2019年の韓国映画「色男ホ・セク」。
朝鮮時代。美しく整った容姿と優れた技芸、女を酔わす話術を兼ね備えた
ホ・セク(ジュノ)は、生まれ育った妓房が経営の危機に瀕していることを
知り、女性客相手の男性妓生(キーセン)になることを決意する。相棒ユッ
カブ(チェ・グィファ)と共に宣伝活動に乗り出し、噂を聞きつけた女性た
ちで店は大繁盛。彼女たちはたちまちセクに魅了されていった。そんな中、
セクは町で美しい女性へウォン(チョン・ソミン)と出会う。これまでどん
な美女にも心をときめかせることがなかったセクは、自分に全くなびこう
としないへウォンに惹かれ、猛烈なアタックを開始する。
昔の朝鮮を舞台にした笑って泣けるラブストーリー。コメディ要素もキュ
ンキュン要素もてんこ盛りで、とてもおもしろかった。美男のホ・セクは
妓生だった母から生まれ、妓房で育った。妓生のお姐さんたちからかわい
がられ、母亡き後は妓房の経営者である叔母に世話になっていたが、いい
年をして今で言うニート状態で、とうとう叔母から追い出されてしまう。
それでもお気楽なセクは、へウォンという美女と知り合う。セクはへウォ
ンを好きになるが、へウォンは相手にしない。やがてセクは彼女の家庭の
事情を知る。へウォンには兄がいるが、兄は科挙(官僚登用試験)に何年も
落ち続けており、それは昔へウォンの好物の柿をとるために柿の木に登り、
落ちて頭を打ったせいで記憶力が悪くなったため、責任を感じているへウ
ォンは兄が科挙に合格するまで誰とも結婚しないと決めていたのだった。
へウォンに求婚し続けている男もいるが、へウォンは承諾しなかった。
そんなある日セクは妓房が経営難に陥り、借金の取り立てが来ていること
を知る。美形で楽器、絵、書、踊りと何でもできるセクは、自分が女性相
手の男性妓生になって店を救おうと決意する。セクは「男は妾を作って遊
んでいるのだからご婦人たちが自分に心を癒されたっていいじゃないか」
という信念のもと、女性客の相手をし、店は繁盛して持ち直す。ところで
映画では「烈女」という言葉が度々出てくるのだが、これは未亡人のこと
だそうだ。夫亡き後も貞節を守る女性は表彰されたりしていたようだ。映
画ではある意味男尊女卑を表す言葉として使われていて、興味深い。
やがてセクは自分の他にも美男を何人も雇って、店はますます評判になる。
そして同時にへウォンへのアプローチも忘れてはいない。セクはへウォン
に自分の身分を隠していた。当然、身分違いだからだ。それにしてもへウ
ォンの兄の物覚えの悪いことと言ったら。あれは柿の木から落ちたせいで
はなく元々頭が悪いんだろうなと思った。これではへウォンはいつまで経
っても結婚できない。かわいそうなへウォン。そして彼女は次第にセクの
愛を受け入れるようになっていく。へウォンに求婚している男(いいとこ
ろのお坊ちゃん)とセクは対立する。
コメディ感満載の前半から後半は雰囲気が変わってくる。セクが妹のよう
にかわいがっていた1番若い妓生がある事情から自殺してしまい、セクは
嘆き悲しむ。それをきっかけにセクの人生も変わるのである。このエピソ
ードは本当にかわいそう。セクは南方の言葉(タイ語か何か)が少し話せて、
へウォンにある言葉を教える。これが最後に大きな意味を持って明らかに
なるのだが、このシーンは感動的だった。
ホ・セク役のジュノは人気K-POPグループ「2PM」のメンバーだそうだ。
顔は…色男かどうかよくわからない顔をしているが、歯の浮くようなセリ
フで女性たちを虜にしていく様子はユーモラスで似合っていた。妓生姐さ
んや妓生男子たちの衣装も豪華で美しかった。ラストは本当に切ない。お
もしろくていい映画だった。
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朝鮮時代。美しく整った容姿と優れた技芸、女を酔わす話術を兼ね備えた
ホ・セク(ジュノ)は、生まれ育った妓房が経営の危機に瀕していることを
知り、女性客相手の男性妓生(キーセン)になることを決意する。相棒ユッ
カブ(チェ・グィファ)と共に宣伝活動に乗り出し、噂を聞きつけた女性た
ちで店は大繁盛。彼女たちはたちまちセクに魅了されていった。そんな中、
セクは町で美しい女性へウォン(チョン・ソミン)と出会う。これまでどん
な美女にも心をときめかせることがなかったセクは、自分に全くなびこう
としないへウォンに惹かれ、猛烈なアタックを開始する。
昔の朝鮮を舞台にした笑って泣けるラブストーリー。コメディ要素もキュ
ンキュン要素もてんこ盛りで、とてもおもしろかった。美男のホ・セクは
妓生だった母から生まれ、妓房で育った。妓生のお姐さんたちからかわい
がられ、母亡き後は妓房の経営者である叔母に世話になっていたが、いい
年をして今で言うニート状態で、とうとう叔母から追い出されてしまう。
それでもお気楽なセクは、へウォンという美女と知り合う。セクはへウォ
ンを好きになるが、へウォンは相手にしない。やがてセクは彼女の家庭の
事情を知る。へウォンには兄がいるが、兄は科挙(官僚登用試験)に何年も
落ち続けており、それは昔へウォンの好物の柿をとるために柿の木に登り、
落ちて頭を打ったせいで記憶力が悪くなったため、責任を感じているへウ
ォンは兄が科挙に合格するまで誰とも結婚しないと決めていたのだった。
へウォンに求婚し続けている男もいるが、へウォンは承諾しなかった。
そんなある日セクは妓房が経営難に陥り、借金の取り立てが来ていること
を知る。美形で楽器、絵、書、踊りと何でもできるセクは、自分が女性相
手の男性妓生になって店を救おうと決意する。セクは「男は妾を作って遊
んでいるのだからご婦人たちが自分に心を癒されたっていいじゃないか」
という信念のもと、女性客の相手をし、店は繁盛して持ち直す。ところで
映画では「烈女」という言葉が度々出てくるのだが、これは未亡人のこと
だそうだ。夫亡き後も貞節を守る女性は表彰されたりしていたようだ。映
画ではある意味男尊女卑を表す言葉として使われていて、興味深い。
やがてセクは自分の他にも美男を何人も雇って、店はますます評判になる。
そして同時にへウォンへのアプローチも忘れてはいない。セクはへウォン
に自分の身分を隠していた。当然、身分違いだからだ。それにしてもへウ
ォンの兄の物覚えの悪いことと言ったら。あれは柿の木から落ちたせいで
はなく元々頭が悪いんだろうなと思った。これではへウォンはいつまで経
っても結婚できない。かわいそうなへウォン。そして彼女は次第にセクの
愛を受け入れるようになっていく。へウォンに求婚している男(いいとこ
ろのお坊ちゃん)とセクは対立する。
コメディ感満載の前半から後半は雰囲気が変わってくる。セクが妹のよう
にかわいがっていた1番若い妓生がある事情から自殺してしまい、セクは
嘆き悲しむ。それをきっかけにセクの人生も変わるのである。このエピソ
ードは本当にかわいそう。セクは南方の言葉(タイ語か何か)が少し話せて、
へウォンにある言葉を教える。これが最後に大きな意味を持って明らかに
なるのだが、このシーンは感動的だった。
ホ・セク役のジュノは人気K-POPグループ「2PM」のメンバーだそうだ。
顔は…色男かどうかよくわからない顔をしているが、歯の浮くようなセリ
フで女性たちを虜にしていく様子はユーモラスで似合っていた。妓生姐さ
んや妓生男子たちの衣装も豪華で美しかった。ラストは本当に切ない。お
もしろくていい映画だった。
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