猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

刑事

2022-04-12 22:32:30 | 日記
1959年のイタリア映画「刑事」。

ある日、ローマのアパートで殺人事件が起きた。被害者はバンドゥッチ家夫人
のリリアナ(エレオノラ・ロッシ=ドラゴ)。事件の捜査に当たるイングラヴァ
ーロ警部(ピエトロ・ジェルミ)は、彼女の夫(クラウディオ・ゴーラ)や彼女の
いとこで医師のヴァルダレーナ(フランコ・ファブリッツィ)を有力な容疑者と
してにらむが、何も決めてはない。やがて、イングラヴァーロ警部がリリアナ
の夫やヴァルダレーナ、バンドゥッチ家の女中アスンティナ(クラウディア・
カルディナーレ)らと接するうちに、彼らの様々な人間模様が浮かび上がって
くる。

鉄道員」などで有名なピエトロ・ジェルミ監督・主演の刑事ドラマ。刑事も
のだが人間ドラマの要素もあっておもしろかった。主人公のイングラヴァーロ
警部の目を通して見たローマ市民の群像劇のようになっている。自宅で殺害さ
れていた37歳のリリアナは資産家で、警察は夫のバンドゥッチとリリアナの
いとこで医師のヴァルダレーナに目を付ける。リリアナは長い間不妊に悩んで
いて、ヴァルダレーナに個人的に相談しており、お金を渡していた。リリアナ
の遺体の第1発見者もヴァルダレーナだった。イングラヴァーロ警部は女中の
アスンティナに話を聞くが、彼女はリリアナを慕っており、とてもショックを
受けていた。
観ていてもなかなか犯人はわからない。バンドゥッチもヴァルダレーナもどち
らも怪しく見えるし、どちらも違うようにも見える。かといって他に怪しそう
な人は見当たらない。捜査を続けるうち、リリアナもバンドゥッチもヴァルダ
レーナもアスンティナもそれぞれ事情を抱えていることがわかってくる。バカ
のひとつ覚えのように「ヴァルダレーナが犯人だ」と繰り返すハゲで小太りの
刑事がおもしろい。刑事ものってこういう人が大体登場すると思う。
ピエトロ・ジェルミがかっこいい。「鉄道員」はこの映画の3年前に作られた
映画なのだが、「鉄道員」ではすごく老けていた。同じ人とは思えない。老け
メイクとかしていたんだろうな。昔のヨーロッパの刑事ってやっぱりスーツに
帽子(冬場ならトレンチコートも)だよねえ、と思う。ほんとに渋くてかっこい
い。アスンティナ役のクラウディア・カルディナーレはセクシー女優として絶
大な人気を誇った人だが、私から見るととてもかわいい(胸は大きいけど)。イ
タリア映画ってよくこういう迫力あるグラマー美女が登場するな。
後半、リリアナの遺言書が公開され、数人の人や教会などに遺産を譲ると書い
てあり、夫のバンドゥッチには全く残されていないことがわかり、物語は大き
く動く。夫は遺言の無効を申し立てようとする。やっぱりお金が絡んでいたの
か。でも真犯人は意外な人物だった。全く想像していなかったので、びっくり
した。全編モノクロームだがおもしろかった。主題歌の「死ぬほど愛して」は
世界中で大ヒットしたので、映画を観ていない人でも聞いたことがあるのでは
ないかと思う。




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コメント (2)
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