元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ブローン・アウェイ 復讐の序曲」

2007-09-28 06:43:54 | 映画の感想(は行)
 (原題:Blown Away)94年作品。 ボストンを舞台に展開する、狂的な爆弾魔(トミー・リー・ジョーンズ)と警察の爆発物処理官(ジェフ・ブリッジス)との戦い。監督は「ジャッジメント・ナイト」などのスティーヴン・ホプキンス。

 ハリウッド製のアクション篇だから結末はわかっている。要はどう目新しいモチーフを展開させて作品に付加価値を持たせるかである。ここではズバリ、手を変え品を変えて登場する爆弾テロの手口に注目したい。

 まずパソコンにセットされた爆弾は、スイッチを入れたら最後、絶えず同じフレーズを同じ速さで入力しなければ爆発する。手を休めれば即あの世行き。まったく“冗談じゃねーぜ”と言いたくなる仕掛けだ。次に登場するのはヘッドフォンに仕掛けられた爆弾。いったん音楽を聴き始めたら中止できない。頭から外せば爆発する。音楽好きなら“ふざけんな”と叫びたくなるシロモノ。さらに金属の棒を絶えず水平に保っておかないと爆発する仕掛けが出てくる。これが両手両足椅子に縛られた状態で背中の部分にセットしてあり助けるに助けられない。平衡感覚がイマイチの人なら“何考えてんだー”と目を覆いたくなるだろう。

 これら以外にも、車にセットしてブレーキを踏んだら爆発するやつとか、爆弾を処理しに来た警察の車に逆に爆弾を仕掛け返す(?)とか、ビリヤードみたいに爆風の反射方向を計算して避難地帯にダメージを与えるなど、爆破工作のテクニックの豪華揃い踏みといった感じだ。“同じ手口は二度と使わない”という偏執的爆弾魔の面目躍如である。

 後半になってくると、トミー・リーおじさんの変態度はスケール・アップ。街で見かけたブリキのおもちゃやドミノ倒しなどの小道具を爆弾にプラグ・インさせて独自の世界に突入してしまう。クライマックスの廃船での大爆発の仕組みは圧巻で、昔、「トム&ジェリー」であったような実に長ったらしくて手の込んだバカバカしくも大仰なメカニズムが登場。実は直接マッチで点火した方が早いということに気がついていない。これを大マジメに演じてサマになるのはトミー・リーおじさんしかいない。「逃亡者」や「天と地」での演技に匹敵するパフォーマンスである。

 敵対する2人が実は昔IRAの同志だったとか、警察の同僚(フォレスト・ウィティカー)との友情だとか、サブ・ストーリーも悪くないが、この映画は日常生活に忍び寄る爆弾テロの恐怖を一般市民の視点で捉えていることに尽きるだろう。アイルランド・フレーバー溢れる音楽(byアラン・シルヴェストリ)も印象深い。
コメント
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