猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

普通の人々

2019-04-02 21:38:53 | 日記
1980年のアメリカ映画「普通の人々」。

シカゴ郊外の住宅地に一戸建ての家を持つジャレット一家は弁護士の主人(ドナルド・
サザーランド)を中心に平凡だが幸福な生活を営んでいた。しかしある日、湖で長男バ
ック(スコット・ドーブラー)と弟コンラッド(ティモシー・ハットン)が乗ったボート
が嵐で転覆し、バックは溺死した。助かったコンラッドもその後自殺未遂を起こし、
精神病院へ入院することとなった。それから4ヵ月後、コンラッドは退院して再び学
校へ通い出すが、何も解決された訳ではなかった。彼に対してどこか冷たい母親(メア
リー・タイラー・ムーア)とは心を開いて話すことができず、父親にも頼ることができ
ないでいた。息子を心配した父親は、コンラッドを精神分析医の元に通わせることに
した。

有名俳優のロバート・レッドフォードが初めて監督をし、いきなりアカデミー賞を受
賞した作品。長男の死により家族がバラバラになっていく様子を繊細に描いている。
ボートの事故で死亡した長男、長男の死に責任を感じて自殺を図る次男。次男は退院
して日常に戻ってからも、心は沈んだままである。母親はまるで腫れ物を触るように
次男に接し、その様子を見ても父親は何もできない。父親は次男を精神分析医の元へ
通わせるようにする。初めは心を開かなかった次男だが、次第に医師に対して打ち解
け、胸の内を話すようになっていく。
次男は、長男を母親のお気に入りだと思っており、母親に対して今ひとつ素直になれ
ない。スポーツ万能の兄を母親は自分よりかわいがっていたと思っているのだ。私は
それは弟の思い過ごしではないかと思っていたが、実際そうだったのだ。母親は次男
より長男の方をより愛していたのだ。人間なので、家族の中でも合う合わないはある
だろう。子供たちを全く平等に愛せるかと言ったら難しい問題なのかもしれない。で
もこれでは次男がかわいそうである。次男が食べなかった朝食を、パッと台所に捨て
るシーンは胸が痛くなる。次男が母親を抱いても、母親は抱き返すことができないの
だ。
ラスト近くで、父親が母親の冷淡さに気づいて指摘するシーンは、重い。母親は元か
ら冷淡な人だったとわかるのだ。俳優たちの演技が皆素晴らしい。次男役のティモシ
ー・ハットンは感受性豊かな高校生を繊細に演じ、当時20歳でアカデミー助演男優賞
を受賞した。父親役のドナルド・サザーランドや母親役のメアリー・タイラー・ムー
アも本当にいい。私は歴代のアカデミー賞受賞作の中で本作が1番好きである。本作
と「カッコーの巣の上で」と「17歳のカルテ」は、"精神を病んだ人の映画ベスト3"
であると自分では思っている。感動的な映画だった。




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コメント (4)
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