日本映画「誰も知らない」。
ある2DKのアパートに、母けい子(YOU)と12歳の長男明(柳楽優弥)が引っ越してきた。
が、実は母子2人だけでなく、次男の茂、次女のゆきはスーツケースの中に隠れて運ばれ、
長女の京子も人目をはばかるようにこっそりとアパートにやってきたのだった。
けい子は明を連れて大家のところにあいさつに行く。夫は長期出張中だと話す。
母子家庭で子供が4人もいると、部屋を借りるのが大変だからだ。
子供たちは皆父親が違い、出生届けも出されていない。学校に行く年齢の明、京子、茂は
当然学校に行っていない。
けい子はデパートで働き、明しか外に出てはいけない、と皆に約束させた。明は買い物に
いくために外に出る必要がある。
けい子と子供たちの仲は良く、ひっそりとだが楽しい生活が始まった。が、けい子は新たに
好きな男ができ、家を留守にすることが多くなる。
そしてある日、「クリスマスには帰るから」と明に言い残し、お金を置いて、帰らなくなって
しまった。
子供たちだけの生活が始まった。明は家事はなんでもできる。ご飯を作り、妹たちに食べ
させた。しかし、お金が底を尽き、電気や水道が止まってしまう。明は近所のコンビニ店員
から賞味期限切れの弁当やおにぎりを貰ったり、京子は公園の水道で洗濯したりという
日々が続く。
東京で実際に起きた事件をモチーフにした映画である。けい子が母親より女を選んだことに
よる悲劇だ。冒頭で明と友人の少女がスーツケースを転がしながら駅に行くシーンがある
のだが、それが後になってとても悲惨なシーンなのだとわかる。
上は12歳、下は3歳くらいの子供4人だけの生活は、やがて限界を迎える。親のいない生活が
どんなに大変か。家の中が荒れていき、兄弟の間にもいさかいが生じる。この辺りの描写は
胸が痛くなる。
とてもいい映画だったのだが、不満がある。モチーフになった事件を知らない人は、素直に
映画を見られるかもしれないが、知っている人はきっと不満を感じたと思う。
きれいに感動的に描き過ぎなのだ。実際の事件は、この映画どころのものじゃない。もっと
悲惨で、凄惨な事件だ。
もちろん監督はドキュメンタリーを作ろうとした訳ではなく、事件を元にしているけれど
あくまでフィクションとして作るつもりだったのだろうが、悲惨さの差が大き過ぎて、いい
映画だけどなんだか…と、何とも言えない気持ちになってしまう。
それにしてもこの母親は、バカなのか。子供の出生届けも出さず、学校へも通わせず、そう
いう生活がずっと続けられると思っていたのか。子供たちはこの世に存在していないことに
なるのだ。母親もだが、子供たちのそれぞれの父親も、皆無責任だ。
でもやっぱり母親に1番怒りを感じる。「あんたバカ?」と言ってやりたい。
この映画は2004年のカンヌ国際映画祭で、明役の柳楽優弥くんが、史上最年少にして日本人
初の、最優秀主演男優賞を受賞し、話題になった。審査員のタランティーノ監督が、「柳楽
くんの目が頭から離れなかった」みたいなことを言ったらしいが、私もこの映画は柳楽くんで
なければ成り立たなかったのではないか、と思う。
スクリーンで見た柳楽くんの”目の力”はそれ程強く印象的だった。
ある2DKのアパートに、母けい子(YOU)と12歳の長男明(柳楽優弥)が引っ越してきた。
が、実は母子2人だけでなく、次男の茂、次女のゆきはスーツケースの中に隠れて運ばれ、
長女の京子も人目をはばかるようにこっそりとアパートにやってきたのだった。
けい子は明を連れて大家のところにあいさつに行く。夫は長期出張中だと話す。
母子家庭で子供が4人もいると、部屋を借りるのが大変だからだ。
子供たちは皆父親が違い、出生届けも出されていない。学校に行く年齢の明、京子、茂は
当然学校に行っていない。
けい子はデパートで働き、明しか外に出てはいけない、と皆に約束させた。明は買い物に
いくために外に出る必要がある。
けい子と子供たちの仲は良く、ひっそりとだが楽しい生活が始まった。が、けい子は新たに
好きな男ができ、家を留守にすることが多くなる。
そしてある日、「クリスマスには帰るから」と明に言い残し、お金を置いて、帰らなくなって
しまった。
子供たちだけの生活が始まった。明は家事はなんでもできる。ご飯を作り、妹たちに食べ
させた。しかし、お金が底を尽き、電気や水道が止まってしまう。明は近所のコンビニ店員
から賞味期限切れの弁当やおにぎりを貰ったり、京子は公園の水道で洗濯したりという
日々が続く。
東京で実際に起きた事件をモチーフにした映画である。けい子が母親より女を選んだことに
よる悲劇だ。冒頭で明と友人の少女がスーツケースを転がしながら駅に行くシーンがある
のだが、それが後になってとても悲惨なシーンなのだとわかる。
上は12歳、下は3歳くらいの子供4人だけの生活は、やがて限界を迎える。親のいない生活が
どんなに大変か。家の中が荒れていき、兄弟の間にもいさかいが生じる。この辺りの描写は
胸が痛くなる。
とてもいい映画だったのだが、不満がある。モチーフになった事件を知らない人は、素直に
映画を見られるかもしれないが、知っている人はきっと不満を感じたと思う。
きれいに感動的に描き過ぎなのだ。実際の事件は、この映画どころのものじゃない。もっと
悲惨で、凄惨な事件だ。
もちろん監督はドキュメンタリーを作ろうとした訳ではなく、事件を元にしているけれど
あくまでフィクションとして作るつもりだったのだろうが、悲惨さの差が大き過ぎて、いい
映画だけどなんだか…と、何とも言えない気持ちになってしまう。
それにしてもこの母親は、バカなのか。子供の出生届けも出さず、学校へも通わせず、そう
いう生活がずっと続けられると思っていたのか。子供たちはこの世に存在していないことに
なるのだ。母親もだが、子供たちのそれぞれの父親も、皆無責任だ。
でもやっぱり母親に1番怒りを感じる。「あんたバカ?」と言ってやりたい。
この映画は2004年のカンヌ国際映画祭で、明役の柳楽優弥くんが、史上最年少にして日本人
初の、最優秀主演男優賞を受賞し、話題になった。審査員のタランティーノ監督が、「柳楽
くんの目が頭から離れなかった」みたいなことを言ったらしいが、私もこの映画は柳楽くんで
なければ成り立たなかったのではないか、と思う。
スクリーンで見た柳楽くんの”目の力”はそれ程強く印象的だった。