(原題:Immortal Beloved)94年作品。この映画の話題性というのは、ショルティとかマレイ・ペライア、ヨー・ヨー・マやエマニュエル・アックスといった一流どころのプレイヤーが、この映画のサントラのために、わざわざ新録音をしてくれたこと、それに尽きるのではないか。「アマデウス」以来の快挙といっていいが、内容は「アマデウス」とかなりの差がある。
ベートーヴェンの死後、“遺産はすべて「不滅の恋人」に送る”という遺書が発見される。管財人のシンドラー(ジェローン・クラッペ)は故人の足跡を追い、「恋人」が誰なのか探るうち、ベートーヴェンの実像を発見していくという(チラシより引用)筋書きである。
ラストは意外な「恋人」が披露されるが、観終わって感じるのは“だから何だよ”という素朴な疑問。楽聖に秘めたる恋のひとつやふたつあっても何も驚かないし、それがわかっても新しいベートーヴェン像が提示されるわけでもない。従来から音楽評論家の間でなされていたベートーヴェン研究に関する書物を読んだ方が面白いのではないか。「アマデウス」のように、一歩踏み込んだ深いテーマを扱っているわけでもなし、ベートーヴェンを演じるゲイリー・オールドマンの(熱演ではあるが)凡庸さも手伝って、観たあとすぐに忘れる類の泡沫映画に終わっている。ベートーヴェンの甥カールに対する異常な愛情が示されるシーンでは、オールドマン得意のキレた演技が全開して当然なのだが、まるで不発。
監督は「キャンディマン」などのバーナード・ローズだが、開巻近くの楽聖と「不滅の恋人」とのホテルでの密会未遂シーンの下世話さに代表されるように、扇情的メロドラマは得意でも登場人物の内面描写にはまるで役不足の二流ぶりを露呈している。まあ、衣装や舞台装置はなかなかだし、その点では観る価値あるかもしれない(ロケはプラハで行なわれたらしい)。そしてやはり前述の演奏陣。“ベートーヴェンの音楽はやっぱりいい”と思わせるレベルの高さ。サントラのみ推薦・・・・ってことで結論づけてしまおう。
ベートーヴェンの死後、“遺産はすべて「不滅の恋人」に送る”という遺書が発見される。管財人のシンドラー(ジェローン・クラッペ)は故人の足跡を追い、「恋人」が誰なのか探るうち、ベートーヴェンの実像を発見していくという(チラシより引用)筋書きである。
ラストは意外な「恋人」が披露されるが、観終わって感じるのは“だから何だよ”という素朴な疑問。楽聖に秘めたる恋のひとつやふたつあっても何も驚かないし、それがわかっても新しいベートーヴェン像が提示されるわけでもない。従来から音楽評論家の間でなされていたベートーヴェン研究に関する書物を読んだ方が面白いのではないか。「アマデウス」のように、一歩踏み込んだ深いテーマを扱っているわけでもなし、ベートーヴェンを演じるゲイリー・オールドマンの(熱演ではあるが)凡庸さも手伝って、観たあとすぐに忘れる類の泡沫映画に終わっている。ベートーヴェンの甥カールに対する異常な愛情が示されるシーンでは、オールドマン得意のキレた演技が全開して当然なのだが、まるで不発。
監督は「キャンディマン」などのバーナード・ローズだが、開巻近くの楽聖と「不滅の恋人」とのホテルでの密会未遂シーンの下世話さに代表されるように、扇情的メロドラマは得意でも登場人物の内面描写にはまるで役不足の二流ぶりを露呈している。まあ、衣装や舞台装置はなかなかだし、その点では観る価値あるかもしれない(ロケはプラハで行なわれたらしい)。そしてやはり前述の演奏陣。“ベートーヴェンの音楽はやっぱりいい”と思わせるレベルの高さ。サントラのみ推薦・・・・ってことで結論づけてしまおう。