(原題:Show Girls)95年作品。弱肉強食のショー・ビジネスの世界で、トップ・ダンサーを夢見るヒロインの奔放な生態を描いたドラマ。監督がポール・ヴァーホーヴェンだから、登場人物の心理描写だの葛藤だの微妙なニュアンスだのといったデリカシーがまったくないのは当然として、映像表現や画面構成が話にならないほど雑でいいかげんだ。観ていて不愉快になってくるほど。
まず、この三流ヘビメタ・バンドのレコードジャケットみたいな悪趣味きわまりない舞台装置。今どき場末の舞台でもお目にかかれないような、日本のC級バラエティ番組でも少しはマシなのを持ってくるだろうと思わせる、実に低レベルのセットと美術、そして大道具小道具。ただハデにすればいいと思ってんだろうけど、もうちょっと脳味噌のあるスタッフを選ぶべきだった。
そして、超ダサイ振り付け。ただカロリー高そうな連中が音楽に合わせて手足を動かしているだけ。振り付けとしての“形”がないから(感覚として20年は遅れている)、部分部分のポーズを目まぐるしいカメラのカット割りでそれらしく見せようとしているに過ぎない。ダンサーの質も悪い(「コーラスライン」なんかのキャストとは雲泥の差)。ラッキィ池田でも少しはマシなの作るだろう(笑)。コスチュームも最悪。ついでに言うと、ヴェルサーチなんかのチャラチャラした舞台以外の衣装もヒドい。
さらに登場人物が全員パッとしない。特にエリザベス・バークレー扮するヒロインは、頭悪い+性格悪い+見た目悪いという救いようのなさで、筋肉と性器だけで生きている、絶対に知り合いたくないタイプ。その他のキャラクターについてはコメントすらしたくない。
“外見だけハデならそれでよし”というヴァーホーヴェンの作風は、「ロボコップ」や「トータル・リコール」などのSFアクションや「氷の微笑」みたいなサイコ映画ならサマになるだろうが、こんな「イヴの総て」を思わせる芸能界バック・ステージものと合っているとは断じて思わない。しかもこの低調な脚本(ジョン・エスターハスによる)に数億円を出したという、ハリウッドの能天気さにはついて行けない(-_-;)。