久しぶりに藤原君を観に行ってきました!
井上ひさしさんが、亡くなる直前まで構想を練られていた、という原案をもとに、
蓬莱竜太さんが脚本を書き、上演にこぎつけた作品です。
出演者は、構想の段階から決まっていたという藤原竜也君と、山西 惇さん
基本的にはほとんど二人芝居。
そこに狂言回し的な役割で、片平なぎささん。
そして、ヴィオラの生演奏。
とてもシンプルな作品です。
演鑑で回りやすい作品だな~、などと。
スケジュール的にキャストは変えないと難しいでしょうが。
舞台には、大きなガジュマルの木が1本。
多数の太いつるが天井から下がっていて、
南国の雰囲気を醸し出しています。
アメリカ軍の攻撃から逃れて、木に隠れる上官(山西惇)と、新兵(藤原竜也)。
最終的に2年の長きにわたって、木の上に隠れ続けることになる2人の
気持や、関係性の変化を追って物語は進みます。
山西さん演じる上官は、あちこちの戦場を渡り歩いてきたベテラン。
どこか憎めなさがあって、それはそれで良かったのですが、
最初はもう少し怖くてもいいのかな~という気がしました。
ぼんやりしてると、藤原君、殺されちゃうよ?と
冷や冷やさせられるくらいの。
後半の自堕落な感じは、愛嬌があって良かったです。
そして藤原君演じる新兵。
沖縄が戦場と化し、志願して入隊した、ほとんど素人の兵士。
とても純粋で、天然。
全く悪意なく取る言動が、上官をイライラさせてしまうのですが、
本当に屈託なくて、いるいる、こういう人!という感じ。
でも、銃の手入れは怠らず、体も鍛え続けるというしたたかさも持ち合わせた青年。
片平さんは狂言回しをやりつつ、
時に上官の妻、時に新兵の恋人、更には精霊のような存在であったりして、
瑞々しい、歌うような声がとても魅力的でした。
片平さんというと2時間ドラマのイメージがありますが、
こういうのもあるんだな~と。
ヴィオラの生演奏が、片平さんの歌うような声と絡み合うのですが、
バイオリンではなく、ヴィオラなのがポイントだな、などと。
ヴィオラって、バイオリンに比べて音が毛羽立ってますよね。
その音が、良いスパイスになっていたような気がします。
上演時間は約2時間。
基本的に二人芝居ですが、適度に笑いもあって
飽きることなく最後まで観られました。
平日のマチネを観に行ったのですが、客席は満席。
根強い人気ですね。
囁くように訥々と語る藤原君の声が、
しっかりと聞こえて、改めて音響のいい劇場だなーと思いました。
結構引きで観る席だったので、
できればもう一度、演者の表情がよく見えるところで観てみたいな~
なんて思ったりもしますが、
ま、なかなかそうもいかないわけでして(笑)
最近、つい勢いでポチッとしてしまうことが多いもので・・・
でもやっぱり、その時、その場でしか観られないというのは、
何物にも代えがたい魅力だと思うのでした。