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猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

嘘はフィクサーのはじまり

2019-01-03 21:05:09 | 日記
アメリカ・イスラエル合作映画「嘘はフィクサーのはじまり」を観にいった。

世界金融の中心地、ニューヨーク。その一端を牛耳るユダヤ人上流社会に食い込む
べく、しがない自称フィクサーのノーマン・オッペンハイマー(リチャード・ギア)
は小さな嘘を積み重ねて人脈を広げてきた。ある日講演のためにニューヨークを訪
れていたイスラエルのカリスマ政治家ミカ・エシェル(リオル・アシュケナージ)の
肩書きを利用することを思いつき、偶然を装って彼に近づく。テレビ映りを気にす
る若きカリスマはノーマンのお世辞と一流ブランドの革靴の贈り物に気を良くし、
私用の電話番号を教える。

ブラック・コメディと言われているがコメディではないと思う。ユダヤ系アメリカ
人のノーマンは口八丁で人脈を築いてきたが、詐欺師ではなく大ぼら吹きの山師の
ような人。いつもイヤホンを耳に、常に携帯電話で誰かと話している。とにかく人
を惹きつける嘘がうまい。今度のターゲットはイスラエルのカリスマ政治家エシェ
ル。うまく取り入るノーマン。そして3年後エシェルはイスラエル首相に大出世し、
ワシントンDCでの支援者パーティーに参加したノーマンを見つけ、感激して抱き
しめ、"ニューヨークのユダヤ人名誉大使"と人々に紹介する。一躍時の人となった
ノーマンは成功を確信する。
軽快でテンポのいいこの映画の最大の魅力は何と言ってもリチャード・ギアだろう。
リチャード・ギアはぱりっとしたスーツを着こなし、ハンサムでダンディ、そんな
イメージがあるが、この映画のノーマン役ではよれよれのコートに帽子、よれよれ
のショルダーバッグを斜め掛けして街中をうろうろする冴えない初老の男である。
そして冒頭からとてもうさんくさい。新しいリチャード・ギアの魅力を発見した感
じだ。
この映画を観るとアメリカとイスラエル人社会の複雑な結びつきがわかる。ノーマ
ンは成功したかに見えたが必ずしもそうではなかった。ノーマンは人を利用して成
り上がっていったと思っているが、実は人が彼を利用しているのである。それに気
づいていない。リチャード・ギアの演技がとてもいい。シャレた映画だが、ラスト
は悲しく切ない。




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コメント (6)
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