8年ぶりの札幌は、地下鉄やビル建設工事の騒音と車の渋滞で、大都市特有の匂いが充満していた。古き良き時代を知る身には、高いビルに埋もれた旧北海道庁舎や大通り公園の汚れた空気に耐えきれず、早々に退散した。
滝川マラソン終了後、支笏湖休暇村に一泊した。 広大な敷地内には、雨露に濡れたダリアが深紅の色彩を放ち、季節外れのアジサイが咲いていた。 湖畔へと続く木道を進むと、北海道最古の鉄橋が移設され、小公園に整備されていた。椅子に腰かけ、遊覧船が透明な湖面を滑るように通過するのを見て、野鳥の森へと引き返した。人影のない森で、小鳥のさえずりに耳を傾けていると、別世界かと錯覚した。私の好きな北海道がそこにあった。