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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「あの頃ペニー・レインと」

2008-12-28 07:58:56 | 映画の感想(あ行)
 (原題:Almost Famous )2000年作品。ロック・ジャーナリズム志望の少年ライターの奮闘を追うキャメロン・クロウ監督作。舞台となった73年のロック・シーンというと、ピンク・フロイドが「狂気」を発表し、デイヴィッド・ボウイが「アラジン・セイン」を、イエスが「危機」をリリース。レッド・ツェッペリンの「聖なる館」やイーグルスの「ならず者」もこの年だったかもしれない。この映画に出てくる「スティルウォーター」というバンドは架空のものだが、当時活動していた中堅アメリカン・バンドの数々(正直言って、あまり印象に残っていない)を代表しているものだろう。

 さて、映画の印象だけど、あまりパッとしない。原因は、主人公を取り巻く状況がほとんど“証文の出し遅れ”であるためだ。バンドの連中は“レコード会社の姿勢がどうのこうの”なんて言うが、音楽がビジネスである限り、バンド自体が“産業”に取り込まれるのは当たり前。“私たちはグルーピーじゃない。ミュージシャンに霊感を与える存在。バンド・エイドなの”とヒロインたちに言わせているのも“だから何だよ、グルーピーと同じじゃないか。ヘンな言い訳している分、グルーピー以下かもね”と片付けたくなる。

 こういう“ミュージシャンの取り巻きとして生きる方法もあってもいい”という捉え方は、当時リアルタイムで生きている人間にとってはその時点で意味のあるものかもしれないが、音楽業界の裏側がロクなものではないと誰もが知っている昨今にあっては“何を今さら”という印象しか受けない。ミュージシャンとの珍道中は単なる現実逃避である。そんなものに“甘酸っぱい青春の思い出だぞ。共感しろ”と言われても、そうはいかない。

 キャストについても特筆すべきものはないが、フランシス・マクーマンドとケイト・ハドソンがオスカーにノミネートされていたのは驚きだ。前者は“軽くこなした”だけ。後者は可もなく不可もなし。少なくともデビュー時の母親ゴールディー・ホーンの足元にも及ばない凡庸ぶりである。彼女たち程度の仕事をアカデミー賞候補に選ばなければならなかったとは、当時のアメリカ映画の不調ぶりがよくわかる(-_-;)。
コメント
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