昭和45年公開の、シリーズ第4作。フーテンの寅こと車寅次郎を演じる渥美清の名人芸と、それを活かすギャグ演出は十分機能しており、楽しんで観ることはできる。しかしながら、封切り日の間隔が前作「男はつらいよ フーテンの寅」から43日しか空いていないというハードスケジュールであったせいか、筋書きに雑な部分が見られるのはいささか残念だ。
名古屋の競馬場で大穴を当てた寅次郎は、久々に故郷の葛飾柴又に帰って来る。彼はその儲けた100万円以上の金を、日頃の恩返しとばかりにおいちゃん夫婦のハワイ旅行の資金に回すと豪語。早速弟分で今は旅行会社に勤める登に手配を依頼するものの、出発当日になって旅行会社の社長が金を持ち逃げしたことが発覚。旅行プランは夢と消えた。そのおかげで一ヶ月ばかり柴又から姿を消した寅次郎だったが、再び帰郷した彼が目にしたのは、自分の部屋に下宿する若い幼稚園の先生の春子だった。寅次郎は彼女にゾッコンになる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/d7/57e53da092b8b5f546645a3303a51776.jpg)
確かに寅次郎のおっちょこちょいな行動は見ていて愉快だし、得意の口上も絶好調だ。何度も爆笑ポイントが訪れる。しかし、大金を持ち逃げされて警察にも届けた様子はなく、泣き寝入りするのは有り得ない。また、おいちゃん夫婦と寅次郎が旅行しているように近所に見せかけるため、息を潜めて自宅で暮らすというプロットは無理筋だろう。さらに、途中で泥棒が入ったために事が明るみに出るくだりは蛇足かと思う。
春子のプロフィールは意外に掘り下げられておらず、医師が春子の父親について“罪のむくいを受けた”の何だのという話をするが、真相がどうなのは最後まで分からない。終盤になって突然現われる彼女の恋人も、まるで正体不明だ。監督が山田洋次ではなく、TVシリーズ時代のディレクターだった小林俊一が担当しているというのも、作品の出来に影響しているのかもしれない。
とはいえ渥美清をはじめ、森川信に三崎千恵子、前田吟、倍賞千恵子、笠智衆らレギュラーメンバーが揃うと安心できる。ゲスト出演の財津一郎も個人芸を披露しているし、何より春子に扮する若い頃の栗原小巻は本当にキレイだ。なお、序盤に流れる主テーマソングの歌詞が、いつもと違っているのは珍しい。何でもこの歌詞が使用されたのはシリーズの中でも本作だけだったらしい。その意味では存在価値はあると思う。
名古屋の競馬場で大穴を当てた寅次郎は、久々に故郷の葛飾柴又に帰って来る。彼はその儲けた100万円以上の金を、日頃の恩返しとばかりにおいちゃん夫婦のハワイ旅行の資金に回すと豪語。早速弟分で今は旅行会社に勤める登に手配を依頼するものの、出発当日になって旅行会社の社長が金を持ち逃げしたことが発覚。旅行プランは夢と消えた。そのおかげで一ヶ月ばかり柴又から姿を消した寅次郎だったが、再び帰郷した彼が目にしたのは、自分の部屋に下宿する若い幼稚園の先生の春子だった。寅次郎は彼女にゾッコンになる。
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確かに寅次郎のおっちょこちょいな行動は見ていて愉快だし、得意の口上も絶好調だ。何度も爆笑ポイントが訪れる。しかし、大金を持ち逃げされて警察にも届けた様子はなく、泣き寝入りするのは有り得ない。また、おいちゃん夫婦と寅次郎が旅行しているように近所に見せかけるため、息を潜めて自宅で暮らすというプロットは無理筋だろう。さらに、途中で泥棒が入ったために事が明るみに出るくだりは蛇足かと思う。
春子のプロフィールは意外に掘り下げられておらず、医師が春子の父親について“罪のむくいを受けた”の何だのという話をするが、真相がどうなのは最後まで分からない。終盤になって突然現われる彼女の恋人も、まるで正体不明だ。監督が山田洋次ではなく、TVシリーズ時代のディレクターだった小林俊一が担当しているというのも、作品の出来に影響しているのかもしれない。
とはいえ渥美清をはじめ、森川信に三崎千恵子、前田吟、倍賞千恵子、笠智衆らレギュラーメンバーが揃うと安心できる。ゲスト出演の財津一郎も個人芸を披露しているし、何より春子に扮する若い頃の栗原小巻は本当にキレイだ。なお、序盤に流れる主テーマソングの歌詞が、いつもと違っているのは珍しい。何でもこの歌詞が使用されたのはシリーズの中でも本作だけだったらしい。その意味では存在価値はあると思う。