DIATONEのスピーカーの試聴会に行ってきたのでリポートしたい。DIATONEは三菱電機のオーディオブランドで、戦後すぐにこの商号は用いられ、2016年には誕生70周年を迎えた。NHKの業務用モニタースピーカーを手掛けるなどの実績を積み、国産スピーカーの代表的ブランドとしてオーディオファンの間に定着していったが、99年に三菱電機は(カーオーディオを除いて)音響部門から撤退している。
その後、関連会社の三菱電機エンジニアリングによって2006年に大型フロアタイプのDS-MA1がリリースされたが、価格と販売方法が一般的ではなかったせいか大して話題にもならずに終わる。それから約10年経って久々にホームユースを見込んだ製品が投入された。今回試聴したDS-4NB70である。

カーボン素材の新開発の振動板を用いたミドルサイズの2ウェイ。実を言えば、本機の試作品を2回ほど聴いている。1回目は2016年の秋だったが、大昔の“店頭効果だけを狙ったような音”で、キンキンと耳障りな中高域と不足気味の低域ばかりが印象に残り、インプレッションは最悪だった。2回目は2017年の春で、驚くべき事に1回目での問題点がほぼ解消され、実にスムーズな、質感の高い音を奏でていた。そして正式に商品化されたDS-4NB70の音に今回接すると、その仕上がりには感心するばかり。国内メーカーのスピーカーとしては、かなりの注目作になるのは間違いない。
となかく、音の立ち上がり及び立ち下がりの速さに圧倒される。各音像はきめ細かく捉えられ、曖昧さが無い。それでいて神経質なところは感じられず、滑らかな展開を見せる。音場も清涼で見通しが良く、特に上下方向の空間の再現には卓越したものを感じた。駆動していたのはNmodeのアンプだが、アキュレートな寒色系のキャラクターを持つと思われるアンプに繋いでも、出てくる音が硬くて冷たくなることはない。懸念されていた音色の暗さも感じず、幅広いジャンルをこなしてゆく。

だが、音に“色気”や“艶っぽさ”あるいは“熱気”などを求めるリスナーには合わない。もっとも、そういうユーザーは欧米ブランド製品を買い求めれば良い話で、そんな用途に向いていないことをもって本機の優秀性が揺らぐことは無い。また、この製品はソースの録音の善し悪しをそのまま表現する。音源の欠点をカラーリングによって上手くカバーしてくれるような性格のモデルではないことは確かだ。
価格はペア120万円で、一般ピープルには縁遠い値付けだが、このブランドに思い入れがあるオールドファンや聴感上の物理特性を追い求めたいマニアにとっては、高くないプライスなのかもしれない。
余談だが、私が十代の頃に手に入れた最初のオーディオシステムのスピーカーがDIATONEだった。それ以来、一時期を除いてずっとDIATONEのモデルを使い続けた(まあ、数年前に欧州ブランド品に買い換えてはいるのだが ^^;)。一度は消滅したはずのこのブランドが新たな魅力をもって再登場してくれたことは、正直嬉しく思う。今後はラインナップの強化も期待したい。
その後、関連会社の三菱電機エンジニアリングによって2006年に大型フロアタイプのDS-MA1がリリースされたが、価格と販売方法が一般的ではなかったせいか大して話題にもならずに終わる。それから約10年経って久々にホームユースを見込んだ製品が投入された。今回試聴したDS-4NB70である。

カーボン素材の新開発の振動板を用いたミドルサイズの2ウェイ。実を言えば、本機の試作品を2回ほど聴いている。1回目は2016年の秋だったが、大昔の“店頭効果だけを狙ったような音”で、キンキンと耳障りな中高域と不足気味の低域ばかりが印象に残り、インプレッションは最悪だった。2回目は2017年の春で、驚くべき事に1回目での問題点がほぼ解消され、実にスムーズな、質感の高い音を奏でていた。そして正式に商品化されたDS-4NB70の音に今回接すると、その仕上がりには感心するばかり。国内メーカーのスピーカーとしては、かなりの注目作になるのは間違いない。
となかく、音の立ち上がり及び立ち下がりの速さに圧倒される。各音像はきめ細かく捉えられ、曖昧さが無い。それでいて神経質なところは感じられず、滑らかな展開を見せる。音場も清涼で見通しが良く、特に上下方向の空間の再現には卓越したものを感じた。駆動していたのはNmodeのアンプだが、アキュレートな寒色系のキャラクターを持つと思われるアンプに繋いでも、出てくる音が硬くて冷たくなることはない。懸念されていた音色の暗さも感じず、幅広いジャンルをこなしてゆく。

だが、音に“色気”や“艶っぽさ”あるいは“熱気”などを求めるリスナーには合わない。もっとも、そういうユーザーは欧米ブランド製品を買い求めれば良い話で、そんな用途に向いていないことをもって本機の優秀性が揺らぐことは無い。また、この製品はソースの録音の善し悪しをそのまま表現する。音源の欠点をカラーリングによって上手くカバーしてくれるような性格のモデルではないことは確かだ。
価格はペア120万円で、一般ピープルには縁遠い値付けだが、このブランドに思い入れがあるオールドファンや聴感上の物理特性を追い求めたいマニアにとっては、高くないプライスなのかもしれない。
余談だが、私が十代の頃に手に入れた最初のオーディオシステムのスピーカーがDIATONEだった。それ以来、一時期を除いてずっとDIATONEのモデルを使い続けた(まあ、数年前に欧州ブランド品に買い換えてはいるのだが ^^;)。一度は消滅したはずのこのブランドが新たな魅力をもって再登場してくれたことは、正直嬉しく思う。今後はラインナップの強化も期待したい。