな持ち味にあったものを磨製石器
と言います。
そして
打製石器を使い始めた時代を旧石器時代、
磨製石器を使い始めた時代を新石器時代と分けます。
今回(&次回)、勉強する、人類の進化の内容は、ほぼ旧石器時代の歴史で新石器時代に移り変わったところまでの歴史となります。
※ただし、新石器時代になったら、打製石器が磨製石器に全て代わったわけでなく、新石器時代に、磨製石器という新しい道具が作りだされ、打製石器だけでなく磨製石器も使われるようになった、というコトです。
時期的には、現在の人類の祖先にあたる人類(新人)やその同時代の人類(旧人)が打製石器を使い始めていますので、
旧石器時代が現在の私たちの人類としての歴史のスタートと考えても良いでしょう。
2:人類の進化を学ぶにあたって
現在の人類が生まれるまで、地球上では、環境・気候の変動はたくさんおきました。
その気候に対応できるようにな、さまざまな人類が生まれ、進化をし、また新しく生まれ、滅亡する人類が出てきました。
現在では滅亡した人類たちと現在、唯一残った人類(今の私たちの直接の祖先)が
同じ地球内で共存していきている時期もありました。
そして、時を経て最終的に残ったのが、今の人類です。
この時代を勉強するときに、
「あいまいなことが多い」
「地理の気候の分野と高校レベル以上の理科の知識と理解力」
が必要な内容も多いです。
「あいまいなコトが多い」のは、まだ不明なこと、専門家の中でも意見が分かれるところがあるからです。
なので、もし、この分野で、本を調べてもわからないコトがあったら、
「不明なため、誰にもわからないもの」なのかもしれませんので、わからなくても焦らなくて大丈夫です。
小学生・中学生のうちは、テスト対策という点では、
まずは、「人類」の進化の過程や特徴、旧石器時代・新石器時代について理解する・覚えることで十分です。
「人類の進化」を理解するに当たって、当時の気候とリンクさせて物事を考えることは大切です。
今でも暑い日と寒い日で服装を変えて生きています。
暑い地域と寒い地域では生えている植物も違います。
気候によって地形も変わり、そこで求められる生活形態も身体能力も変わってきます。
例えば、現在でも熱帯、温帯、寒帯の人々の暮らしが全然違うことを考えれば、
当時、熱帯雨林気候の暮らしに完全カスタマイズしていた人々が、
気候変動で、雨が多い熱帯雨林気候から雨が少ないサバナ気候に自分の住んでいる地域が変化したら、そ
の環境に適応できなかったら亡くなってしまい、
生活の工夫や身体的変化ができた環境適応できた人のみ、生き残っていきます。
これが「結果的に新しい人類が誕生した」という事実として歴史の内容に載ります。
環境の変化(気候変動)は、人類が誕生して何度もおきています。
そして人類は「環境」に適応するための工夫をし、
それによって、また「進化」という「新しい人類の誕生」を何度も繰りかえしていった、
と思われます。
このように地理の内容の気候を主軸にして人類の進化を見ていきましょう。
(2)人類の進化
1:全体の流れ
①「人類の進化」の流れ
これから人類の進化を具体的に見ていきます。
この時、各々の特徴から人類を大きく4つに分けて見ていきます。(猿人・原人・旧人・新人)
それぞれの人類の特徴と、その特徴になった気候を考えて見ていくと、頭を整理しやすいです。
②人類の誕生
地球上に人類が現れたとする時期は、
今から約700万年前です。
そのころの人類は、現在のチンパンジーと同じ祖先から進化した生物でした。
初めての人類は、アフリカで生まれ、気候変動に合わせて身体的進化などを繰り返し長い時間をかけて世界に広がっていきました。
まず(1)では猿人・原人・・・などの名称を使わず、全体的な流れを見ていきます。((2)で名称を使います。)
(1)初めての人類(旧石器時代以前)
初めての人類は熱帯雨林の生活に適した生物として誕生しました。
彼らは、高い木に登り、そこで木の実をとったり、という、チンパンジーや猿と同じような生活をしていました。
このような地形だと、足腰は曲がっていた方が、木に登ったり、木から木へ移動しやすいです。
<人類の第一の変化>
しかし、気候変動で当時の人類が住んでいたアフリカの地は、高い木が少なくなり草原になりました。
今の気候区分でイメージすると多くは熱帯雨林気候であったところがサバナ気候に変化したと考えると良いです。
登れる木も、たくさんあった果実の木も簡単には見つかりません。
そうなると、立って歩かないと命の危険があります。肉食動物たちに襲われてしまいます。
また遠くまで見渡せないと、どこに食べ物があるかわからなくなります。
イメージ的に、植物の木の実がたくさんあった熱帯雨林から
植物が少ない野生動物いっぱいのサバンナに放り出された感じでしょうか?
そして、生き残るために、人類はどう肉体を進化させないと生き残れないか?を考えてみましょう。
そこで人類の祖先は、肉食動物がいるサバナ(草原)で生き残るために、
後ろ足でまっすぐ立ち、歩けるよう身体が進化します。いわゆる二足歩行という歩き方です。
二足歩行の歩き方は段階を経て、進化(変化)していきます、
約300万年の時をかけて、人類は直立で歩けるようになりました。
このように、まっすぐ直立に二足で歩くやり方を直立二足歩行と言います。
まっすぐ歩けることから、首の骨に負担がかからなくなり、脳のほうに余裕ができ、脳の容量が増えていきました。
脳の容量が増える、というのは、知能が高くなっていくということです。
「知能が高くなる」というのは「予測することができる」&「0から何かをつくり出す」能力も増えてくる、
ということです。
図で、どういうことか?も参照してみてください。
(2)人類 第二の変化とその後の変化(旧石器時代の始まり)
脳の容量が増えていったことで最終的に精神的な進化、つまり
言葉を話す、
技術力の向上→道具を作る&使うことを考える、
計画を立てる、
集団行動する、
火を使う
・・・という行動ができるようになる、という結果につながっていきます。
(木の実だけでなく、栄養価の高い肉を食べるようになったことも知能が発達した(進化の)要因の1つと言われています。)
このような「進化(変化)」をとげたきっかけは、地球の環境に大きな変化があったからです。
地球は、今も続く氷河時代に突入し、氷や雪のある生活に変わり、火を使ったり・・・と環境適応する必要があったのです。
また人類は、親指とそのほかの指が分かれている(筋肉的・骨格的に親指だけ独立している)身体であることも大きく、
物を持つ、持ったまま動かすことができるようになりますので、
これが道具を使うこと&作ることができる身体的な進化にもつながっていくわけです。
まとめると、人類は、気候変動による環境の変化に合わせて、長い時間の間に
二足歩行+道具を使うようになり、火や言語も使用し、集団で行動するようになりました。
<旧石器時代のはじまり>
最初は「道具」を「使う」のみ、つまり、
自分の周りにある木の枝や石などを、食べ物をとる道具や自分を守るために使っていた形でした。
それが途中から自分で石を加工して道具を使うようになりました。
その道具が、先ほどでもお話しした「石器」と言われる物です。
石器も時間をかけてバージョンアップしていきます。
( 3)旧石器時代と新石器時代の違い
先述した内容ですが、もう1回復習という意味もあって、もう1度お話しします。
石器の種類は、作り方の方法によって大きく2つに分けられます。
まず、先に誕生した石器が打製石器です。
この打製石器を使い始めた時代のことを、旧石器時代と言います。
旧石器時代は石器の出現から農耕の開始の時期をさし、
時期的には約200万年前あたりから旧石器時代は始まります。
※始まりの時期は、人類はアフリカ大陸のみに生息しています。
その後、誕生したのが磨製石器です。
磨製石器を使い始めた時期のことを新石器時代と言います。
新石器時代は、地域によって異なりますが、約1万年前の時期前後から、です。
この時期は、今の地球の地形・気候になった時期ぐらいに当たります。
現在までに発見された人類の骨などから推測した、脳の容量の大きさをもとに、
どのような道具や生活をしていったのか?で
おおまかに4種類の名称に人類を分けられています。
(ただし、人類の歴史は日々新しい発見があるので、日々変わっているので、今回はその1例です。)
大きく分けると、猿人・原人・旧人・新人に分けます。
(ただし、中学校では旧人を扱わないことが多いです。)
次回は、この猿人・原人・旧人・新人について詳しく見ていきます。
今回は、名称としては、石器の名称(打製石器・磨製石器)と、それに伴う時代の名称(旧石器時代・新石器時代)を意識し、
時代の流れを知ること、と、人類の進化(変化)は気候に大きく関係すること、理解することをメインでお話しました。
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今回は以上です。最初の導入で、自分としては「もう少し、わかりやすくできたのでは?」という
反省点はあります。
ただ、最近、「完璧」を目指すと、すべて放棄してしまう傾向があるので、
これから、定期的に図を追加したり、言葉や構成を変えるつもりではありますが
ひとまずアップさせていただきます。
ご覧頂きありがとうございました。
次回予告:第4回 人類の進化2(猿人・原人・旧人・新人)