著者:あさのあつこ(光文社) 2023年
一昨日、夢中になって一気読みしてしまった本がこれです。
私、あさのあつこさんの時代物が大好きなんです。
特に、この弥勒シリーズがおもしろい。(以下、ネタバレあり)
廊下に足音が響く。
それは荒海の波音にも似て、遠くから押し寄せてきた。
音は一つ。ただ一人が走っている。それなのに、やけに猛々しい。
殺気の猛々しさではなく、不穏を告げる激しさだ。
本所深川森下町の小間物問屋の主、遠野屋清之介(とおのや せいのすけ)は筆を止めた。半ばまで書き付けた文に墨が滲み、文字を呑み込んでいく。
冒頭からの不穏な気配に、一瞬で物語の世界へ引き込まれてしまう。
なんと、『遠野紅(とおのべに)』の材料、紅花の荷を積んだ船が行方知れずだと言うのだ。
事の次第を掴もうと手を打つ清之介。
一方、遠野屋の奉公人 おくみ と連れ立ってお使いに出た おちや(元は大店八代屋のお嬢さま)は、八代屋の手代に「八代屋へ戻ってください」と声を掛けられる。
が、遠野屋を自分の居場所と決めていた おちや は、振り切って逃げる。
その様子をたまたま見ていたのが、定町廻り同心 木暮信次郎と尾上町の岡っ引き伊佐治だった・・・
今回の最後は意味深な終わり方。次回は続編決定!
これでシリーズ12巻目。途中、なかだるみの巻もあったけど、またまたおもしろくなってきました。
あ~、おもしろかった!