Happyday of LUCKY

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まなざしを具現化する装置

2010年10月15日 | Photography


カメラは撮影者の世界観を示す装置だとだれかが言った。
写真にはその人がなにをどう見ているかが現れるということだ。
たとえば子供にカメラを持たせてみればよい。
彼女彼らの好奇な目は大人があっと驚くようなものを見つけてくる。
大人になるともういろんなものを見慣れてしまうので、いちいち目の前のものを撮る人などいない。

だけどホントは振り返って「なんだこりゃ?」と見てみたいものもあるはずだ。
幸いわたしにはカメラがあるので、ささっと撮ってあとでゆっくり見ることができる。
シティスケープなんて、せいぜいそんなもんじゃないのか。
都市の瞬間と永遠を切り取る、などという高尚なコンセプトはわたしにはない。
こんなことだからいつまでたっても作品としてまとまらないのかもしれない。



きょう、ナダール大阪へコアラベア氏の個展「コンディション・グリーン」を見にいった。
氏は生活の中で出会った人たちのポートレイトを撮りつづけている写真家だ。
DMにこんなことが書いてある。
「写真において大事なことは、カメラ機材ではなく何を撮りたいかという正直な気持ちであります。(中略)シャッターを押す答えは、ワクワクするという気持ちであります」
前回の個展「オレンジの太陽」から6年たつが、彼のまなざしはまったく同じだった。
そこにはまさに彼の世界観が開示されている。



コアラベア氏のこのまなざしは彼の性格に起因しているように思う。
元来、彼はシャイな性格で他人に自分の意志を伝えるのが下手なのではないか。
そしてカメラという道具は彼と彼以外の人間とを結びつける装置であり、コミュニケーションのツールなのだと思う。
彼はカメラのファインダーを通して、人を見て人と会話する。
そのリアルなひとときを定着させるように、彼は何枚もシャッターを切りつづける。
ギャラリーに並んでいる写真群は彼の幸せな時間の集積でもある。

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