2021年の日本映画「ドライブ・マイ・カー」。
舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)は、脚本家の妻・音(霧島れいか)と幸せに
暮らしていた。しかし、音はある秘密を残したままくも膜下出血で急死してしまう。
2年後、喪失感を抱えながら生きていた悠介は、演劇祭で演出を担当することにな
り、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで悠介はある過去を持つ寡黙な専属ドライ
バーのみさき(三浦透子)と出会う。更に、かつて音から紹介された俳優・高槻(岡
田将生)とオーディション会場で再会する。悠介はみさきと過ごし、お互いの過去
を話す中で、それまで目を背けてきたことに気づかされていく。
第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、他にもいくつもの賞を受賞している
濱口竜介監督による人間ドラマ。原作は村上春樹氏の短編小説。舞台俳優で演出家
の家福悠介は愛する妻・音と満ち足りた生活を送っていたが、ある日音が急死して
しまう。突然のことに深い喪失感を抱えながら仕事をしていたが、2年後に広島で
の演劇祭の演出を依頼される。悠介は車は自分の大切なものなので自分で運転した
いと言うが、ここでは専属ドライバーを付けることになっているのだとスタッフに
言われ、渋々みさきという若い女性に運転を任せることになる。そして悠介は以前
音に紹介されていた若い俳優・高槻とオーディション会場で出会う。高槻は音の葬
儀にも参列していて、悠介と音のファンだった。
喪失と再生の物語で、とても感動的だった。西島秀俊は国内外で主演男優賞を受賞
しているだけあって、魂のこもった演技で素晴らしかった。サーブって何だろうと
思って調べたら、スウェーデンの車だった(どうでもいいが)。最愛の妻を亡くした
悲しみは計り知れないものだろう。2人には昔子供がいたが幼くして亡くなり、そ
れからは夫婦で仲良く暮らしてきたのだ。悠介と音のラブシーンが多いのがちょっ
と気になった。彼らは恐らく40代後半くらいの設定なのだと思うが、子供のいな
いその年代の夫婦ってあんなに濃密な関係なのだろうか、と思った。
高槻は悠介のファンであると同時に美しい音に憧れていて、悠介に対して懐っこい。
悠介が演出を担当する劇に高槻も出演することになり、2人はよく話すようになる。
高槻は少し女性にだらしないタイプで、それがこの重たい映画のスパイス的な存在
になっていておもしろい。悠介が最後に音と言葉を交したのは音が急死した日の朝
の出がけで、音は「今日の夜少し話せる?」と聞いてきた。悠介は「もちろん。何
でわざわざそんなこと聞くの」と返事をしたが、多分悠介は音が話したかったこと
をわかっていたのだと思う。実は音は浮気をしていた。それも何人もと。そして悠
介はそれに気づいていながら、何も言わずにやり過ごしてきたのだ。愛する音と向
き合うのが怖かったのだろう。
専属ドライバーのみさきもある辛い思いを抱えて生きてきた。悠介とみさきがそれ
を告白し合うシーンはとても良かった。重たい荷物を下ろしたことで、2人は前に
向かって進める気がしてきたのだ。その瞬間は本当に感動的だった。いい映画だっ
たのだが、気になることというか不満が2つほどある。みさき役の三浦透子がかわ
いくない。暗い過去を抱えた不愛想な人という役どころなので、こういう人を起用
したのだろうか。それとやはり179分は長い。原作は未読だが短編ということなの
で、短編をこんなに膨らませなくても、2時間以内の映画にして良かったんじゃな
いのかな、と思った。それらがちょっと不満だが、でも、アカデミー賞受賞できる
といいな。
良かったらこちらもどうぞ。濱口竜介監督作品です。
「寝ても覚めても」
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舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)は、脚本家の妻・音(霧島れいか)と幸せに
暮らしていた。しかし、音はある秘密を残したままくも膜下出血で急死してしまう。
2年後、喪失感を抱えながら生きていた悠介は、演劇祭で演出を担当することにな
り、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで悠介はある過去を持つ寡黙な専属ドライ
バーのみさき(三浦透子)と出会う。更に、かつて音から紹介された俳優・高槻(岡
田将生)とオーディション会場で再会する。悠介はみさきと過ごし、お互いの過去
を話す中で、それまで目を背けてきたことに気づかされていく。
第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、他にもいくつもの賞を受賞している
濱口竜介監督による人間ドラマ。原作は村上春樹氏の短編小説。舞台俳優で演出家
の家福悠介は愛する妻・音と満ち足りた生活を送っていたが、ある日音が急死して
しまう。突然のことに深い喪失感を抱えながら仕事をしていたが、2年後に広島で
の演劇祭の演出を依頼される。悠介は車は自分の大切なものなので自分で運転した
いと言うが、ここでは専属ドライバーを付けることになっているのだとスタッフに
言われ、渋々みさきという若い女性に運転を任せることになる。そして悠介は以前
音に紹介されていた若い俳優・高槻とオーディション会場で出会う。高槻は音の葬
儀にも参列していて、悠介と音のファンだった。
喪失と再生の物語で、とても感動的だった。西島秀俊は国内外で主演男優賞を受賞
しているだけあって、魂のこもった演技で素晴らしかった。サーブって何だろうと
思って調べたら、スウェーデンの車だった(どうでもいいが)。最愛の妻を亡くした
悲しみは計り知れないものだろう。2人には昔子供がいたが幼くして亡くなり、そ
れからは夫婦で仲良く暮らしてきたのだ。悠介と音のラブシーンが多いのがちょっ
と気になった。彼らは恐らく40代後半くらいの設定なのだと思うが、子供のいな
いその年代の夫婦ってあんなに濃密な関係なのだろうか、と思った。
高槻は悠介のファンであると同時に美しい音に憧れていて、悠介に対して懐っこい。
悠介が演出を担当する劇に高槻も出演することになり、2人はよく話すようになる。
高槻は少し女性にだらしないタイプで、それがこの重たい映画のスパイス的な存在
になっていておもしろい。悠介が最後に音と言葉を交したのは音が急死した日の朝
の出がけで、音は「今日の夜少し話せる?」と聞いてきた。悠介は「もちろん。何
でわざわざそんなこと聞くの」と返事をしたが、多分悠介は音が話したかったこと
をわかっていたのだと思う。実は音は浮気をしていた。それも何人もと。そして悠
介はそれに気づいていながら、何も言わずにやり過ごしてきたのだ。愛する音と向
き合うのが怖かったのだろう。
専属ドライバーのみさきもある辛い思いを抱えて生きてきた。悠介とみさきがそれ
を告白し合うシーンはとても良かった。重たい荷物を下ろしたことで、2人は前に
向かって進める気がしてきたのだ。その瞬間は本当に感動的だった。いい映画だっ
たのだが、気になることというか不満が2つほどある。みさき役の三浦透子がかわ
いくない。暗い過去を抱えた不愛想な人という役どころなので、こういう人を起用
したのだろうか。それとやはり179分は長い。原作は未読だが短編ということなの
で、短編をこんなに膨らませなくても、2時間以内の映画にして良かったんじゃな
いのかな、と思った。それらがちょっと不満だが、でも、アカデミー賞受賞できる
といいな。
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