元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「オリバー・ツイスト」

2006-04-05 18:33:51 | 映画の感想(あ行)

 面白くない。恥ずかしながら、私はディケンズの原作は未読だから(汗)、小説版の真の主題は何で、それが映画版でどう再現されているか云々についてはコメント出来ないが、どう見ても本作は興趣を欠いた退屈なシャシンであることは間違いない。

 19世紀のロンドンを舞台に、田舎から出てきた孤児オリバーのシビアな境遇を描いた作品・・・・という設定であるならば、物語を引っ張るにはオリバーを巡るすべてのエピソードがあまりにも受動的。これは何も主演のバーニー・クラークの精彩のなさだけではなかろう。

 ならばオリバーは狂言廻しで、映画の主眼は当時のイギリス社会が抱え込んでいた問題の数々の方なのか。それにしたところで周りのキャラクターは類型的で没個性的に過ぎ、描かれる社会情勢とやらも“語るに落ちる”レベルで、何ら現在の観客にアピールするところがない。

 だいたいオリバーは何しにロンドンまでやって来たのか? 単に“都会だから面白いコトがあるかもしれない”といった漠然とした“期待”だけであるなら、彼は単なる“考えの浅い奴”でしかなく(まあ、子供だから仕方がない面はあるが ^^;)、とても物語を引っ張れる存在ではあるまい。

 監督がロマン・ポランスキーであるにもかかわらず彼独特の“毒気”がどこにも見当たらないのもマイナスで、結論としては当時の街並みをリアルに再現したオープンセットとベン・キングスレーの怪演以外はまったく見どころのない映画だと言える。賞レースに引っ掛からないのも当然だ。
コメント
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