モノクロ暗室体験にはるばる奈良からSさんがやってきた。
彼女は3年もまえから「暗室やってみたい」とわたしにラブコールを送っていたのであるが、ちょうどそのころ暗室はやめていたので、なかなか実現しなかった。きょう、ようやくその約束をはたすことができる。
まずはじめにパトローネに入ってるフィルムからその先端を引き出す「ベロ出し」から。こんな簡単なこともはじめての人にはなかなか骨の折れる作業だ。
ベロ出しができたら、今度はダミーのフィルムでリールに巻く練習をする。本番はダークバッグの中で手探りで巻くので、うまく巻けたかどうかは、現像がおわるまでわからない。失敗しないように目をつむってでも巻けるように何度も練習する。
つぎに現像液と停止液をつくる。定着液は印画紙用とおなじもので、すでにつくってある。
わたしは現像液をタンクに注入するまえに、水を入れてフィルムを濡らしておく。こうすることでフィルムの表面につく気泡をへらすことができる。あとはそれぞれの処理液を手順どおりに入れればOK。ポイントはデータどおりの液温と時間を守ることだ。
フィルム現像が無事におわり、自然乾燥を待つあいだにランチタイム。手早くパスタとスープをつくる。味はまあまあか。
午後から乾燥したフィルムをカットし、いよいよ暗室作業にはいる。予想どおり風呂場は暑い。換気扇と扇風機をまわしていても、外は猛暑であるから、涼しくなるはずもなし。暑くてもガマンしてやるしかない。
ベタ焼きをつくってから冷房のきいた部屋へもどり、ルーペでチェックし、プリントするコマをえらぶ。さあ、一番はじめに焼くのはどれにする?
テストピースをつくって、慎重に露光時間を見定める。一番左端とそのとなりのあいだくらいの濃度をねらう。絞りF8で露光時間は10秒に決定。現像液のはいったバットに入れると、白い印画紙の奥からふわっと絵がうかびあがる。「うわーっ」とSさんは歓声をあげ、顔を近づけて見入っている。現像液は劇薬なのであぶないよ。
いま彼女が味わっている感動はわたしにもよくわかる。この瞬間が暗室作業で一番おもしろいといっても過言ではない。
今回ははじめてだったので、ストレート焼きしかやらなかったが、一番さいごにわたしが適当なコマをえらんで、焼き込みの手本をみせる。基本の露光時間はおなじで、周辺をすこし焼き込んでみた。
画面全体のトーンをそろえることで主題がよりはっきりと見えてくることを知ってもらう。これは次回の課題ということで、本日の暗室体験は終了。たのしんでいただけましたか?
彼女は3年もまえから「暗室やってみたい」とわたしにラブコールを送っていたのであるが、ちょうどそのころ暗室はやめていたので、なかなか実現しなかった。きょう、ようやくその約束をはたすことができる。
まずはじめにパトローネに入ってるフィルムからその先端を引き出す「ベロ出し」から。こんな簡単なこともはじめての人にはなかなか骨の折れる作業だ。
ベロ出しができたら、今度はダミーのフィルムでリールに巻く練習をする。本番はダークバッグの中で手探りで巻くので、うまく巻けたかどうかは、現像がおわるまでわからない。失敗しないように目をつむってでも巻けるように何度も練習する。
つぎに現像液と停止液をつくる。定着液は印画紙用とおなじもので、すでにつくってある。
わたしは現像液をタンクに注入するまえに、水を入れてフィルムを濡らしておく。こうすることでフィルムの表面につく気泡をへらすことができる。あとはそれぞれの処理液を手順どおりに入れればOK。ポイントはデータどおりの液温と時間を守ることだ。
フィルム現像が無事におわり、自然乾燥を待つあいだにランチタイム。手早くパスタとスープをつくる。味はまあまあか。
午後から乾燥したフィルムをカットし、いよいよ暗室作業にはいる。予想どおり風呂場は暑い。換気扇と扇風機をまわしていても、外は猛暑であるから、涼しくなるはずもなし。暑くてもガマンしてやるしかない。
ベタ焼きをつくってから冷房のきいた部屋へもどり、ルーペでチェックし、プリントするコマをえらぶ。さあ、一番はじめに焼くのはどれにする?
テストピースをつくって、慎重に露光時間を見定める。一番左端とそのとなりのあいだくらいの濃度をねらう。絞りF8で露光時間は10秒に決定。現像液のはいったバットに入れると、白い印画紙の奥からふわっと絵がうかびあがる。「うわーっ」とSさんは歓声をあげ、顔を近づけて見入っている。現像液は劇薬なのであぶないよ。
いま彼女が味わっている感動はわたしにもよくわかる。この瞬間が暗室作業で一番おもしろいといっても過言ではない。
今回ははじめてだったので、ストレート焼きしかやらなかったが、一番さいごにわたしが適当なコマをえらんで、焼き込みの手本をみせる。基本の露光時間はおなじで、周辺をすこし焼き込んでみた。
画面全体のトーンをそろえることで主題がよりはっきりと見えてくることを知ってもらう。これは次回の課題ということで、本日の暗室体験は終了。たのしんでいただけましたか?