猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ヒメアノ~ル

2022-05-23 22:21:23 | 日記
2016年の日本映画「ヒメアノ~ル」。

平凡な毎日に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして
働いている青年・岡田進(濱田岳)は、同僚の安藤勇次(ムロツヨシ)から思
いを寄せるカフェの店員・阿部ユカ(佐津川愛美)との恋のキューピッド役
を頼まれる。ユカが働くカフェで、高校時代に過酷ないじめに遭っていた
同級生の森田正一(森田剛)と再会する岡田だったが、ユカから彼女が森田
にストーキングをされていることを知らされ、不穏な気持ちを抱き始める。
森田はある事件をきっかけに、欲望のままに無抵抗な相手を殺害していく
快楽殺人者になっていたのだった。

古谷実氏の漫画を映画化したサイコ・サスペンス。おもしろかった。主演
はV6の森田剛だが、私はこの人の演技を見るのは初めてかもしれない。こ
んなにうまい人だとは知らなかった。濱田岳は安定のうまさ。ビル清掃の
パートをしている岡田は、同僚の安藤に好きな女性との仲を取り持って欲
しいと頼まれるが、その女性・ユカが働くカフェに2人で行くと、ユカは
とてもかわいい人だった。岡田の「無理ですよ、安藤さん。かわいいし、
人間としてのカテゴリーが違いすぎますよ」というセリフに笑った。でも
何だかんだと2人はユカと親しくなることに成功する。
前半はコミカルな感じに進んでいき、いつ怖い映画になるのだろう?とい
う感じ。ところがかなり時間が経ってから映画のタイトルが出るのだが、
それをきっかけに雰囲気が変わってくる。度々ユカのいるカフェに足を運
ぶ岡田だが、ある日高校の同級生だった森田と再会する。岡田と森田は入
学した頃は仲が良かったのだが、そのうち森田は壮絶ないじめを受けるよ
うになり、自分も標的にされたくないと思った岡田は、森田を助けなかっ
た。岡田はそのことで罪悪感を持っていた。懐かし気に話す森田はいじめ
のことなど忘れている風に見えた。しかし森田は快楽殺人者へと変貌を遂
げており、岡田やユカ、安藤は事件に巻き込まれていく。
森田の殺人の独壇場になってからはとても怖い。顔色ひとつ変えずにあっ
さりと人を殺すのだ。いじめというものが人に与える影響を改めて感じた。
森田剛の演技は迫力満点で、一体何人殺したのだろうと思う。ユカは結局
安藤ではなく岡田を好きになり、彼と付き合うようになるのだが、冴えな
い岡田のどこが良かったのかな、と思った。ユカもそれほどかわいいとは
思わなかったし、安藤はもちろん気持ち悪いタイプ。森田が殺人犯だと知
った岡田は、何とか森田の犯行を止めようとするが、森田は「どうせ死刑
だ。お前ら(岡田とユカ)を殺す」と言い放つ。
ラストは原作と違っているらしく、切ない終わり方だった。森田の家に岡
田が来て、一緒にゲームをしている回想シーンがあるから余計に悲しい。
「お母さーん、麦茶2つ持ってきてー」と言う森田のセリフが忘れられな
い。森田は普通の少年だったのに。どこかで引き返すチャンスはあったの
だろうか。それとも、いじめがあってもなくても森田はこうなる運命だっ
たのか。人はいくつになっても変わらないと言われるが、簡単に変わって
しまう場合もあるのだ。とてもサスペンスフルでおもしろかった。


上を向いているノエル、かわいい





ゴシゴシ。