最近、得体の知れない社会変動が、マグマのようにうごめいている気がしてならない。資本主義の崩壊に向かっての胎動であり、予兆かも知れない。その予感は、”いざなぎ景気”を超える長期経済成長が続くのに、豊かになった生活実感を伴わないことに起因する。
私は、学者でもなければ評論家でもない。高度な理論ではなく、生活の中で生まれる素朴な疑問の延長線上で政策を見ていると、「国益が国民の利益に直結しない」、或いは、「経済成長神話が善なのか」、更には、「人口減少が悪なのか」と考え込む事象が多い。
資本主義の崩壊の兆しは、企業合併の進展が象徴的だ。自動車、流通、金融業界に始まり、家電、デパート等々、ありとあらゆる分野でM&Aが進展している。企業の経営統合は、資本主義の宿命だが、その行き着くところは”独占”だ。これが極限に達した時、”競争”は無くなる。資本主義の市場原理が働かないと、どんな社会になるのか?
また、「デフレが何故悪いのか?」を考えてみた。物価が安く買えることは、消費者には有難いことだ。しかも、以前と異なり、良い物が安く供給される。なのに、政府や経済界はデフレ脱却を目指した。経済が成長することで、雇用が生まれ、所得が増えるとのロジックは、誰もが納得し易い。が、現実は?
この国が目指す方向は、どこなのか?「美しいニッポン」とは、何なのか?不安でいっぱいだ。いずれにせよ、社会の最少構成単位の幸福を置き去りにはしないで欲しいと願っている。