それは高2の夏休みのことでした。
チエちゃんたち
仲良し3人組は、前年アメリカで大ヒットしたホラー映画「エクソシスト」がいよいよ日本でも公開されるということで、一緒に観に行こうと計画を立てたのでした。
1学期がもうすぐ終わるというウキウキした気分で、お昼休みのチエちゃんたちは映画についてあれやこれやとおしゃべりしていました。
そんな時、ノリが言い出しました。
ノリ:ねえ、ねえ、映画の後でロミオのピザ、食べようよ!
しの:うん、いいね。ロミオのピザ!おいしいよね~
チエちゃんも、いいよね?
チエ:うん。
「うん」と返事したものの、チエちゃんは『ピザ』という食べ物がどんなものなのか全く分かりませんでした。
ノリとしのが言うんだから、たぶんおしゃれな食べ物なんだろうなと思いつくくらいでした。
チエちゃん家では滅多に外食はしませんし、たまに外食したとしてもラーメンかカツ丼くらいです。
それに、現在のようにピザがスーパーで簡単に手に入る訳でもなかったのです。
いよいよ楽しみにしていた映画の日。
映画館は立ち見が出るほどの人気ぶりで、チエちゃんたちも最初は立ったまま観ていましたが、2本立ての1本が終わってやっと座席に座ることができました。
『エクソシスト』何が怖かったかって、悪魔に憑りつかれた主役のリンダ・ブレアの首がクルっと180度廻った場面が一番怖かった!背筋がゾーッ!
今のようなCGなんてないですから、明らかに作り物と分かる人形の首なんですけどね。
それから約束通り、3人はロミオへと向かいました。
栄町交差点 コルニエ・ツタヤの隣のビル。
1階は書店。
レンガ造り風の階段を上ると、右側には画廊(なんともおしゃれ!)、左側がそのイタリアンレストラン『ロミオ』。
窓際の席に着いたチエちゃんたちは、早速ピザを注文。
と、出てきたものは、薄く丸い形のパン?に赤いソースと溶けたチーズ、薄く切ったサラミソーセージがのっかてる!
しの:さあ、食べよう!
恐る恐る口に入れてみると、おいしい! これがピザか~
そして、チエちゃんは就職してから度々この『ロミオ』を訪れるようになったのでした。
4年ぶりですが、チエちゃんの物語を書くことができて、うれしい~
当時は、本当に『ピザ』って何?でした。
それに、映画館は2本立てが当たり前で、いつでも自由に入場出来て、一日中観ていてもOKでした。