2021年のフランス・ドイツ・ベルギー・日本合作映画「アネット」を観に
行った。
ロサンゼルス。攻撃的なユーモアセンスを持ったスタンダップコメディアン
のヘンリー・マクヘンリー(アダム・ドライバー)と、国際的に有名なソプラ
ノ歌手アン・ドゥフラヌー(マリオン・コティヤール)。"美女と野人"とはや
されるほどにかけ離れた2人が恋に落ち、結婚が発表されると世間の注目の
的となる。やがてアンは娘のアネットを出産するが、アネットはミステリア
スな赤ん坊だった。アンのオペラ歌手としてのキャリアは成功を極め、彼女
が舞台に出ている間、ヘンリーがアネットの世話をするが、結婚生活は少し
ずつ不安定になっていく。
レオス・カラックス監督の最新作。初のミュージカルで初の英語映画である。
よくわからないような、いやそんなことはなくわかりやすいような、不思議
な映画だった。人気コメディアンのヘンリーと世界的に有名なソプラノ歌手
のアンは結婚し、世間の注目の的になる。アンはアネットという娘を出産す
るが、そのアネットは人形だった。観客にとって人形に見えているだけで、
夫婦や世間の人々からは普通の女の子の赤ん坊に見えているのか、それとも
誰の目にも人形に見えているのかわからないのだが、このアネットは気持ち
悪い。でもヘンリーとアンはアネットをかわいがった。
ヘンリーは舞台での悪態や不快なジョークが不評を買い、急激に転落し始め、
アンの成功に嫉妬するようになる。夫婦は関係修復のためアネットを連れて
自家用ヨットで旅に出る。だが、嵐の夜にヘンリーの行き過ぎた行動のため
アンは船外に投げ出され、死んでしまう。警察では事故と処理される。やが
てアンの亡霊はヘンリーに付きまとい、復讐するために幼児のアネットに自
分の声を与えるのだった。アネットが歌うのを聞いたヘンリーは「赤ん坊が
歌うなんて」と驚くが、収入がなくなった今、アネットを人前で歌わせるこ
とにする。
アネットが人形なのは、結局アネットは夫婦のおもちゃだったからなのだろ
う。最初は彼らはアネットを愛してかわいがったが、アンが死んでからはヘ
ンリーはアネットを金儲けの道具にしている。アンにはそんなつもりはなか
ったのかもしれないが、アネットに自分の声を与えたことで結果的にアネッ
トを見世物にしてしまった。アネットは自分というものを持たずに生まれて
きた子供なのだろう。ベイビー・アネットは大人気を得るが、ヘンリーには
更なるトラブルが待っていた。
私はミュージカルが好きではないのだが、この映画は普通のセリフも多いの
でまだ良かった。でもやっぱりカラックスの映画はフランス語で観たかった
と思う。主役のアダム・ドライバーがアメリカ人なのでそうなったのだろう
けど。アダム・ドライバーってちっともハンサムではないけど人気俳優のよ
うである。全体の感想としてはカラックスの昔の作品の方が良かった、と思
う。色を変えてみてあまり成功していないような…昔の難解な映画の方が好
きである。でもこれは好みなのだろうな。映画の冒頭でカラックス本人が登
場してタバコを吸うシーンがあるのだが、その時タバコの匂いがしたのは映
画にのめり込みすぎなのだろうか。
良かったらこちらもどうぞ。レオス・カラックス監督作品です。
「ポンヌフの恋人」
「ポーラX」
「ホーリー・モーターズ」
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行った。
ロサンゼルス。攻撃的なユーモアセンスを持ったスタンダップコメディアン
のヘンリー・マクヘンリー(アダム・ドライバー)と、国際的に有名なソプラ
ノ歌手アン・ドゥフラヌー(マリオン・コティヤール)。"美女と野人"とはや
されるほどにかけ離れた2人が恋に落ち、結婚が発表されると世間の注目の
的となる。やがてアンは娘のアネットを出産するが、アネットはミステリア
スな赤ん坊だった。アンのオペラ歌手としてのキャリアは成功を極め、彼女
が舞台に出ている間、ヘンリーがアネットの世話をするが、結婚生活は少し
ずつ不安定になっていく。
レオス・カラックス監督の最新作。初のミュージカルで初の英語映画である。
よくわからないような、いやそんなことはなくわかりやすいような、不思議
な映画だった。人気コメディアンのヘンリーと世界的に有名なソプラノ歌手
のアンは結婚し、世間の注目の的になる。アンはアネットという娘を出産す
るが、そのアネットは人形だった。観客にとって人形に見えているだけで、
夫婦や世間の人々からは普通の女の子の赤ん坊に見えているのか、それとも
誰の目にも人形に見えているのかわからないのだが、このアネットは気持ち
悪い。でもヘンリーとアンはアネットをかわいがった。
ヘンリーは舞台での悪態や不快なジョークが不評を買い、急激に転落し始め、
アンの成功に嫉妬するようになる。夫婦は関係修復のためアネットを連れて
自家用ヨットで旅に出る。だが、嵐の夜にヘンリーの行き過ぎた行動のため
アンは船外に投げ出され、死んでしまう。警察では事故と処理される。やが
てアンの亡霊はヘンリーに付きまとい、復讐するために幼児のアネットに自
分の声を与えるのだった。アネットが歌うのを聞いたヘンリーは「赤ん坊が
歌うなんて」と驚くが、収入がなくなった今、アネットを人前で歌わせるこ
とにする。
アネットが人形なのは、結局アネットは夫婦のおもちゃだったからなのだろ
う。最初は彼らはアネットを愛してかわいがったが、アンが死んでからはヘ
ンリーはアネットを金儲けの道具にしている。アンにはそんなつもりはなか
ったのかもしれないが、アネットに自分の声を与えたことで結果的にアネッ
トを見世物にしてしまった。アネットは自分というものを持たずに生まれて
きた子供なのだろう。ベイビー・アネットは大人気を得るが、ヘンリーには
更なるトラブルが待っていた。
私はミュージカルが好きではないのだが、この映画は普通のセリフも多いの
でまだ良かった。でもやっぱりカラックスの映画はフランス語で観たかった
と思う。主役のアダム・ドライバーがアメリカ人なのでそうなったのだろう
けど。アダム・ドライバーってちっともハンサムではないけど人気俳優のよ
うである。全体の感想としてはカラックスの昔の作品の方が良かった、と思
う。色を変えてみてあまり成功していないような…昔の難解な映画の方が好
きである。でもこれは好みなのだろうな。映画の冒頭でカラックス本人が登
場してタバコを吸うシーンがあるのだが、その時タバコの匂いがしたのは映
画にのめり込みすぎなのだろうか。
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