先日、ショップにてYAMAHAの大型ブックシェルフ・スピーカーであるNS-5000を聴くことが出来た。実はこの機種は今年(2017年)春のオーディオフェアでも接しているが、その際はアンプの試聴がメインであったため、スピーカーに関する詳細な説明は聞けなかった。今回はYAMAHAのスタッフが同席しての商品説明がおこなわれ、本機の概要とサウンドの傾向をチェックする事が出来た。
YAMAHAには70年代に発売されロングセラーになったNS-1000Mという有名なスピーカーがあったが、NS-5000の外観はそれに準じている。もちろん、オールドファンを意識してあえてNS-1000Mに似せたということも無く、この形状に仕上げたのはそれなりの技術的背景が存在するのだが、見た目はどうしてもNS-1000Mを思い出してしまう。ただし、大型スピーカーではトールボーイ型が全盛の昨今において、かなりの個性を発揮していると言って良いだろう。もっとも価格はペア150万円で、NS-1000Mより遙かに高価だ。
まず目を惹くのは、銀色に仕上げられた各ユニットである。最初私は材質はアルミだろうと思っていたのだが、使われているのはZYLON(ザイロン)と呼ばれる、ベリリウムに匹敵する音質を持つという強度繊維である。素材自体の優位性に関しては分からないが、注目すべきは低域・中音域・高域と3つのユニットすべてにこのZYLONが使われていることだ。スタッフの話では、素材を揃えることで各帯域の音の繋がりがスムーズになったという。他にも、吸音材を使用しない独自の吸音システムや、音を濁らせる定在波の処理を容易にした筐体構造など、凝った意匠が採用されている。
肝心の音だが、なかなかのものだと思った。とにかくサウンドの出方に余裕がある。国産スピーカーにありがちな音像の硬さや音色の暗さは無く、ストレスフリーで開放感たっぷりに鳴る。聴感上のレンジは広く、特定帯域での妙な強調感も無い。
感心したのは奥行き方向の音場の再現性で、クラシックを鳴らすとホールの広さや空気感も十分認識できる。昔から同社のスピーカーに付けられている型番の“NS”というのは“ナチュラル・サウンド”の略であるが、本機は文字通り自然な音(正確に言えば“ナチュラルに感じられる音の仕上げ”)に徹していると思う。
ただし、サウンドマニアが好むような微分的で高精細な展開は見られない。ハイファイ的なテイストを最優先するユーザーには合わないと思われる。また、今回は同じYAMAHAのアンプやプレーヤーでドライヴさせていたが、NS-5000の価格グレードを考えると、もっと上のクラスを持ってきても良い。そして150万円という価格は、多くの海外ブランド品と競合するセグメントだ。その中でどうポジションを得ていくか、興味がある。
いずれにしろ、YAMAHAがこれだけの製品を出してきたのは、国内メーカーとして頼もしいと言って良いだろう(まあ、値が張るので一般ピープルには縁の無いモデルではあるのだが ^^;)。願わくば、今後は(昔のように)アナログプレーヤーやセパレートアンプも開発して欲しいものだ。
YAMAHAには70年代に発売されロングセラーになったNS-1000Mという有名なスピーカーがあったが、NS-5000の外観はそれに準じている。もちろん、オールドファンを意識してあえてNS-1000Mに似せたということも無く、この形状に仕上げたのはそれなりの技術的背景が存在するのだが、見た目はどうしてもNS-1000Mを思い出してしまう。ただし、大型スピーカーではトールボーイ型が全盛の昨今において、かなりの個性を発揮していると言って良いだろう。もっとも価格はペア150万円で、NS-1000Mより遙かに高価だ。
まず目を惹くのは、銀色に仕上げられた各ユニットである。最初私は材質はアルミだろうと思っていたのだが、使われているのはZYLON(ザイロン)と呼ばれる、ベリリウムに匹敵する音質を持つという強度繊維である。素材自体の優位性に関しては分からないが、注目すべきは低域・中音域・高域と3つのユニットすべてにこのZYLONが使われていることだ。スタッフの話では、素材を揃えることで各帯域の音の繋がりがスムーズになったという。他にも、吸音材を使用しない独自の吸音システムや、音を濁らせる定在波の処理を容易にした筐体構造など、凝った意匠が採用されている。
肝心の音だが、なかなかのものだと思った。とにかくサウンドの出方に余裕がある。国産スピーカーにありがちな音像の硬さや音色の暗さは無く、ストレスフリーで開放感たっぷりに鳴る。聴感上のレンジは広く、特定帯域での妙な強調感も無い。
感心したのは奥行き方向の音場の再現性で、クラシックを鳴らすとホールの広さや空気感も十分認識できる。昔から同社のスピーカーに付けられている型番の“NS”というのは“ナチュラル・サウンド”の略であるが、本機は文字通り自然な音(正確に言えば“ナチュラルに感じられる音の仕上げ”)に徹していると思う。
ただし、サウンドマニアが好むような微分的で高精細な展開は見られない。ハイファイ的なテイストを最優先するユーザーには合わないと思われる。また、今回は同じYAMAHAのアンプやプレーヤーでドライヴさせていたが、NS-5000の価格グレードを考えると、もっと上のクラスを持ってきても良い。そして150万円という価格は、多くの海外ブランド品と競合するセグメントだ。その中でどうポジションを得ていくか、興味がある。
いずれにしろ、YAMAHAがこれだけの製品を出してきたのは、国内メーカーとして頼もしいと言って良いだろう(まあ、値が張るので一般ピープルには縁の無いモデルではあるのだが ^^;)。願わくば、今後は(昔のように)アナログプレーヤーやセパレートアンプも開発して欲しいものだ。